◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「映画のほうをやられたり」って?

2007-04-30 09:46:53 | めちゃくちゃな敬語
             はーい、クルミあげまちゅよぉ
 これは、アニメ映画の声優として活躍している人に向かって若いタレントが発した言葉です。最近よく聞くようになった「やられる」ですが、これを敬語だとすんなり受け取れますか? 年配の人でも「する」の尊敬語のつもりで「やられる」と言いますが、私はこれが大嫌いで、どんな素晴らしい業績のある人でも、「やられる」と言った途端、げんなりします。昨日の「行われて」がさらに短くなった格好ですが、大体、「映画のほうをやる」とは一体どういう意味なのでしょうか。
 車をやる、子どもを大学へやる、餌をやる、やったぁ、やるねぇ、やります、商売をやっています、ガツンとやる、一杯やろう、やっちまえ、教えてやる、恨んでやる、こういうふうに使う「やる」に「れる・られる」を付けて尊敬語だというのは無理がありませんか。それに、「やられる」はあまりにも響きが悪く、尊敬語には向いていません。する、行うという意味だといっても、もともと砕けた言い方なのですから、無理やりこれを尊敬語にしなくても、ほかに言い方は幾らでもあります。
 あまり聞かれなくなりましたが、上品な雰囲気の年配のかたなどは、「~なさる」というシンプルな言い方をさらりとなさいますね。そうです、忘れていませんか、「する」の尊敬語として「なさる」があるのですから、「映画の声優をなさったり、ご活躍でいらっしゃいますね」と言えれば◎、合格です。それは自分のキャラに合わないというかたは、「映画の声優をされたり、活躍されていますね」でもぎりぎり合格ですが、「~なさる」と一度言ってみればいいですよ、敬語に慣れ、そういう敬語を使う自分に慣れればいいのです。「思い込み」はいいほうに利用しないとね。
コメント
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