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第7代天皇・孝霊天皇の時代(原史時代)に天之御影命が三上山の山頂に降臨し、それから約千年の間、御上祝の三上氏が清浄な神霊の鎮まる厳の磐境として祀ったとされます。
718年になると元正天皇の勅命を拝した藤原不比等が現在の場所に「御上神社」を造営し、国宝に指定された本堂を始め、重要文化財の拝殿・楼門・摂社若宮神社本殿などが建造されていったという。
「御上神社」が神奈備として祀る三上山の山頂には「奥宮」や「磐座」があるといい、登山を兼ねて奥宮へ参拝してきました。
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ルートは表登山道から登って奥宮まで行き、裏登山道を下って登山口に戻るルートを選択。登りのコースタイムは1時間くらいのスローペースで行きます。
三上山が松茸山になる時期は、入山初穂料(500円)が必要となるということでしたので、登山口近くのお店で初穂料を納め、表登山口の場所を教えてもらう。
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表登山道は急勾配で健脚向きのコースとなっていましたが、最初は体が慣れていなかったこともあってゆっくりと登っていったものの急登が続くので結構きつく感じます。
登り始めに寒さを感じていたのが、うっすら汗をかいて体が暖まってくるようになる頃には、下界の騒音が遠のいていって唯々登っていくことに集中する。
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急に道がなだらかになって整った石段が見えてくると、その上には妙見堂跡の広場が広がります。
三上山の登山道にはかつては御堂や茶屋や宿屋・水屋などがあったようで、途中に潰れた建物の残骸が廃墟化していたのは山頂の奥宮への参詣者が利用していたものか。
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ただ、現在の妙見堂跡には灯籠と石碑はあるものの、ススキ野と化しており、通り過ぎるより他にないが、かつては立派な御堂があったのかと思う。
神奈備の神山に、北極星または北斗七星を信仰する妙見信仰の御堂があったのは不思議に思えますが、近江三上藩主だった遠藤家の一族の妙見信仰が関係するという説があります。
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妙見堂跡を越えるとまた急登の登山道が続きますが、そのまま登っていくと「割岩」の看板が見えてきました。
近づくにつれて話し声が聞こえてきて、人の姿が微かに見え隠れしている。
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大きな岩が2枚ありましたので、これが割岩かと思っていると、人の声は随分と上の方から聞こえてくる。
そして大岩の上部に見えていた人の姿がすぐに大岩の中へ消えていく。
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大岩に鉄鎖が吊るされていましたので、どうやら割岩はこの上部にあるようです。
割岩を通ることで穢れを落とし再生を図るといいつつも、鉄鎖での大岩登りにはちょっとしたスリルとアドベンチャーを感じつつ、上へ上へと登っていく。
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割岩の前まで来るとその幅がかなり狭いため、すんなりとは抜けられそうにないのに気付く。
ザックを背負って通り抜けるのは無理そうで、ボディバックだけの当方もバックの位置を変えて何とか通り抜けられました。
先客がここで時間をかけて苦労していたのも、よく理解できます。
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下は割岩の間にいる時に撮った写真ですが、周囲は岩に囲まれ、岩の中に閉じ込められたような空間です。
太郎坊宮など岩と岩の間を抜けていく所はありますが、ここは経験したどこよりも狭い。
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割岩を通り抜けた後、振り返って大岩を見る。
ちょうど人のお腹の辺りに岩が突き出ているのが通りにくさの原因でしょう。
看板に「肥満度確認可能」と書かれていたのも笑えない話ですね。
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さて、表登山道が急勾配で健脚向きコースとされているのは実はここからが本番です。
ここから頂上までは岩が剥き出しの岩場で、岩登りが延々と続きます。
二足歩行では登れる道ではないので両手を使って手と足の置き場を探りながら登ることになります。
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ただしよく見ると一枚岩に足を掛ける場所が作られており、鎖の他にもロープの吊るされた場所があり、楽しみながら岩を登っていけます。
途中には琵琶湖まで見通せる絶景ポンイトがあり、ここで休憩しながら景色を楽しみます。
湖南地方の琵琶湖は幅が狭くなっていますので、湖西の山々がよく見えますね。
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一息ついて後は頂上まで一気にと思いきや、まだ岩場は続く...。というか頂上まで岩場の連続です。
途中に手すりが設けられているところは楽に登れますが、ない所は相変わらずの四つ足状態で登ることになります。
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岩ばっかりで嫌になるかというと、岩登りばかりなので楽しくなってくるというのが実際の気持です。
三上山の表登山口は面白いですね。もっともここが高山だったら登れませんけどね。
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頂上真近には先ほど景観の広がっていた場所とは別に展望台があり、こちらでは大きな一枚岩に腰かけて景色を楽しみます。
角度の関係で琵琶湖は樹が邪魔になって撮りずらいのですが、角度を変えると高度の違いもあって先ほど見た景色とは感じが変わります。
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見晴台の大岩に座って景色を見ていると、おばぁさんが一人来られたので“頂上はもうすぐですか?”と聞いてみると、“奥宮の鳥居はもうそこに見えてるよ。”と教えてもらい最後の一登りをする。
大きな神社や寺院には山頂に奥之院や奥宮・磐座がありますので、機会を見つけて登っていますが、やっと念願の三上山(御上神社)の奥宮に参拝出来た。
しかも表登山道は巨岩が多く、岩登りを楽しめましたので二重の嬉しさです。
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祠は3つあり中央の大きい祠に「御上神社」の御祭神と同じ「天之御影命」が祀られています。
「天之御影命」は、製鉄・鍛冶の神とされ、三上山周辺の遺跡からは銅鐸が集中して発見されているといい、かつてこの地には製鉄の文化があったとされています。
また、三上山には「俵藤太(藤原秀郷)の百足退治」(瀬田唐橋に現れた大蛇(龍神)に頼まれ、三上山に住む百足を成敗した。)の伝説が残ります。
百足を成敗した藤太は“使ってもつきない巻絹、米のつきない俵、思うままに食べ物のでる鍋や鎧・太刀と赤銅の釣鐘をもらった、”と伝わります。
三上山には古くから鉄、銅などの鉱脈があり、鉄の鉱脈を黒百足、銅の鉱脈を赤百足とよんだとする伝承があり、三上山と製鉄との関わりが深かったことが伺われる伝説です。
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そして山麓の「御上神社」や琵琶湖まで続く平野を見降ろすような位置には磐座が祀られている。
磐座は大きな岩ですが、その下には更に大きく境目が見えないような一枚岩があるのも、巨岩の多い三上山らしい姿です。
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奥宮に無事参拝出来ましたので今度は裏登山道から下山します。
裏登山道から見る鳥居は、また少し違った雰囲気があり、山頂の宮の鳥居の印象はこちらの方が強いかもしれません。
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比較的ゆるやかとされる裏登山道でしたが、頂上付近からしばらくは木段の急坂が続き、その後も岩が剥き出しになった道で歩きにくい。
表登山道と裏登山道とでは違う山に登っているかのように印象が異なります。
裏登山道では何人かの登山者に出会いましたので、裏登山道から登られる方が多そうだという印象もあります。
どちらかというとシンプルに登る裏登山道でしたが、途中に「姥の懐」という岩穴がありました。
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聳え立つような巨岩の先にぽっかりと開いた穴が見え、道が悪いため行きにくい場所ではありましたが、上まで登ってみる。
別称「むかでの穴」と看板に書かれていたのが薄気味悪いが、上にある黒い穴がどうしても気にかかる。
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岩穴の前まで来ても中は真っ暗で何も見えない。
フラッシュをたいて懐の内部の様子を確認すると、人が一人くらい入れそうなスペースはあったが、中には何もなく信仰の対象とはなっていないようです。
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下山した後、御上神社へと参拝に向かいます。
振り返れば三上山の姿。ついさっきまであの山の上にいたのかと感慨に耽る。
コースタイムは登りが約1時間、下りが約40分とスローペースでしたが、見所が多くリピート登山したくなる山でした。
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山に登りたいのか、奥宮・奥之院・磐座を巡りたいのか曖昧になってきていますが、おそらく両方を求めているのでしょう。
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