◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

すっかり定着した1回きりの「たり」。

2007-11-07 20:03:28 | 気になる言葉、具体例
                     行ったり来たり忙しい
 6月7日に接続助詞「たり」について書きましたが、「けがをしたり病気になったら」というような1回きりの「たり」がすっかり定着したようです。若いアナウンサーのほとんどはこれがおかしいとは思っていないようですね。並べて述べるときは「~たり~たり」、何かを例として挙げるときは「~たり」なのですが、この区別をしていないのです。並列なのに、「寝ている人を起こしたり邪魔しないように」とか、「迷子になったり逆走してしまう危険性があります」とか、「捨てたり売却する前に」とか、変な言い方が毎日聞こえてきます。
 並列を示す接続助詞「たり」は、「行ったり来たりする」「売ったり買ったりする」「飲んだり食べたりする」のように2回以上繰り返すものですから、「寝ている人を起こしたり邪魔したりしないように」が正しい言い方です。これ以外に考えられるのは、「寝ている人を起こしたりしないように」か、「寝ている人を起こしたりして邪魔することのないように」か、これだと、「~たり」は1回で、例を挙げる言い方になります。つまり、「寝ている人を起こしたり邪魔しないように」は、そのどちらでもない中途半端な言い方なのです。
 言いたいことは分かるからいいじゃないか、なんて思っていたら、「糸が絡まったり、下糸の調節は要りません」などというあほなことを言う人がもっと増えますよ。これは、「糸が絡まったりせず、下糸の調節も要りません」と言わなければならないところで、「~たり」のことを全く分かっていません。基本を無視しているとこうなるよぉ~(´д`)という実例です。それにしても、このセリフ、もう何年にもわたって聞かされていますねぇ。でも、ちっとも慣れませんよ。
 先日、NHKのニュースで久々に「ボートに乗ったり泳いだりして海を渡ってくる」「切ったり貼り合わせたりして形を作る」という正しい表現を聞きました。でも、NHKですら、「たり」の繰り返しが残っているのはほんの一部ですから、これも、もうあきらめるしかないかなぁ~?
コメント
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