hiyamizu's blog

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綿矢りさ『勝手にふるえてろ』を読む

2011年01月02日 | 読書2

綿矢りさ著『勝手にふるえてろ』2010年8月文藝春秋発行、を読んだ。

最年少19歳で芥川賞を受けた綿矢りさも26歳、3年ぶり、4冊目の小説だ。主人公は、男性経験のない26歳OL。中学時代から一途に思う、完全な片思いの「いち」と、初めて告白された現実の彼「ニ」の間で揺れ動く。

一途な愛というより一方的な思いこみ。ただ相手はもちろん周囲にも全く知られないようにしっかり観察する。一方、現実の彼「ニ」には厳しく、冷静に対処する。

文藝春秋HPの本書の宣伝の中のインタビュ-で、綿矢さんはこう語っている。

相手をよく知らないからこそ、好き勝手に妄想できるのは楽しいですよね。距離は離れていてもずっと観察していて、思い入れがある分、ある意味、相手のことをよく分かっている。相手の反応や動作を見ては、「ああ、これもオツだね」と、拒絶することなくすべて受け入れている、そういう好きになり方です。

初出:「文學界」2010年8月号、単行本化にあたり加筆訂正



綿矢りさ
わたや・りさ、1984年、京都市生まれ。
2001年、高校生のとき『インストール』で文芸賞受賞、を受けて作家デビュー。
2004年、『蹴りたい背中』で、芥川賞を史上最年少で受賞。
2006年、早稲田大教育学部国語国文学科卒業。
2007年、『夢を与える



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大五つ星)

いくら、りさチャンが美人でも、四つ星は上げられない。主人公は周囲からはごく平凡なおとなしい女性を見られているが、内実はけっこう皮肉で策略家でもある。こんな女性の頭の中の考えを、巧みに文章化している。ただ、相変わらずごく狭い世界での心理描写が主で、後半のわずかな部分を除けば、ダイナミックさがない。



前述のインタビューで、結婚について、こう語る。京都弁がカワユイ。
ただ、好きな人と結婚しいひんのは悪いこと、妥協するのは簡単、という風潮がありますが、この小説のように、純粋な片思いを貫いていたら、結婚なんて実現しない。人間も動物なのに、好きという気持ちが種の繁栄に繋がらへんこともあるのは不思議やなあと。凄く好きな人とゴールインするのが幸せというのは分かるし、そしたら受け止めてもらうことになるけど、受け入れるっていうこともできるといいんじゃないかなあとと思って。

コメント
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