「黄金の都 シカン」 国立科学博物館

国立科学博物館台東区上野公園7-20
「黄金の都 シカン」
7/14-10/12



ペルー北海岸で栄えた古代アンデス文明の一つ、シカン(9~14世紀)文化の考古遺物を概観します。国立科学博物館で開催中の「黄金の都 シカン」へ行ってきました。

今回は主催のTBSによる「1日ブログ記者」に参加させていただきました。以下、撮影の許された館内写真とともに、展示の流れを順に追っていきたいと思います。

プロローグ「考古学の世界へようこそ!」
シカン文化の発掘、研究の第一人者、島田泉氏の業績を中心に、考古学とは何かということを簡単に俯瞰します。


冒頭に登場する大型スクリーンではシカンの概略がピックアップされます。


考古学者の島田泉氏(南イリノイ大学教授)。言わば本展の主人公です。30年にわたりシカン文化の研究を続けており、そもそもこの展覧会も氏の業績を紹介する内容であるとしても過言ではありません。会場の各所には、キャプション代わりとして、この島田氏による解説VTRが流されていました。


発掘道具の一式です。

第一部「シカンを掘る!考古学者の挑戦」
シカン文化中心にそびえる「ロロ神殿」と、その周辺から発掘された「大仮面」などを展示します。


いよいよ本編のスタートです。ここでは聞き慣れないシカンについて、その発掘作業の変遷とともに説明します。


シカン文化の核となる「ロロ神殿」の模型。現在は風化のため原形をとどめていませんが、その大きさは底辺100m×100m、高さは32mにも及んでいました。なおピラミッドのような形をしていますが、エジプトのそれとは異なり、頂上部は神殿となっていたそうです。


ここでのメインはもちろん「シカン黄金製大仮面」(正確には合金)に他なりません。(画像はちらし表紙より拝借します。)これは墓の主埋葬者の顔につけられていたもので、長さはほぼ1mほどありました。語弊はあるかもしれませんが、悪魔的な様相をとる不気味な仮面と言えるかもしれません。状態も良く、効果的なライティングの効果もあってか、その金色の発色は実に鮮やかでした。

第二部「シカン文化の世界とインカ帝国の源流」
シカン文化の土器、旗物、そしてサブタイトルの「黄金の都」に相応しく、金色に輝く金属器などを展示します。出土品の殆どはこのセクションにありました。


「シカン黄金製トゥミ」。高さ40センチほどの儀式用のナイフです。写真では分かりにくいかもしれませんが、下の半円状の箇所がナイフ、そして上の装飾がシカンの神となっていました。ちなみに眼にはトルコ石がはめられています。どこか剽軽な印象を与える品です。


「シカン神の顔を打ち出し細工した黄金のケロ」。シカンの金属器には、こうしたつり上がった目(アーモンド・アイと呼ばれるそうです。)をした「シカン神」の図像をそのままはめ込んだものが目立ちます。


展示室中央にそびえ立つ「ロロ神殿」風のセット。映像の他、見せ方にエンターテイメント色を加えるのが科博の特別展らしいところです。


私の一推しの「黄金の御輿」。ともかく背面に回って見て下さい。


背もたれの部分には比較的、細やかな造形が施されていることが分かります。飾り板の金はやや色を失っていましたが、そのずらりと並ぶ装飾は圧巻でした。




展示後半には土器類が数多く紹介されています。まるでリュトンのようにさかなの頭を口にしたもの、またふくろうのような形をしたものなど、主にシカンの人々が身近であったであろう動物のモチーフが取り込まれていました。

エピローグ「ミイラが語るシカン文化とは?」
シカンで出土したミイラなどが展示されています。


順路最後に待ち構えるのは3Dシアターです。10分程度の映像で島田氏の発掘調査を紹介しています。「ロロ神殿」と墓地、また今回の出土品との関係をおさらいするのにはちょうど良い内容でした。

出品数は全部で200点ほどです。そう広い会場ではありませんが、VTRを丁寧に見ていくと、思っていた以上に時間はかかりました。

なお公式アナウンスによれば「1日ブログ記者」の受付は10/4までとなっています。無料での鑑賞、また写真撮影が可能である他、日程まで自由に選べた上に、クリアファイルなどのお土産までいただけます。これまでにもブログ対象の企画はいくつかありましたが、内容からすれば破格だと言えるのではないでしょうか。関心のある方は応募されることをおすすめします。(追記:ブログ記者は応募多数のため、先日受付を終了しました。)

10月12日までの開催です。また本展は終了後、以下のスケジュールにて巡回します。

熊本県立美術館(2009/10/30~12/23)
富山県民会館 (2010/1/9~3/7)
高知県立美術館(2010/3/14~4/18)
福岡市博物館 (2010/4/24~6/20)

*展覧会概要*
名称:黄金の都 シカン
場所:国立科学博物館(上野)
日時:2009/7/14(火)~10/12(月・祝)
時間:午前9時~午後5時、金曜日は午後8時まで。(入館は各閉館の30分前まで)
休館:9/28(月)、10/5(月)
料金:一般・大学生1400円/小・中・高生500円。金曜夜間ペア券2000円、水曜レディース券1000円あり。
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