Shaun Tan ショーン・タン著“THE ARRIVAL”2007年10月Arther A Levine Books発行、を読んだ、というか見た。
革表紙のような古書風の装幀の大判の本で、中味には、コマ割り小分けにされたり、ページ一杯だったりの細密なセピア調の単色画が並ぶ。まったく文字のないグラフィック・ノベルだ。
著者のホームページでのこの本の紹介にはこんなことが書いてある(らしい)。
“The Arrival”は、文字のないイメージ・シリーズの移住物語で、忘れ去られた昔の話だ。妻と子供と貧しい街に住む男は、家族と別れ希望を求めて広大な海を渡って未知の国へ旅立つ。そこで彼は、異国の習慣、一風変わった動物、奇妙な浮遊体、そして分からない言語に困ってしまう。移民である彼は、スーツケースとわずかな金以外何も持たないで、住む場所、食べ物、仕事を見つけなければならない。彼は同情した人々に助けられる。彼らは、かって自身が話せなかった過去を持っていて、不可解な暴力、激変そして希望の世界の中で、もがき、生き抜いたのだった。
「アライバル」という翻訳書もあるようだが、なにしろ文字は巻末の作者あとがきのみ。しかも、ほとんど謝辞を捧げる人の名前の羅列。原書の方が良いのでは?
Shaun Tan(ショーン・タン)
以下、彼のHPより、
父親がマレーシアからオーストラリアにやってきた移民。西オーストラリア州Perthパースの北の郊外で育つ。学校ではいつも最も背の低い生徒だったが、絵の巧い子として知られていた。UWA(西オーストラリア州立大学)を1995年に卒業。現在メルボルンでフリーランスのアーチスト、作家として働いている。本書については、「喝采して迎えられた“The Arrival”は広く翻訳され(?)あらゆる年代の読者に喜ばれている」と書いている。
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
まったく文字のないグラフィック・ノベルというのはユニークだ。想像力で話をたどって、自分なりに膨らませていくのは楽しい。なにしろ英語の原書(?)を最後まで読みきったのは初めてで、うれしい。
古めかしいセピア色の絵が昔の時代の雰囲気を出している。絵は、人間がリアルに描かれているのに、都市、建物の外観はSF的、幻想的で、風変わりな動物や謎の食べ物に溢れている。未知の国にただ一人でたどり着いた主人公の心持ちを現しているのだろう。
人一人に必ず付いている不思議な生物が、愛嬌があり可愛い。
主人公に親切にしてくれた人も移民であり、かって自分の国で悲惨な経験をした人が多い。主人公の話の外に、彼らの辛い経験もこの本に描かれており、移民達には実にさまざまな悲惨な背景を背負っていることがわかる。そして希望にもえた新世界でゼロからスタートしたのだ。これらが米国、オーストラリアなど移民国の強さのひとつになっているのだろう。
革表紙のような古書風の装幀の大判の本で、中味には、コマ割り小分けにされたり、ページ一杯だったりの細密なセピア調の単色画が並ぶ。まったく文字のないグラフィック・ノベルだ。
著者のホームページでのこの本の紹介にはこんなことが書いてある(らしい)。
“The Arrival”は、文字のないイメージ・シリーズの移住物語で、忘れ去られた昔の話だ。妻と子供と貧しい街に住む男は、家族と別れ希望を求めて広大な海を渡って未知の国へ旅立つ。そこで彼は、異国の習慣、一風変わった動物、奇妙な浮遊体、そして分からない言語に困ってしまう。移民である彼は、スーツケースとわずかな金以外何も持たないで、住む場所、食べ物、仕事を見つけなければならない。彼は同情した人々に助けられる。彼らは、かって自身が話せなかった過去を持っていて、不可解な暴力、激変そして希望の世界の中で、もがき、生き抜いたのだった。
「アライバル」という翻訳書もあるようだが、なにしろ文字は巻末の作者あとがきのみ。しかも、ほとんど謝辞を捧げる人の名前の羅列。原書の方が良いのでは?
Shaun Tan(ショーン・タン)
以下、彼のHPより、
父親がマレーシアからオーストラリアにやってきた移民。西オーストラリア州Perthパースの北の郊外で育つ。学校ではいつも最も背の低い生徒だったが、絵の巧い子として知られていた。UWA(西オーストラリア州立大学)を1995年に卒業。現在メルボルンでフリーランスのアーチスト、作家として働いている。本書については、「喝采して迎えられた“The Arrival”は広く翻訳され(?)あらゆる年代の読者に喜ばれている」と書いている。
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
まったく文字のないグラフィック・ノベルというのはユニークだ。想像力で話をたどって、自分なりに膨らませていくのは楽しい。なにしろ英語の原書(?)を最後まで読みきったのは初めてで、うれしい。
古めかしいセピア色の絵が昔の時代の雰囲気を出している。絵は、人間がリアルに描かれているのに、都市、建物の外観はSF的、幻想的で、風変わりな動物や謎の食べ物に溢れている。未知の国にただ一人でたどり着いた主人公の心持ちを現しているのだろう。
人一人に必ず付いている不思議な生物が、愛嬌があり可愛い。
主人公に親切にしてくれた人も移民であり、かって自分の国で悲惨な経験をした人が多い。主人公の話の外に、彼らの辛い経験もこの本に描かれており、移民達には実にさまざまな悲惨な背景を背負っていることがわかる。そして希望にもえた新世界でゼロからスタートしたのだ。これらが米国、オーストラリアなど移民国の強さのひとつになっているのだろう。