都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「所沢ビエンナーレ - 引込線 2009」 西武鉄道旧所沢車両工場
西武鉄道旧所沢車両工場(埼玉県所沢市東住吉10-1)
「所沢ビエンナーレ - 引込線 2009」
8/28-9/23
所沢駅前の旧車両工場を舞台に、総勢40名の作家が思い思いの表現を繰り広げます。西武鉄道旧所沢車両工場で開催中の「所沢ビエンナーレ - 引込線 2009」へ行ってきました。
会場入口。所沢駅西口の西武百貨店のちょうど裏に位置します。
プレ展から約1年経ち、いよいよ始動した新たなビエンナーレです。全体のテーマを設けず、またあくまでも作家主導で展示を行うなど、そのコンセプトは変わりはありませんが、本企画ということで、会場スペースはもちろんのこと、参加作家の数も大幅にスケールアップしていました。以下、会場写真とともに、いつかの主要作を挙げてみたいと思います。
第一、二会場。こちらは去年も使われていたスペースです。
冒頭にそびえる戸谷成雄の「雷神」。まるで天へとつながる一本の柱です。荒々しい肌を露出しながらうねり、そして回転してのぼり行く龍のような力強さを感じました。
窪田美樹の「はれもの/景色と肌」。ちょうど第一会場と隣り合わせになった第二会場の入口で展示されています。車一台を丸々インスタレーションに仕立てていました。
工場跡ならではのスケールに見合った作品が多いのも注目すべきところです。中でも見逃せないのが遠藤利克の「空洞説」ではないでしょうか。建築物的な強固な存在感は、鉄骨も剥き出しとなった会場のスペースでも決して負けることがありません。さすがの貫禄でした。
工場の風景を半ば借景化した作品も登場します。こちらは冨井大裕の「ball pipe ball」です。鉄パイプを組み合わせたその姿は、天井を覆う幾何学的な金属平面と異様なほど調和していました。
今回からもう一つのスペースが加わっています第三会場へは、主会場(一、二会場)から工場の中をぐるっと回って2、3分ほどでした。
旧工場敷地内。
レールがまだそのまま残っています。
第三会場です。ワンフロアとしては、第一会場よりもさらに広大でした。
ともかくこちらの会場で圧巻なのは最奥部にある手塚愛子の「通路」です。長さ14mにも及ぶ織物が3枚、緩やかなカーブを描きながら悠然と釣り下がっています。
こちらの会場では大作のペインティングも目立ちました。(なお手前の床の作品は村岡三郎の「記憶」です。)
建畠朔弥の「午後二時のショッピングモール」。木彫でした。
繰り返しになりますが、プレ展と比べるとスケールこそ増したものの、展示の内容に関してはあまり代わり映えしない印象を受けました。とは言え、この鉄道工場跡という希有な空間自体へ向かい合った作家の格闘の結果を、飾ることなく、ダイレクトに感じ取るのには、他に例のない企画だと言えるのではないでしょうか。空間の魅力こそ高いものがありますが、個々の作品への演出は少ないので、かえって作品自体の出来がはっきりと浮かび上がっています。
連休末日、23日までの開催です。なお入場は無料でした。
「所沢ビエンナーレ - 引込線 2009」
8/28-9/23
所沢駅前の旧車両工場を舞台に、総勢40名の作家が思い思いの表現を繰り広げます。西武鉄道旧所沢車両工場で開催中の「所沢ビエンナーレ - 引込線 2009」へ行ってきました。
会場入口。所沢駅西口の西武百貨店のちょうど裏に位置します。
プレ展から約1年経ち、いよいよ始動した新たなビエンナーレです。全体のテーマを設けず、またあくまでも作家主導で展示を行うなど、そのコンセプトは変わりはありませんが、本企画ということで、会場スペースはもちろんのこと、参加作家の数も大幅にスケールアップしていました。以下、会場写真とともに、いつかの主要作を挙げてみたいと思います。
第一、二会場。こちらは去年も使われていたスペースです。
冒頭にそびえる戸谷成雄の「雷神」。まるで天へとつながる一本の柱です。荒々しい肌を露出しながらうねり、そして回転してのぼり行く龍のような力強さを感じました。
窪田美樹の「はれもの/景色と肌」。ちょうど第一会場と隣り合わせになった第二会場の入口で展示されています。車一台を丸々インスタレーションに仕立てていました。
工場跡ならではのスケールに見合った作品が多いのも注目すべきところです。中でも見逃せないのが遠藤利克の「空洞説」ではないでしょうか。建築物的な強固な存在感は、鉄骨も剥き出しとなった会場のスペースでも決して負けることがありません。さすがの貫禄でした。
工場の風景を半ば借景化した作品も登場します。こちらは冨井大裕の「ball pipe ball」です。鉄パイプを組み合わせたその姿は、天井を覆う幾何学的な金属平面と異様なほど調和していました。
今回からもう一つのスペースが加わっています第三会場へは、主会場(一、二会場)から工場の中をぐるっと回って2、3分ほどでした。
旧工場敷地内。
レールがまだそのまま残っています。
第三会場です。ワンフロアとしては、第一会場よりもさらに広大でした。
ともかくこちらの会場で圧巻なのは最奥部にある手塚愛子の「通路」です。長さ14mにも及ぶ織物が3枚、緩やかなカーブを描きながら悠然と釣り下がっています。
こちらの会場では大作のペインティングも目立ちました。(なお手前の床の作品は村岡三郎の「記憶」です。)
建畠朔弥の「午後二時のショッピングモール」。木彫でした。
繰り返しになりますが、プレ展と比べるとスケールこそ増したものの、展示の内容に関してはあまり代わり映えしない印象を受けました。とは言え、この鉄道工場跡という希有な空間自体へ向かい合った作家の格闘の結果を、飾ることなく、ダイレクトに感じ取るのには、他に例のない企画だと言えるのではないでしょうか。空間の魅力こそ高いものがありますが、個々の作品への演出は少ないので、かえって作品自体の出来がはっきりと浮かび上がっています。
連休末日、23日までの開催です。なお入場は無料でした。
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