最近、今はそうは言わない古い言葉が思わず出てきてしまって、笑われたり、自分でも苦笑いしたりすることがある。
国電: 今のJR。日本国有鉄道時代の大都市圏の鉄道、車両の名前。もっと昔は鉄道省だったので省線(電車)と言った。「JR」が定着する前に、名前を公募して、選定委員長の小林亜星さんから「E電」とはなやかに発表があったが、まったく使われず、消えてしまった。
乳母車: 今のベビーカー。そのほとんどがバギー。 乳母車は籐でできていて、四輪だった。乳母って、昔々に実母のほかに乳をあげる女性のことだろうが、すくなくとも戦後はほとんどいなくなったと思う。乳母が傘でもさしながらゆっくり、幌のついた乳母車を押す、大正ロマンの世界?
鼻紙、ちり紙: 今のテッシュや、トイレットペーパーに相当。薄く、やわらかく鼻をかんだり、トイレで使用しやすくした紙。今考えれば、薄くてもけっこうごわごわと固かったり、隙間だらけだったりした。
護美箱: 今のゴミ箱。「ゴミ」を「護美」に単に当て字したもので、昔はこの名前を町でも良く見かけた。私は昔、机の引き出し一つを「ゴミ箱」にして、万が一必要になるかもしれない書類をどんどんその中に入れていた。突然必要になると、漁って探し出す。数ヶ月して一杯になると、下から捨てる。パソコンの「ごみ箱」のように。
歯磨き粉:これは、内容が変わっても言葉がそのまま用いられている。今ではチューブ入りが普通だが、昔我が家では、歯磨きは粉末を入れた細長いプラスティックの箱に入っていた。蓋を開けて、歯ブラシを押し付けて歯磨き粉を付けて磨いた。今考えると、家族みんなで使ってたのが信じられない。
こおもり傘: 今は単に傘という。昔の洋傘は黒色でこおもりが羽をひろげたようだった。なお、じゃのめ傘など和傘に対して、こおもり傘は洋傘に属する。今でも、出かけるときに、「ちょっと!こおもり出してくれ」などと言う人もいる。(え?私だけ?)
ズボン: 今のパンツ。ズボンは現在でもまだ立派に使われています。いや、使っています。だってパンツはおかしいでしょう、下着じゃないんだから。だって例えば「半パンツ」とは言わないでしょ?