「染付 - 藍が彩るアジアの器」 東京国立博物館

東京国立博物館・平成館(台東区上野公園13-9
「染付 - 藍が彩るアジアの器」
7/14-9/6



日本、中国、ベトナム、朝鮮各地の染付を展観します。東京国立博物館で開催中の「染付 - 藍が彩るアジアの器」へ行ってきました。

恥ずかしながら私自身、染付について詳しくありません。と言うことで、まずは染付の定義をキャプションなどから引用してみました。

染付とは白磁の素地にコバルトを含んだ顔料を用いて筆彩する技法を指す。
透明釉をかけて焼成すると文様は鮮やかな藍色に発色する。
中国の元の後期、景徳鎮で技法が発達。日本では江戸後期、朝鮮から伝わった技術にて肥前で生産が始まった。

会場では先に染付の伝播を日本、及びアジアの各地域に分けて概観した上で、最後に「用いる」という観点から、食事のシーンを再現したテーブルセットなどを展示する構成がとられています。また染付の魅力は藍の発色にあるということで、それを引き出す東博ご自慢の巧みなライティングも申し分がありません。色に形に目を向けながら、その意匠、また美しさに終始感心させられました。

それではいつものように印象に残った作品を手短かに並べます。



「青花蓮池魚藻文壺」(元時代/大阪市立東洋陶磁美術館)
何度見ても染付と言えばこれを連想してしまう。ダイナミックな描線による魚が壺の中をゆうゆうと泳ぐ。空間を埋め尽くすような水草も迫力があって良い。

「青花宝相華文皿」(明時代/大阪市立東洋陶磁美術館)
中央にアラビア文字が描かれた不思議な染付。いわゆる輸出用だったらしい。

「青花龍文長方合子」(明時代/個人蔵)
透かし彫りの蓋が特徴的。蓋の透かしを縫うようにして二体の龍が登場する。隙間なくびっしりと描かれた様子はまさに濃密。

「青花秋草文筆筒」(朝鮮時代/東京国立博物館蔵)
小さな筒に秋草が控えめに描かれる。奥ゆかしい趣が好印象。薄い藍色の描線は乳白色の素地との相性も良かった。

「青磁染付水車図大皿(鍋島)」(江戸時代/個人蔵)
青海波文様に水車が合わさった図柄。波の音もせず、また水車も廻っていないような静寂の世界が広がっている。鍋島らしいデザイン的な一枚。

また会場の出口付近に「ハンズオン」と題した、染付の他、いくつかの陶器を実際に触ることがコーナーがありました。こうした試みは嬉しい限りです。

なお常設でもいくつか染付が展示されていました。最後にその写真を添えておきます。


「染付鳳凰図大皿」(伊万里/江戸時代)


「染付山水文ケンディ形水注」(伊万里/江戸時代)


「染付布袋図皿」(伊万里/江戸時代)

素っ気ない記事になってしまいましたが、展示品、構成とも充実した展覧会でした。今更ながらもおすすめであるのは言うまでもありません。

今月6日まで開催されています。
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