英国のエリザベス女王が、崩御された。
在位70年という長き間、英国連邦の君主としての生涯だった。
そして、エリザベス女王Ⅱ世が生きられた時代は、政治的にも経済的にも社会的にも大きく変わる時代でもあった。
第二次世界大戦によって、英国をはじめ欧州各国は焼け野原のような状態になった。
それは国土だけではなく、経済や文化そのものも、大きなダメージを受けた。
その後、英国の植民地が次々と独立することで、世界的な英国の政治的力は徐々に小さくなっていく。
いくら王族として生まれ・育ち・教育を受けてきたとはいえ、25歳という若い女性が、激動する時代の中で、女王として国を担うことになったのだ。
NHK国際ニュース:イギリス エリザベス女王とは?その生涯と国民にとっての存在
そのような責任と立場である「女王」としての姿は、英国民だけではなく「英国連邦」という枠組みの国々の人たちはもちろん、世界中の人たちから尊敬と親しみを感じるものであった。
それは、どのような立場の人と会っても、常に威厳がありながらも、公平でチャーミングな笑顔とユーモアがあったからだろう。
と同時に、エリザベス女王という存在は、第二次世界大戦で疲弊した英国そのものの価値を高めることにもなったはずだ。
Reuters コラム:エリザベス女王、英国の脱工業化を支えた「ブランド力」
「価値」とか「ブランド力」という言葉を使うと、どこか金儲けの言葉のようで批判を受ける気がするのだが、違う言葉に置き換えるのであれば「英国という国の信頼の象徴」であった、ということになるのだと思う。
そして、今の欧州では「女王の時代が来る」ことになっている。
理由はご存じの通り、欧州王室では、直系長子が「国王」となることが決まっており、「次世代の国王」のほとんどが女性だからだ。
世代的に言えば、日本の天皇家・敬宮愛子内親王殿下と同じ世代の女性たちだ。
そんな彼女たちにとって、エリザベス女王の存在は「ロールモデル」になるのではないだろうか?
プライベートでは、結婚・出産を経験し「家族」を持つことの大変さ。
国王として一挙手一投足まで注目され続ける生活。
数々のスキャンダルやゴシップ・・・それこそ「誹謗中傷」を受ける事も度々あったはずだが、そのようなことに対しても適切に対応できる状況判断や行動力等、次世代の女王たちにとって学ぶべきことは多いのではないだろうか?
次世代の女王たちだけではなく、仕事と家事・育児に追われる今の女性たち全ての「ロールモデル」であったのかもしれない。