「平常展 - 書画の展開 - 安土桃山・江戸 他」(2009年9月) 東京国立博物館

東京国立博物館台東区上野公園13-9
本館平常展(7~8室) - 屏風と襖絵、書画の展開 - 」(2009年9月)
8/25~10/4

特別展の間の中休みと言った様相の東京国立博物館ですが、平常展の装いはすっかり秋になっています。本館2階、江戸絵画のコーナー、第7室と第8室の「屏風と襖絵/書画の展開」を見てきました。

【書画の展開】(8室)





「秋草白菊図屏風」筆者不詳(江戸時代)
ススキなどのお馴染みの秋草に、非常に存在感のある白菊がむせるように咲き誇ります。秋の雰囲気を楽しむというよりも、菊花を愛でる作品と言えるかもしれません。

 

「芙蓉泛鴨図」 渡辺崋山(江戸時代)
颯爽たる線にて池に鴨の泳ぐ姿が描かれています。うっすらとピンク色を帯びた芙蓉の質感は重々しく、今にも池に落ちてしまいそうでした。鴨の飄々とした様子も好印象です。



「月に秋草図」長谷川雪旦(江戸時代)
中央に中秋の名月を、そして右に麦、左に稲や粟を描いています。キャプションによれば、右から月を挟んで順に収穫される作物を並べているのだそうです。

 

「牽牛花・葡萄栗鼠図」曽我蕭白(江戸時代)
いかにも蕭白らしい脱力系の描写が逆に面白さを与えています。何らかの余興で描いたのかもしれません。栗鼠がひょいっとぶどうの蔓にぶら下がっていました。





「秋草鶉図」土佐光成(江戸時代)
こちらは蕭白とは一転して、厳格な描法にて定番の秋草と鶉の風景を描いています。光成は光起の子で宮廷の絵師として活躍しました。



「秋海棠図扇面」佐脇嵩之(江戸時代)
今回の8室のハイライトはこれら数点登場する扇面画に他なりません。銀地に濃い顔料にて秋海棠を示しています。





「武蔵野図扇面」酒井抱一(江戸時代)
真打ち抱一の扇面画も展示されていました。草が流麗に靡く様子は夏秋草図の秋草を連想させます。うっすらと散る金砂子が華やかさを演出していました。

【屏風と襖絵】(7室)





「蔦の細道図屏風」深江芦舟(江戸時代)
芦舟の名作も展示中です。伊勢の第九段、宇津の山のシーンが描かれています。





「芦雁図屏風」筆者不詳(江戸時代)
金地を背景に、水辺へ群れるのは何羽もの雁でした。飛来するもの、また羽を休めるものなど、一見静かなようでも、至る所に動きを感じさせる作品です。

激しい混雑の予想される次回の「皇室の名宝」を前に、静まり返った空間で見る平常展もまた良いのではないでしょうか。

10月4日までの開催です。

注)平常展は指定されている作品を除き、全て写真の撮影が可能です。
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