◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

変な日本語、その9、「喧々諤々」。

2007-04-12 12:31:09 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                やかましいっ
 若いタレントが「一つ難しい言葉を覚えたんですよ」と言うので、ほおー、何だろうと思って聞いていたら「喧々諤々(けんけんがくがく)」などとぬかしおって、おっと失礼、言いました。(`з´) せっかく覚えるのなら正しい言葉を覚えてもらいたいものですが、なぜわざわざ変な言葉を覚えてくるのでしょうかね。自信を持って「喧々諤々というのは・・・」なんて彼女に教えた人がいたということでしょうか、それが間違いであるとも知らずに。
 これは非常に多くの人が間違えているのですが、正しくは「喧々囂々(けんけんごうごう)」です。大勢の人が勝手にそれぞれ意見を述べていてやかましいということで、政治家や評論家がワーワー言い合う某テレビ番組を想像すればいいでしょう。「けんけんごうごう」という音からもそういう場面が想像できます。「喧騒」、そうぞうしい様子、騒がしい様子、「喧伝」、やかましく言い伝えること、「囂々」、声や発言がやかましいほど高くなる様子、「非難囂々(ひなんごうごう)」というのもありますね。
 そして、こちらはあまり聞かない言葉ですが、「侃々諤々(かんかんがくがく)」、はっきり言う、正しいことを遠慮なく、権勢を恐れずに言うという意味で、ただやかましいのとは違います。「喧々諤々」は、「喧々囂々」と「侃々諤々」とが半分ずつミックスされたものなのです。意味の違う言葉なのに、響きやリズムが似ているせいでしょうか、いつの間にか交ざってしまったようで、大学の先生でも「喧々諤々」と言う人は多いので、若い人が間違いだと知らずに覚えてしまうのは無理ないことかもしれません。
 言葉から浮かぶ光景ということが共通理解には欠かせないと思うのですが、それがばらばらになるということは、見たことがないというのはもちろんですが、想像力が乏しいということもあるのかな? ひょっとして、「喧々諤々」はだれかがわざと作ったとか・・・?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする