しょっぺ!!


車窓からの俺の通勤路。これは今日の写真じゃないけど、今朝もこんな感じだった。
ブログの写真はケータイで撮ってるから、運転中はちょっと無理だ。
この写真は、以前、ジープからトイデジカメで撮ったんだったと思う。

この日も今朝も、氷点下5℃を下回る寒さ。
道の両側は、昭和4年の駒ヶ岳大噴火による焼失から再生した、自然の二次林だ。シラカバや、ミズナラ、ケヤマハンノキといった広葉樹が中心で、ところどころに植林されたらしいカラマツやトドマツの人工林が混じる。
道路は、黒々と濡れている。
おかしいと思わないだろうか?

すでにお気付きの通り、寒さで本来凍結しているべき路面が、濡れている。
これは路面が暖かいのではなく、凍結防止のため、「塩」を撒いているのだ。
1990年代初頭に、スパイクタイヤによる粉塵公害のため、それを規制する法律が施行された。凍結や積雪のない道路でのスパイクタイヤの使用が禁止されたのだ。路面によっていちいちタイヤを履きかえるのは現実的でないため、冬タイヤは、「スタッドレス・スノータイヤ」になった。スタッド、すなわちスパイクピンのない冬タイヤだ。

そういや、元同僚に変人がいた。そいつはスパイクタイヤを1セットトランクに積んで、ドライ路面ではスタッドレス、凍結や積雪になると、そのつどその場で、タイヤを全部スパイクに交換していた。常識では考えられないような奴って、ホントにいるのだ。スポーツ万能、成績優秀なのだが、オツムのどこか肝心なネジが2-3本飛んでしまってるようなエキセントリックな奴だった。あの変人はまだ、トランクにスパイクタイヤを積んでるのだろうか。

いや、その変人はどうでもいい。
タイヤがスタッドレスになって、凍結路面では注意が必要になった。市街地では、交差点の停止位置を中心に積雪路面が磨いたように凍結する「ツルツル路面」が出現し、クルマのみならず、歩行者にも危険な状況になった。
それを解消するため、凍結防止剤が撒かれるようになったのだ。
凍結防止剤は、融解熱を利用している。そして、水に溶け、安価な塩系の化合物が主に使われる(一部氷酢酸も使われていると聞いたことがあるが)。塩化ナトリウム、塩化カルシウム、その他塩化ナントカなんてやつだ。どれもしょっぱい。食品添加物になるくらいなので、一応人体には無害だが、過剰摂取したらその限りではあるまい。道路から流出する塩水による土壌汚染も発生しているが、なぜか大きな問題としては取り上げられていない。

凍結防止剤も、本来の目的どおりに札幌みたいな都会の街中に撒くのならまだわかる。しかし、俺の通勤路みたいに、一時間に数えるほどしかクルマが通らないようなド田舎道にも、遠慮なく塩は撒かれているのだ。最近はわざわざオーストラリアあたりから塩を輸入してまで撒いているという。
撒かれた塩は路面の氷や雪を溶かして、海よりも濃い塩水になり、タイヤに跳ね上げられて、車体の隅々まで滲みていく。ちょっとやそっとの洗車では、絶対に落とせない。そして塩分は車体を強烈に腐食していく。特に、排気管やブレーキ周りのように、熱を持つ部分では著しい。俺のジープのマフラーテールパイプは後輪の真後ろにあるのだが、新品から一年で錆びて穴が開いたし、以前乗っていたキャラバンのブレーキディスクは、内側(ホイールから見れば裏側)がえぐれるように錆びていた。サスのロアアームがサビで切れてしまったクルマもある。安全確保のために撒かれているはずの塩の影響を受けるのは、皮肉なことに安全に直結する部分ばかりなのだ。
一時多発した車輪脱落の原因としても、塩の影響を指摘する声はあった。しかしそれもなぜか、いつのまにか取り上げられなくなってしまい、もはや塩は無分別に撒かれ放題の状況だ。

塩による攻撃に対し、クルマのユーザとしては、とにかく自分で防衛するしかない。
まずは、現に使っているクルマなら、とにかくこまめに下回りを洗うこと。コイン洗車場の高圧温水洗車で十分だ。ブレーキの裏やフェンダーの中、マフラーまで、とにかくマメにゆすぐ。
新車を買うなら、追加料金を払っても、下回りの重防錆コーティングは必須だ。シャシブラックは塩には無力だし、新車のアンダコートはどっちかといえば防音のために施工されているようなので、それだけでは不十分。POR15とか、ノックスラストみたいな厚膜の耐水耐チッピング塗装を、きっちり施してやることだ。
ジープでいろいろ試したが、結局、マメに洗うのが一番だった。車検でシャシブラックを上塗りしても、塗膜の下にサビがあっては、かえって悪い。最悪、塗膜の下でサビが進み、塗膜だけで形を保っているようなことになるのだ。
使用過程車に塗装するなら、とにかくサビは徹底的に落とさなければ、塗る意味がない。そしてそれは、残念ながらほぼ不可能に近いのだ。

俺のサンバーには、冬前に下回りにスプレーグリスを吹き付けている。AZとかの、特売で¥198くらいで売られている、黄色いボトルのやつだ。
ちょっと触りたくない仕上がりになるのが欠点だが、とりあえず防水、あるいは撥水の用は足りるようだ。その上で、こまめに下回りを洗うことにしている。それでも年々サビは広がっているように感じるのだが。
それをマネするやつもいないだろうが、一応申し添えておくと、命が惜しいならブレーキやゴム部品にはかけないこと。あと、施工時は自分がグリスまみれになる覚悟が必要だ。
なお、そのグリスの話を友人である本職のクルマ屋にしたら、目を丸くして驚き、爆笑していた。なので、少なくともマトモな方法じゃないのは確かだろう。変人扱いされるかもしれないぞ。
ま、トランクにスパイク4本積んでた奴よりは、少しはマトモかもしれないけどな。
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