◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

妙な方向へ進化(退化?)している「たり」。

2007-11-08 19:53:51 | 気になる言葉、具体例
                  ちょっかいかけたりかけられたり
 昨日、並列を示す接続助詞「たり」は「飲んだり食べたりする」のように2回以上繰り返すものなのに、「けがをしたり病気になったら」というふうに1回きりになっているということを書きました。正しい表現は「けがをしたり病気になったりしたら」で、「けが」と「病気」を「たり」で並べ、その後に、苦しいとか、仕事に行けないとか、治療にお金がかかるとか、けがや病気によって陥る大変な状況を述べていくわけです。
 では、「病気やけがになったりする可能性が」というのはどうですか? 本人は「病気」と「けが」を並べているつもりですが、「けがになったり」という言い方を普通はしませんね、「けがをしたり」です。よって、「病気になったりけがをしたりする可能性が」と言わなければいけません。並べて述べるときは「~たり~たり」という基本を無視すると、やはりこういうことになるようです。
 「いいことを言ったり貢献すると」や「悩んだり辞めたいと思っている人が」はどうですか? 「いいことを言う」と「貢献する」は並列なのか、「いいことを言う」は「貢献する」に含まれるのか、いまいち分かりません。「悩む」と「辞めたいと思っている」は並列なのか、「悩んだ」結果、「辞めたいと思っている」という状況になったのか、いまいち分かりません。なーんか、すっきりしませんねぇ。並列でないのなら、「いいことを言ったりして貢献すると」「悩んだりして、辞めたいと思っている人が」というふうに言えばはっきりします。
 「集団で殴ったり蹴られたりの暴行を受け」なんていう妙な表現も聞きました。せっかく「~たり~たり」という基本にのっとっているのに、惜しい、実に惜しい! 「殴った」と「蹴られた」、主語が替わっています。正しくは「集団で殴ったり蹴ったりという暴行を受け」ですが、「集団で殴る蹴るの暴行を受け」というのがよく聞く普通の表現ですね。あ~、本当に惜しい。
コメント
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