奥田英朗「家日和」を読む
奥田英朗著「家日和」2007年4月、集英社発行を読んだ。
どこにでもありそうな普通の家庭が、ちょっとだけずれていく話が6編。特に大きな不満はないのだが、なんとなく気が晴れない妻、生活に目覚めた夫と妻のバランスの妙。バカバカしいと言えば言えるが、どろどろしたところがないので、さわやかに、楽しく読める。
初出は、「小説すばる」の2004年9月号から2006年10月号で、加筆、訂正した。
「サニーデイ」
ネットオークションにはまる主婦の話。子どもの成長とともに家族の団らんが少なくなり,不要になったキャンプ用品をネットオークションに初めてかける。意外に高い落札価格と相手からの感謝の言葉に,ネットオークションにはまり若さを取り戻す。やがて、次々と夫のものまで売ってしまい、・・・。
「ここが青山」
会社が倒産して、主夫になる夫の話。妻が元の職場に出るようになり、夫はだんだん家事に目覚め、生きがいを持つ。「人間至る所青山あり」の人間はジンカンと読んで世の中のこと、 青山はセイザンと読んで墓場のことで、世の中どこにでも骨を埋める場所があるという意味だとの解説がある。(青山墓地は言葉がダブっている??)
「家においでよ」
妻が別居して出て行ったがらんとした何もない部屋にせめてカーテンだけはと、夫が買いに行く。徐々に、インテリアから調理用具、そして趣味のレコードプレーヤー、オーディオ、ホームシアターと、男の隠れ家を完成させていく。
「グレープフルーツ・モンスター」
若く粗雑な担当営業マンに、はまる40歳の主婦。夜、彼の夢を見るのが楽しみ。
「夫とカーテン」
突然カーテン屋を起業したいという何をやっても続かない夫。一気に突っ走る楽天家で、非常に人当たりが良い夫を心配する妻は、アイデアがわき、描いているイラストの評判があがる。
「妻と玄米御飯」
妻がロハスにはまり、玄米御飯、野菜ジュースが現れ、トンカツが消えた。ロハス仲間のおせっかいな夫婦も登場。最近賞をもらった作家の夫は、そんな生活をからかう小説を書くが・・・。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)
著者が力を抜いて楽しげにのびのび書いている様子がうかがえる。その分、こちらも気楽に読めるのだが、読み終わったあとで、すーと跡形もなく消えていく。それで良いといえば良いのだが。
奥田英朗(おくだひでお)は、1959年生まれ。雑誌編集者、プランナー、コピーライターを経て、1997年「ウランバーナの森」で作家デビュー。第2作の「最悪」がベストセラーになる。2002年「邪魔」で大藪春彦賞、2004年「空中ブランコ」で直木賞、2007年本書「家日和」で柴田錬三郎賞、2009年「オリンピックの身代金」で吉川英治文学賞受賞。その他、「イン・ザ・プール」「町長選挙」「マドンナ」「ガール」「サウスバウンド」など。
奥田英朗著「家日和」2007年4月、集英社発行を読んだ。
どこにでもありそうな普通の家庭が、ちょっとだけずれていく話が6編。特に大きな不満はないのだが、なんとなく気が晴れない妻、生活に目覚めた夫と妻のバランスの妙。バカバカしいと言えば言えるが、どろどろしたところがないので、さわやかに、楽しく読める。
初出は、「小説すばる」の2004年9月号から2006年10月号で、加筆、訂正した。
「サニーデイ」
ネットオークションにはまる主婦の話。子どもの成長とともに家族の団らんが少なくなり,不要になったキャンプ用品をネットオークションに初めてかける。意外に高い落札価格と相手からの感謝の言葉に,ネットオークションにはまり若さを取り戻す。やがて、次々と夫のものまで売ってしまい、・・・。
「ここが青山」
会社が倒産して、主夫になる夫の話。妻が元の職場に出るようになり、夫はだんだん家事に目覚め、生きがいを持つ。「人間至る所青山あり」の人間はジンカンと読んで世の中のこと、 青山はセイザンと読んで墓場のことで、世の中どこにでも骨を埋める場所があるという意味だとの解説がある。(青山墓地は言葉がダブっている??)
「家においでよ」
妻が別居して出て行ったがらんとした何もない部屋にせめてカーテンだけはと、夫が買いに行く。徐々に、インテリアから調理用具、そして趣味のレコードプレーヤー、オーディオ、ホームシアターと、男の隠れ家を完成させていく。
「グレープフルーツ・モンスター」
若く粗雑な担当営業マンに、はまる40歳の主婦。夜、彼の夢を見るのが楽しみ。
「夫とカーテン」
突然カーテン屋を起業したいという何をやっても続かない夫。一気に突っ走る楽天家で、非常に人当たりが良い夫を心配する妻は、アイデアがわき、描いているイラストの評判があがる。
「妻と玄米御飯」
妻がロハスにはまり、玄米御飯、野菜ジュースが現れ、トンカツが消えた。ロハス仲間のおせっかいな夫婦も登場。最近賞をもらった作家の夫は、そんな生活をからかう小説を書くが・・・。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)
著者が力を抜いて楽しげにのびのび書いている様子がうかがえる。その分、こちらも気楽に読めるのだが、読み終わったあとで、すーと跡形もなく消えていく。それで良いといえば良いのだが。
奥田英朗(おくだひでお)は、1959年生まれ。雑誌編集者、プランナー、コピーライターを経て、1997年「ウランバーナの森」で作家デビュー。第2作の「最悪」がベストセラーになる。2002年「邪魔」で大藪春彦賞、2004年「空中ブランコ」で直木賞、2007年本書「家日和」で柴田錬三郎賞、2009年「オリンピックの身代金」で吉川英治文学賞受賞。その他、「イン・ザ・プール」「町長選挙」「マドンナ」「ガール」「サウスバウンド」など。