hiyamizu's blog

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ジェーイムズ・P・ホーガン『巨人たちの星』を読む

2011年06月10日 | 読書2
ジェーイムズ・P・ホーガン著、池央耿訳『巨人たちの星』創元推理文庫1983年5月、東京創元社発行、を読んだ。

星を継ぐもの』、『ガニメデの優しい巨人たち』につぐ、シリーズ最終作。『星を継ぐもの』が科学知識を駆使したハードSFで、ミステリーだったのに対し、本作は、ヴァーチャルリアリティ、スーパーコンピューターがSF的ではあるが、主体は宇宙の2国家と地球の国連、米国、ソヴィエトなどがからむ政治サスペンスだ。

ガニメアンの子孫であるテューリアン人は、旧作の人工知能コンピューター・ゾラックを大きく発展させたヴィザーを持っていた。ヴィザーは、離れた場所に何の違和感もなく存在するようなヴァーチャルリアリティを実現し、交通、知識、個人生活などすべて管理する社会だった。テューリアン人の住む星系には、彼らの他に、5万年前のミネルヴァの崩壊時に助けられたジェヴレン人がテューリアン人の優れた技術を教えられ、自立と勢力拡大していた。



ジェイムズ・パトリック・ホーガン(James Patrick Hogan、1941年 - 2010年)
イギリス、ロンドン生まれ。
デビュー作『星を継ぐもの(Inherit the Stars) 』、続編『ガニメデの優しい巨人たち(The Gentle Giants of Ganymede) 』の完結が編本作『巨人たちの星(Giants’ Star) 』だ。
『造物主の掟』『造物主の選択』などハードSFの巨匠。
1983年に『断絶への航海』、1993年に『マルチプレックス・マン』でプロメテウス賞を受賞。日本でもSF作品を対象に送られる星雲賞を(1981年『星を継ぐもの』、1982年『創世紀機械』、1994年『内なる宇宙』)と3度受賞。

池央耿(いけ・ひろあき)
1940年生れ。国際基督教大学教養学部卒。翻訳家。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

第一作『星を継ぐもの』での科学技術マニアぶりが本作では見られず、遙かなる大宇宙を舞台とするスケールの大きさも二番煎じで色あせている。なつかしい感じがする昔の技術が登場したり、米国とソヴィエトとの駆け引きもはるかな昔となってしまい、時代を経たSFが感動を与えるのは難しい。

著者の科学技術万能の考え方は、脳天気で小説としては楽しく読めるのだが、行き過ぎも幾つか見え、全体がすばらしかった前作では「まあ、良い、良い」だったのが、この作品では「ちょっとどうかな」と思ってしまう。
長期間科学技術の進歩が止まった理由として、遺伝子操作して老化を防止したら、創造性が失われて技術進歩が止まったという話が出てくるのだが、「そんな簡単な問題か?」という気がする。未来の話なので仕方ない面はあるが、この種の完全に納得できない話が多い。


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