hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

林丈二「マンホールの蓋(ヨーロッパ篇)」を読む

2013年08月15日 | 読書2

林丈二写真・文「マンホールの蓋(ヨーロッパ篇)」(1986年6月サイエンティスト社発行)を読んだ。

日本篇に続くヨーロッパ篇だ。177日滞在し、フィルムカメラで2200枚以上の写真を撮った。それにしても、良く約60都市をマンホールの蓋だけを(?)求めて巡ったものだ。

古い蓋が多かった日本篇に比べ、ヨーロッパ篇はデザインの美しい蓋を楽しめる。冒頭のロンドン・セントポール大聖堂の真鍮製の蓋は踏むことができないほど美しいし、ヴァチカン国サン・ピエトロ寺院の深く複雑に浮彫された蓋は芸術品だ。

暖房用石炭の地下貯蔵庫の蓋など日本にはない珍しいものもある。花のパリには犬の糞が多いが、アントワープのコンクリート蓋に描かれた犬のマークは、「するならここで」という印らしい。車道の側溝用の「犬のトイレマーク」の写真もある。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

私自身の評価としては、★★★★(四つ星)なのだが、マニアック過ぎて、決して「お勧め」ではないので、「二つ星」とした。
ただただ写真が並ぶ日本篇とは雲泥の差で、蓋の写真も、全体も垢抜けた本で、パラパラ見るだけでも楽しい(装幀、レイアウトは奥田時宏氏)。

イタリア・ミラノのドゥオーモとギャレリア周辺はとくに美しいのでつい上を見てしまうが、建物や街並みが美しいところほど、ちゃんと路上も手抜きしてないので、下も見て歩く必要があるという。
著者は、ウィーンのオペラ座というと、どうしてもまず教会のバラ窓を思わせる蓋を思い出してしまうという。
病気だ!



林丈二(はやし・じょうじ)
1947年東京都練馬区生まれ。イラストレーター、エッセイスト。
武蔵野美術大学産業デザイン科卒業後、サンリオ勤務。退社後フリー。
調査マニアで、穴開きブロックのパターン調べ、都内各駅切符のパンチ屑収集など、とくにマンホールの蓋研究が話題を呼んだ。路上観察学会の一員。
1984年マンホールのふた(日本篇)
1986年、本書『マンホールの蓋(ヨーロッパ篇)』、発起人の一人として路上観察学会創立
その他、『目玉の散歩ノート』、『街を転がる目 玉のように』、『路上探偵事務所』、『イタリア歩けば』、『がらくた道楽』、『猫はどこ?』、『型録・ちょっと昔の生活雑貨』、『西洋アンティーク 絵葉書』など



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