「花・華 - 日本・東洋美術に咲いた花 - 」 大倉集古館

大倉集古館港区虎ノ門2-10-3 ホテルオークラ東京本館正門前)
「花・華 - 日本・東洋美術に咲いた花 - 」
8/4-9/27



日本・東洋美術にみられる花モチーフの様相を、梅・桜・牡丹などのテーマ毎に概観します。(ちらしより引用。一部改変。)大倉集古館で開催中の「花・華 - 日本・東洋美術に咲いた花 - 」へ行ってきました。

花と言えば、まずは単純に桜や梅の咲く姿を連想してしまいますが、この展覧会ではそうした植物学的な紹介だけでなく、背景にある意味(牡丹=百華の王、四君子=梅・蘭・竹・菊など。)にまで掘り下げた「花」(=華)の多様な様相を紹介しています。艶やかな花の配された屏風はもとより、仏教、もしくは詩歌における花の内容など、一概に花とは言えども、そこから開けるイメージは想像以上の広がりを見せていました。意外と深みのある展覧会と言えるかもしれません。

それでは印象に残った品を挙げます。

英一蝶「牡丹図 雑画帖」(江戸時代)
最近、自分の中で急速に惹かれている一蝶の精緻な牡丹図。近代日本画にも通じるような写実で牡丹を捉える。艶やかな色合いも美しい。板橋の一蝶展とあわせて見たいところ。

潘崇寧「花鳥図巻」(清時代)
色とりどりの花々の中に昆虫や鳥たちが思い思いに群がる。的確な描写だが、虫の逆さになる様子などはどこかコミカル。日本の江戸絵画の花鳥画の規範となり得るような作品だった。

本阿弥光悦「詩書巻」(江戸時代)
下絵の薄紅色に描かれた木蓮を背景に、光悦一流の流麗な書が乱舞する。まさか光悦があるとは思わなかったので嬉しいサプライズだった。

「能装束 白地石畳菊唐草紋様唐織」(江戸時代)
市松調の石畳紋様に色とりどりの菊がまるで花火のように咲き誇る。まさに華やか。

酒井抱一「重陽宴」(江戸時代)
五節句図のうちの一枚。言うまでもなく重陽の日に催される観菊の様子が描かれている。菊の精緻な描写に抱一ならではの筆さばきを感じた。

伝藤原光信「桜に杉図」(桃山時代)
起立する杉と桜の木が交互に並ぶ金屏風。華やかさや儚さといったイメージとは対極的にある、無骨に立つ桜の姿が桃山風なのかもしれない。

その他、染付皿に大観にまた仏画やかるたと見所も多数存在していました。

切り口、もしくは展示品のセンスもなかなか秀逸です。館蔵品展でありながらも、既視感をあまり覚えませんでした。

9月27日まで開催されています。
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