僕はびわ湖のカイツブリ

滋賀県の風景・野鳥・蝶・花などの自然をメインに何でもありです。
“男のためのガーデニング”改め

「湖北のアールブリュット展2020」~十里街道生活工芸館テオリア~

2020-08-06 19:46:15 | アート・ライブ・読書
 長浜市では例年、秋のイベント「アート・イン・ナガハマ」と歩調を合わせるように「湖北のアールブリュット展」が開催されてきました。
「アート・イン・ナガハマ」は、新型コロナウイルスによる感染が終息していないため、何らかの形での開催を目指されていますが、作家さんのブース展示は正式に中止が決定。
毎年楽しみにしている作家さんたちの作品に出会うことが出来なくなり、残念この上ない中、「湖北のアールブリュット展2020」は開始時期を変更しての開催となりました。

会場となったのは「十里街道生活工芸館テオリア」という工芸作家の展示や、創作工房として教室なども開かれている店で、カフェ&レストランも併設。
大通寺の境内にある蓮池の横から出たほぼ正面にテオリアがあり、入口で検温と消毒・連絡先の記入をした後、2階にある会場へと向かいます。



会場内には所狭しと絵画や粘土作品が並び、多様な作品に目移りしながらも一つ一つの作品を見ていく。
何度も見た作家の作品や、初めて見る作家の作品など多様な作品からは、湖北には優れた作家が何人もいることに改めて驚きを感じてしまいます。



「無題」と名付けられている鈴木彩華さんの作品は、手に絵の具をつけて勢いよく布を引っ張り、創作されたものだという。
鈴木さんの作品作りは、モノを掴んだり、握って引っ張ったりする彼女が持つ手の動きを活かそうとして、作品作りが始まったとありました。


「無題」...鈴木彩華

武友義樹さんと三橋真巳さんコラボレーションは、何度か見た作品ですが、今回は畳の上に展示です。
武友さんは、紐状の粘土を巻き上げながら大きな「つぼ」を作られます。
信楽焼でいう「ひねり」という作り方かと思いますが、積み上げて固定する時の指の跡が印象的です。


「つぼ」...武友義樹

「つぼ」の周りを取り囲んでいるのは、三橋真巳が作った丸めたクラフトテープ。
テープの粘着が指にくっつく感覚が面白いようで、ベッドに横になってテレビを見ながら、丸めたクラフトテープを積み上げていくそうです。


「無題」...三橋真巳

湖北のアールブリュット展で毎回思わず吹き出してしまうような楽しい作品は吉居裕介さんのカッパシリーズでしょうか。
新型コロナ感染症でみんながマスクをしていますが、この「マスクカッパ」でもマスクをしたカッパが勢ぞろいしています。


「マスクカッパ」...吉居裕介

「令和カッパ」と名付けられた作品は、どこが令和かと思いきや、カッパが並んで一文字ならぬカッパ文字を表しています。
吉居さんのカッパシリーズのコーナーにいると、ユーモラスなカッパの姿に心が安らぎます。


「令和カッパ」

破天荒で面白いのが、背中にギョウザを乗せている不思議な集団の「ギョウザカッパ」です。
なんでカッパがギョウザを乗せて勢揃いしているのか、全く分かりませんが、この面白さはたまらない。


「ギョウザカッパ」

「おじぞうさん」を作られる片山みづほさんも湖北のアールブリュットの常連作家です。
片山さんの「おじぞうさん」は、あちこちの美術展で何度も見ましたが、素朴でありながらもやさしさに満ちた作品だと思います。


「おじぞうさん」...片山みづほ

教野雄樹さんは、鳥や昆虫・恐竜など色々な物を作っておられるそうで、今回は得意にしておられる恐竜の作品で登場です。
恐竜たちが一同に並ぶ姿には独特の味わいがあり、恐竜を模写したというより、想像を膨らませて作られた作品なのだと思います。


「恐竜」...教野雄樹

今回の「湖北のアールブリュット2020-地域と共に育ち、生きる-」のポストカードにも掲載されている不思議な作品は、梅村文也さんの「無題」です。
見様によって貝殻にも見えますし、クラゲの一種にも見える。あるいは臓器を連想してしまうこともあるかもしれません。


「無題」...梅村文也

スケッチブックの紙を3枚つなげて描いているのは、清水希さんの作品で、絵は季節の花や思い出の風景から選ばれているそうです。
キャプションには“気持ちを全身で表現されるため、腕のコントロールが難しい希さんですが、キャンパスに向かう姿からは「描きたい」という情熱が伝わってくる”とあります。


「無題」...清水希

林風香さんは、絵の具を付けた指先でキャンパスにタッチして1つ1つ色を付け、重ねられていくそうです。
時にはキャンパスを掴んだり、投げたり、顔や床にまで絵の具を広げながら大胆に作り上げていかれるといいます。
力のこもった部分と淡さのバランスが面白い作品だと思います。


「無題」...林風香

湖北のアールブリュット展では「近江学園」の作品コーナーが設けられており、数点の作品が展示されていました。
近江学園は1946年に設立され、「この子らを世の光に」という考えの元、人は主体的で社会的存在であることを目的に事業を行われてきたといいます。

近江学園の作品の1つに魚のような、船のような、あるいは島のようなものに神社が建てられている作品がありました。
この不思議な作品を見て、竹生島神社のかわらけ投げを思い起こしてしまったのは、拝殿から見下ろしてかわらけを投げる鳥居を連想したからでしょう。



「十里街道生活工芸館テオリア」を出て振り返ってみると、お城の天守閣のような建物だったことに気付く。
こんなギャラリー&カフェがあったことを初めて知りましたが、こういう空間が長浜にあったのですね。




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