hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

山本一力『くじら組』を読む

2011年01月18日 | 読書2
山本一力著『くじら組』2009年3月文藝春秋発行、を読んだ。

江戸時代、土佐国室戸岬にはクジラ漁を行うくじら組があった。岬から鯨を発見する山見、クジラを追込む網船と、勢子船にのり銛で仕留める羽指、仕留めたクジラを浜まで曳航する持双船、いずれも伝統芸ともいえる技を持ち、危険を顧みない勇猛果敢な漁師達だ。

この山見が遠く沖合を通る異国の蒸気船(黒船)を見つけ、藩に知らせようと船を出すが、途中巨大なマッコウクジラの襲撃を受ける。
ここから、外様の土佐藩の奉行達、江戸の留守居役と、幕府の大目付、藩に潜り込んだ公儀隠密の駆け引きが始まる。くじら組は、宿敵となった巨大マッコウクジラに戦いを挑む。このクジラ名づけられた名前は「黒船」、頭が良くて、漁師達の考えを察知して裏をかいたりする。

なにせ山本一力、漁師達の人情味、男気は溢れ、武士達のサムライ魂も

初出は「赤旗」日曜版2007年1月~2008年6月。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

くじら組の漁師達の協力ぶり、クジラとの戦い、外様と幕府の駆け引きに加え、中浜万次郎、ペリーの黒船などが絡んできたりする。色々なことをよく勉強して書いているのだが、話が発散ぎみだ。真ん中過ぎで突然クジラの一人称になって語り、男達の話が最後はファンタジーになって終わる。



山本一力
1948年高知県生まれ。
中学3年の春、上京して新聞の住込み配達員に。
都立世田谷工業高等学校電子科を卒業後、10年間、近畿日本ツーリストに勤務。
その後、様々な職業を経て、1997年『蒼龍』で第77回オール讀物新人賞受賞。
2002年『あかね空』で直木賞受賞。
著書に『ワシントンハイツの旋風』『欅しぐれ』『梅咲きぬ』『だいこん』『ほかげ橋夕景』など。
バブルのしっぽが残っていたとき、事業の失敗で約2億円の借金を抱え込み、その返済のために小説を書き始めた。

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