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滋賀県内の27ヶ所の福祉施設の作家たちが思いのままに造った作品が展示されているのですが、純粋に驚くのは滋賀県だけでもそれだけの施設が必要で、多くの方が支援して福祉にたずさわっておられることでしょう。
障害者雇用促進法で企業に雇用義務は設けられてはいますが、それはごく一部の方であり、実際には施設で過ごされている方が想像以上に多いことに気付かされます。
企画展で展示されている各作家の作品は、どれもその人らしい表現で造られていて“現在進行形”と題されてはいるものの、実に面白くユニークな作品が多かったと思います。
そこにはアールブリュットやボーダレス・アート云々といった言葉よりも、創作することの楽しさが凝縮されているような展覧会でした。
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興味深かった作品を紹介すると...
和紙に色鉛筆で塗り進めていくと毛羽立ち(「もけもけ」)が出る。その「もけもけ」がグラディエーションのような絵の中で他の色に移って出来たパステル画のような作品。
展示方法が実に素晴らしく、他の作家の作品を含めてホテルのロビーに展示されていても全く遜色のない出来栄えの作品の一つでした。
家族への愛情に満ちた書の作品がありました。
「母」という字を書いた書ですが、書を観ていると母の視線や鼻を想像させる優しい顔に見えてきます。
これは彼の家族への愛情が、書からにじみ出るようにこちらに伝わってくるということなのだと思います。
“何事も動作がとても早い”という彼は、作業の待ち時間があるとありとあらゆる紙製のものに絵を描き込むという。
しかもその絵は描き終わるとすぐに破り捨ててしまうそうで、捨てる前にくださいと頼むと絵をくれるそうですが、その絵を見つけると破って捨ててしまうと紹介されていました。
絵を描く行為そのものを楽しんで、そこで全てが完結するということなのでしょうか。会場には実際に破り捨てられた絵をつなぎ合わせられるコーナーがありました。
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2階へ行くとワークショップが開催されていて、「クレヨンでつぶつぶづくり」というイベントに参加しました。
クレパスでカラフルに四角形を描き続ける彼が求めているのは絵を描くことではなく、クレパスで描くうちに出てくるカスを集めて指でこねて集めること。
実際にやってみると最初はうまくいかないのですが、コツを覚えるとカスを集めて丸めることができるようになります。
先に始めていた方と向かい合いながらの沈黙の中、クレヨンをこすり続けているとどんどんと夢中になりのめり込んでしまう。
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ただひたすら単純な繰り返し動作をしていると“何か目の前の光景とは違うものが頭に浮かんでくるような状態”にもなってくる。
6色のつぶつぶと絵?が出来たところで終了としましたが、これは一応は“緑の野原と菜の花畑、琵琶湖と太陽、青空と雪のshigaの風景と滋賀の子供たち”。
終わった後に急に目眩がしてクラクラしていたのは、それほど集中してこすり続けたということなのでしょう。
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NO-MAでは通常、1階・階段踊り場・2階・蔵での展示があり、今回も全ての場所での展示がありました。
この日の近江八幡市は雪が積もって寒々としているものの、来場者がチラホラとあることからすると、NO-MA美術館を訪れる方の多さが分かります。
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作品は他にも“新聞紙を丸めら棒(「ぽかぽか」)を作って曲げたりつないだりした作品”や“将棋好きの彼が仲間に将棋を教えるため土で作った駒で遊ぶ将棋”、“思いのままに作った人生ゲーム”など子供の頃の遊び心を思い起こさせる作品も多数。
ドングリを飾りに使った作品も幾つかあり、温かみを感じる企画展で楽しめました。
言葉が足らず魅力を伝えることが出来ませんが、興味深い展覧会を準備された方々の労力に感謝したいと思います。
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