阿川佐和子著「会えばドキドキ この人に会いたい7」2009年11月、文春文庫、文藝春秋発行を読んだ。
「週刊文春」の連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」の第7集(文庫本)。
堀北真希、岡林信康、薬丸裕英、立川談春、児玉清、布施明、ジェロ、内館牧子、石原良純、中村メイコ、鈴木敏文、中曽根康弘との対談は部分読み。
角田光代
エッセイ等読むと、けっこういいかげんな性格のようなこと書いているが、前日泥酔しても朝6時に起きて仕事場へ向かい、4時45分に片付けをはじめて、5時に仕事場を出るという。なにしろ連載を20個ぐらいもっているというからすごい。18歳以降彼氏が一番長くいなかったのが3か月で、彼氏が社会に向けた窓で、窓がないと何にも興味もない自分だけの世界になってしまうという。恋愛を栄養に書いているらしい。
戸田奈津子
小学4,5年のとき外国映画を見て、あの素敵な連中が喋っている言葉を知りたいと思い、津田塾大に進んだ。当時、字幕の仕事は10人で足りてしまうので、とてもなれず、翻訳や通訳で食べていた。そして、「地獄の黙示録」撮影のコッポラ監督の通訳、世話役をして、彼が、「この映画を良く知っている彼女に字幕を」と言ってくれて、大学卒業後20年でやっとやりたかった字幕の仕事にたどり着いた。
トム・クルーズは仕事の鬼で、百万遍聞かれた質問にも笑顔で「君、いい質問するねっ」と言う。三越からチーズや缶詰を送って来て、熨斗に「お歳暮 トム・クルーズ」とあった。
福岡伸一
大部分の話は、「動的平衡」などのエッセイで読んだ内容だった。しかし、質問への答えは難しくなく、的確、簡潔で要領を得ている。本当に頭の良い人だ。
井上紀子
井上さんは、城山三郎の次女で、「父でもなく、城山三郎でもなく」を書いた人だ。
城山三郎「どうせ、あちらへは手ぶらで行く『そうか、もう君はいないのか』日録」に書いてあったように、城山は極端に誠実、一途な人柄だったようだ。
中嶋常幸
ゴルフを教え育ててくれた猛烈主義の父親に反発し、そしてやがて理解するようになる。タイガー・ウッズを、「運動能力の高さ、試合への準備、勝利への意思、どれひとつとっても世界一でしょう」と言って絶賛しているのが、哀しい。
その他、特別付録として、亡くなった忌野清志郎、筑紫哲也との対談を収録。思い出してみれが、阿川佐和子はかって筑紫さんのサブキャスターだったのだ。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)
幅広い人が登場し、佐和子さんがどんな人にもひょうひょうと遠慮無く聞き、話すのが人気の秘密だろう。寝転がって読むのには、簡単でスラスラ読めるので丁度良い。
阿川佐和子は、1953年東京生れ。作家・エッセイスト。
1999年、檀ふみ氏との往復エッセイ「ああ言えばこう食う」で講談社エッセイ賞
2000年「ウメ子」で坪田譲治文学賞
2008年「婚約のあとで」で島清恋愛文学賞を受賞
「週刊文春」の対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」は連載800回を超えた。