hiyamizu's blog

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「老後に本当はいくら必要か」を読む

2010年07月26日 | 読書2

津田倫男著「老後に本当はいくら必要か」祥伝社新書192、2010年2月、祥伝社発行を読んだ。

「タイトルに偽りあり」だ。
老後の危機をあおって高リスクの商品を買わせていると銀行や証券会社の批判をし、老後の資産管理については、安全第一と当たり前のことをいうだけだ。そして、老後に必要な金額についても、過ごし方などによってさまざまだと言う。

表紙裏にはこうある。
もう、老後を思いわずらうことはない
老後の不安が世の中を被(おお)っている。何億円必要だとか、どれだけの保険に入らなければとか、さまざまな情報が飛びかう。だが、本当にそんな大金が必要なのだろうか。
そこに、金融商品を売り込む側が付け込む余地が生じる。虎の子の退職金を金融商品に注ぎ込んで、無くしてしまった人がいかに多いか。金融商品のカラクリを熟知する著者は、けっして手を出してはいけないと、警鐘を鳴らす。
大きな経済成長が見込めない日本において、資産を増やすなど無謀な話だと見極めることが大切。年金プラス月に二万円?もあれば充分に自足できることを、さまざまな角度から検証する。


証券会社は、大金持ちが損した場合には、さまざまな方法で取り戻すように手を打ってくれる。現金資産100億円以上が大金持ちで、10億円以上が中金持ちとすると、それ以下の小金持ちは熱心に勧める商品や、分かりにくい商品を買ってはならないし、おいしい特殊市場にはもともと参加させてもらえない。

定年後の心配が要らぬ理由(現実論)
1. 政権交代、つまり政治の変化
2. 高齢者の生活防衛意識の高まり
3. 企業が高齢者を受け入れてくれる希望
(要するに、圧倒的な多数派となる高齢者が立ち行かなくなる社会にはならないという楽観的主張)

定年後の心配が要らぬ理由(精神論)




津田倫男(つだ みちお)は、1957年松江生れ。一橋大学卒業後、都市銀行、外資系投資銀行などに20年勤務後、外資系ベンチャーキャピタル日本代表を経て、企業アドバイザーとして独立。著書に『M&A世界最終戦争』『60歳からのチャレンジ起業』など。



私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)

この本には老後に必要な金額は分からないと書いてあるだけだ。もちろん、人それぞれの状況により、また今後の社会の変化により、その金額を示すことはできないだろう。ならば、なぜ「老後に本当はいくら必要か」などというタイトルにしたのか。タイトルにひかれて読んでしまう自分も哀しい。
著者が勧める投資の方針も、リーマンショックの大波、といっても世間水準からみればさざ波、を一人前にかぶった私には当然のものに思える。

内容の主要な部分は、老後の生き方、考え方について述べている。哲学者でも、宗教家でもなく、エリートサラリーマンからベンチャーキャピタルに移った人に、人間は諦観が必要などと人生の生き方の講義をしてもらうつもりはない。上を見ずに下を見て生きろ的な底の浅い精神論にはうんざりだし、著者の勧める中高年起業家への道は突飛すぎる。


コメント
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