山本一力著『あかね空』文春文庫、2004年9月文藝春秋発行、を読んだ。
単行本は2001年10月文藝春秋より刊行されている。第126回直木賞受賞作。
第一部は、京都から江戸へ下った豆腐職人の永吉。技量一筋の永吉を支えるやがて妻となるおふみ。苦労の末、京風の柔らかい豆腐が売れるようになるが、おふみの長男しか愛さないからとの神頼みへのこだわりが一家のまとまりを壊していく。
第二部では、長男と次男・長女のずれ、対立から成功した豆腐屋に危機が訪れる。父母の代からの力強い味方と、アコギな商売敵がそこにつけ込む。
2007年に内野聖陽、中谷美紀主演「あかね空」として映画化されている。
山本一力
1948年高知県生まれ。
中学3年の春、上京して新聞の住込み配達員に。
都立世田谷工業高等学校電子科を卒業後、10年間、近畿日本ツーリストに勤務。
その後、様々な職業を経て、1997年『蒼龍』で第77回オール讀物新人賞受賞。
2002年『あかね空』で直木賞受賞。
著書に『ワシントンハイツの旋風』『欅しぐれ』『梅咲きぬ』『だいこん』など。
バブルのしっぽが残っていたとき、事業の失敗で約2億円の借金を抱え込み、その返済のために小説を書き始めた。
この作品は熱い作家山本一力が渾身の力を込めて書いた勝負作だが、縄田一男氏のこの文庫本の解説も熱い。
直木賞の選評では、平岩弓枝が、宝暦十二年八月と年代をはっきり決めて書いていて、そのことで、さまざまな時代背景が見事に取り込まれていると評価している。また、井上ひさしは、江戸という時代と、深川という場所を丸ごと書いてやろうという熱気が読者を巻き込んでいくと述べている。
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
時代背景、時代の空気、風俗、人情がよく勉強し、よく書けている。苦労して盛んな店を起こすまでの成功話と、徐々に崩れている家族の絆、店の危機、あやういとことでの逆転劇と大きな流れに、様々な話を持ち込んでの小波が混じりあい、一気に読ませる。
最初のページから、どうも読んだことがあると思って、パソコンに記録してある「読書記録」を調べてみたら、やはり既に2006年1月に読んでいた。(このブログは2006年3月から)それでも、再び面白く読んでしまった。
ただ、家族の絆を危うくするおふみの神頼みへのこだわりには、どうも納得しかねる。私には信仰心がないため、わざと話を上下に振っているように思えてしまう。話全体としてはまじめ一筋の永吉や、次男へのあたたかいまなざし、家族一体での力への信頼心が一本通っていて、江戸の庶民の生活も生き生きと良く書けている。
単行本は2001年10月文藝春秋より刊行されている。第126回直木賞受賞作。
第一部は、京都から江戸へ下った豆腐職人の永吉。技量一筋の永吉を支えるやがて妻となるおふみ。苦労の末、京風の柔らかい豆腐が売れるようになるが、おふみの長男しか愛さないからとの神頼みへのこだわりが一家のまとまりを壊していく。
第二部では、長男と次男・長女のずれ、対立から成功した豆腐屋に危機が訪れる。父母の代からの力強い味方と、アコギな商売敵がそこにつけ込む。
2007年に内野聖陽、中谷美紀主演「あかね空」として映画化されている。
山本一力
1948年高知県生まれ。
中学3年の春、上京して新聞の住込み配達員に。
都立世田谷工業高等学校電子科を卒業後、10年間、近畿日本ツーリストに勤務。
その後、様々な職業を経て、1997年『蒼龍』で第77回オール讀物新人賞受賞。
2002年『あかね空』で直木賞受賞。
著書に『ワシントンハイツの旋風』『欅しぐれ』『梅咲きぬ』『だいこん』など。
バブルのしっぽが残っていたとき、事業の失敗で約2億円の借金を抱え込み、その返済のために小説を書き始めた。
この作品は熱い作家山本一力が渾身の力を込めて書いた勝負作だが、縄田一男氏のこの文庫本の解説も熱い。
直木賞の選評では、平岩弓枝が、宝暦十二年八月と年代をはっきり決めて書いていて、そのことで、さまざまな時代背景が見事に取り込まれていると評価している。また、井上ひさしは、江戸という時代と、深川という場所を丸ごと書いてやろうという熱気が読者を巻き込んでいくと述べている。
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
時代背景、時代の空気、風俗、人情がよく勉強し、よく書けている。苦労して盛んな店を起こすまでの成功話と、徐々に崩れている家族の絆、店の危機、あやういとことでの逆転劇と大きな流れに、様々な話を持ち込んでの小波が混じりあい、一気に読ませる。
最初のページから、どうも読んだことがあると思って、パソコンに記録してある「読書記録」を調べてみたら、やはり既に2006年1月に読んでいた。(このブログは2006年3月から)それでも、再び面白く読んでしまった。
ただ、家族の絆を危うくするおふみの神頼みへのこだわりには、どうも納得しかねる。私には信仰心がないため、わざと話を上下に振っているように思えてしまう。話全体としてはまじめ一筋の永吉や、次男へのあたたかいまなざし、家族一体での力への信頼心が一本通っていて、江戸の庶民の生活も生き生きと良く書けている。