都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ミヒャエル・ゾーヴァ展」 そごう美術館
そごう美術館(横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店6階)
「描かれた不思議な世界 ミヒャエル・ゾーヴァ展」
9/4-27
1945年にベルリンで生まれ、挿絵画家、イラストレーター、さらには舞台美術家としても活躍を続けるミヒャエル・ゾーヴァの業績を紹介します。横浜のそごう美術館で開催中の「描かれた不思議な世界 ミヒャエル・ゾーヴァ展」へ行ってきました。
元々、風刺画家としてのキャリアも築いてきたゾーヴァですが、ともかくやはり見入るのは、彼の名を世界的レベルにまで引き上げた「ちいさなちいさな王様」(1993)他、数十点にも及ぶ絵本挿絵の世界です。下の数点の画像をご覧いただくだけでも、その可愛らしい様子にぐっと引込まれるのではないでしょうか。
「ちいさなちいさな王様」(1993)
人差し指サイズの王様が「こども」となって世界を見つめていく物語です。コーヒーのカップに砂糖を投げ入れたりするゾーヴァの挿絵はどれも微笑ましいものですが、原作自体は大人であったはずの王様が、老いて縮みながら世の中を見つめていくという、やや哲学的な内容でもあります。
「エスターハージー王子の冒険」(1993)
ウサギ伯爵家、エスターハージー王子が、存亡の危機を前に「お嫁」探しの旅に出ます。ちいさなウサギ王子がコートを来て街をとぼとぼ歩き、また汽車の大きなシートにちょこんと座って窓の外を見つめる健気な様子などが表現されていました。
「クマの名前は日曜日」(2001)
ある少年のところにやって来た「寡黙」なクマのぬいぐるみ物語です。洗濯機の中に放り込まれて、物干で耳から吊るされたりするクマの姿が、半ば意思を持たないモノとしての悲哀をたたえながら描かれていました。
「魔笛/那須田淳/講談社」
全130点にも及ぶ回顧展ということで、これらの絵本挿絵の他にも、これまでのゾーヴァの制作を網羅するような多様な作品がいくつも紹介されています。中でも印象的だったのは、全部で100枚の作品を、何と1枚ずつ水彩で仕上げたというドイツの「緑の党」のポスターや、1998年にフランクフルト歌劇場で手がけた「魔笛」の舞台デザインでした。特に「魔笛」では叡智の神殿をはじめ、お馴染みの夜の女王の絵画も登場します。ゾーヴァの幻想的ながらも、どこか素朴派を連想させる謎めいた世界観は、単なるおとぎ話を超えた魔笛の物語にも相応しいものがあったのかもしれません。こちらも楽しめました。
「ちいさなちいさな王様/アクセル・ハッケ/講談社」
久々に各種ポストカードを何枚も買い込んでしまいました。絵本も是非手元に一冊揃えておきたいところです。
「ミヒャエル・ゾーヴァの世界ミヒャエル・ゾーヴァ/講談社」
27日の日曜まで開催しています。(連日夜8時まで。最終日は午後5時閉館。)
「描かれた不思議な世界 ミヒャエル・ゾーヴァ展」
9/4-27
1945年にベルリンで生まれ、挿絵画家、イラストレーター、さらには舞台美術家としても活躍を続けるミヒャエル・ゾーヴァの業績を紹介します。横浜のそごう美術館で開催中の「描かれた不思議な世界 ミヒャエル・ゾーヴァ展」へ行ってきました。
元々、風刺画家としてのキャリアも築いてきたゾーヴァですが、ともかくやはり見入るのは、彼の名を世界的レベルにまで引き上げた「ちいさなちいさな王様」(1993)他、数十点にも及ぶ絵本挿絵の世界です。下の数点の画像をご覧いただくだけでも、その可愛らしい様子にぐっと引込まれるのではないでしょうか。
「ちいさなちいさな王様」(1993)
人差し指サイズの王様が「こども」となって世界を見つめていく物語です。コーヒーのカップに砂糖を投げ入れたりするゾーヴァの挿絵はどれも微笑ましいものですが、原作自体は大人であったはずの王様が、老いて縮みながら世の中を見つめていくという、やや哲学的な内容でもあります。
「エスターハージー王子の冒険」(1993)
ウサギ伯爵家、エスターハージー王子が、存亡の危機を前に「お嫁」探しの旅に出ます。ちいさなウサギ王子がコートを来て街をとぼとぼ歩き、また汽車の大きなシートにちょこんと座って窓の外を見つめる健気な様子などが表現されていました。
「クマの名前は日曜日」(2001)
ある少年のところにやって来た「寡黙」なクマのぬいぐるみ物語です。洗濯機の中に放り込まれて、物干で耳から吊るされたりするクマの姿が、半ば意思を持たないモノとしての悲哀をたたえながら描かれていました。
「魔笛/那須田淳/講談社」
全130点にも及ぶ回顧展ということで、これらの絵本挿絵の他にも、これまでのゾーヴァの制作を網羅するような多様な作品がいくつも紹介されています。中でも印象的だったのは、全部で100枚の作品を、何と1枚ずつ水彩で仕上げたというドイツの「緑の党」のポスターや、1998年にフランクフルト歌劇場で手がけた「魔笛」の舞台デザインでした。特に「魔笛」では叡智の神殿をはじめ、お馴染みの夜の女王の絵画も登場します。ゾーヴァの幻想的ながらも、どこか素朴派を連想させる謎めいた世界観は、単なるおとぎ話を超えた魔笛の物語にも相応しいものがあったのかもしれません。こちらも楽しめました。
「ちいさなちいさな王様/アクセル・ハッケ/講談社」
久々に各種ポストカードを何枚も買い込んでしまいました。絵本も是非手元に一冊揃えておきたいところです。
「ミヒャエル・ゾーヴァの世界ミヒャエル・ゾーヴァ/講談社」
27日の日曜まで開催しています。(連日夜8時まで。最終日は午後5時閉館。)
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )