斉藤美奈子著『ふたたび、時事ネタ』2010年6月中央公論社新社発行、を読んだ。
政権交代をはさんだ3年間に世間を騒がせた事件やら社会問題、政治問題を斬る辛口コラム。安倍首相のもと自民党が参院選で大敗した2007年、福田・麻生政権迷走の2008年、鳩山連立内閣が誕生した2009年。
斉藤さんの予想を上回るあまりに迷走の3年間だったため、今年の春の時点での追記が書き込まれているものも多い。
政治に関しては、突込みどころがありすぎて、非常識なことばかりで、さすがの口の悪い斉藤さんも、何を批判しても常識的になってしまい、言うのもうんざりしている様子だ。
メディアは、よく考えればたいしたことないネタを大げさに、しつこく報じる。一方で、センセーショナルではないが肝心なことは報じていないと斉藤さんは怒る。
二つだけ挙げる。
教育基本法改定に反対する市民主催の集会が各地でひんぱんに開かれているときに、大手広告代理店へ1回1000万円支払い、参加者の1/3から1/2が動員という政府主催のタウンミーティング。
(市民主催の方も組合の動員が大部分だったりして)
中高年のオジサンは、今の若者は本を読まないと嘆いてみせるが、昔の中高生と現代の中高生に違いがあるとしたら、昔は「見栄を張る」という文化があったことだろう。読んでなくても立派そうな書名をあげておく、とか。
(私も、昔、読みもしない朝日ジャーナルや、今や名前も思い出せないフランスの小説を持ち歩いていた)
本書は、2007年1月-2009年12月「婦人公論」、「DAYS JAPAN」、および共同通信配信コラムに加筆修正したもの。
斉藤美奈子
1956年新潟市出身。成城大学経済学部卒業。児童書の編集者を経て、『妊娠小説』でデビュー、文芸評論家となる。『文章読本さん江』で小林秀雄賞受賞。
ウィキペディアには「フェミニズム系」の論客とあった。
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
時事ネタは、とくに近年は動きが激しいので、鮮度のないネタはイマイチ面白くない。1年前のことでも、そうそうそんなことあったなと思ってしまうので、斉藤さんの切れ味も鈍る。
反権力、反マスコミの立場からのツッコミは小気味よい。リベラルな政治姿勢と、反骨精神は徹底しているが、やわらかさと自虐的なユーモアもある。
政権交代をはさんだ3年間に世間を騒がせた事件やら社会問題、政治問題を斬る辛口コラム。安倍首相のもと自民党が参院選で大敗した2007年、福田・麻生政権迷走の2008年、鳩山連立内閣が誕生した2009年。
斉藤さんの予想を上回るあまりに迷走の3年間だったため、今年の春の時点での追記が書き込まれているものも多い。
政治に関しては、突込みどころがありすぎて、非常識なことばかりで、さすがの口の悪い斉藤さんも、何を批判しても常識的になってしまい、言うのもうんざりしている様子だ。
メディアは、よく考えればたいしたことないネタを大げさに、しつこく報じる。一方で、センセーショナルではないが肝心なことは報じていないと斉藤さんは怒る。
二つだけ挙げる。
教育基本法改定に反対する市民主催の集会が各地でひんぱんに開かれているときに、大手広告代理店へ1回1000万円支払い、参加者の1/3から1/2が動員という政府主催のタウンミーティング。
(市民主催の方も組合の動員が大部分だったりして)
中高年のオジサンは、今の若者は本を読まないと嘆いてみせるが、昔の中高生と現代の中高生に違いがあるとしたら、昔は「見栄を張る」という文化があったことだろう。読んでなくても立派そうな書名をあげておく、とか。
(私も、昔、読みもしない朝日ジャーナルや、今や名前も思い出せないフランスの小説を持ち歩いていた)
本書は、2007年1月-2009年12月「婦人公論」、「DAYS JAPAN」、および共同通信配信コラムに加筆修正したもの。
斉藤美奈子
1956年新潟市出身。成城大学経済学部卒業。児童書の編集者を経て、『妊娠小説』でデビュー、文芸評論家となる。『文章読本さん江』で小林秀雄賞受賞。
ウィキペディアには「フェミニズム系」の論客とあった。
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
時事ネタは、とくに近年は動きが激しいので、鮮度のないネタはイマイチ面白くない。1年前のことでも、そうそうそんなことあったなと思ってしまうので、斉藤さんの切れ味も鈍る。
反権力、反マスコミの立場からのツッコミは小気味よい。リベラルな政治姿勢と、反骨精神は徹底しているが、やわらかさと自虐的なユーモアもある。