新川帆立著『競争の番人』(2022年5月9日講談社発行)読んだ。
弱くても戦え! 『元彼の遺言状』著者、注目の新鋭が放つ面白さ最高の「公取委」ミステリー。
ウェディング業界に巣食う談合、下請けいじめ、立入検査拒否。市場の独り占めを取り締まる公正取引委員会を舞台に、凸凹バディが悪を成敗する!
公正取引委員会の審査官、白熊楓は、聴取対象者が自殺した責任を問われ、部署異動に。東大首席・ハーバード大留学帰りのエリート審査官・小勝負勉と同じチームで働くことになった。二人は反発しあいながらも、ウェディング業界の価格カルテル調査に乗り出す。数々の妨害を越えて、市場を支配する巨悪を打ち倒せるか。ノンストップ・エンターテインメント・ミステリー!
「デビュー2年目の勝負作です。わくわくドキドキ、ちょっぴり身につまされ、不思議と力が湧いてくる。理屈抜きで面白い王道エンターテインメントを目指して書きました。エンタメの幕の内弁当、どうぞ召し上がれ!」―新川帆立
©Hotate Shinkawa 2022
白熊楓が杏、小勝負が坂口健太郎で「月9」(BSフジ)でドラマ化(最終回9月19日)。
公正取引委員会(弱小官庁)の審査局の第六(ダイロク)
白熊楓:公正取引委員会の審査官。一般職採用5年目の29歳。空手で常に2位。母は心配性の三奈江。警察官の彼氏は徹也。
小勝負(こしょうぶ)勉:東大首席・ハーバード大留学帰りのエリート審査官。総合職採用の27歳。係長。感情を表さない。
遠山:白熊の元上司。荒っぽく感覚的。
桃園:白熊の直属上司。40代、美貌の女性。3社カルテルの主査。
風見:入局22年目の課長補佐。桃園、小勝負、白熊の上司。40代半ば。ホテル3社カルテル事件のキャップ。
本庄:第六審査長。50代半ばのキャリアの女性。
ホテル3社カルテル事件:「Sクラシカホテル」「温泉郷S」「ホテル天沢S」のカルテル
豊島浩平:市役所の道路工事発注担当者。白熊が聴取後、自殺した。娘は高2の美月。
安藤正夫:「Sクラシカホテル」のオーナー。刺されて意識不明。
天沢雲海:天沢グループ専務。「ホテル天沢S」経営。ホテル長は長澤。ウェディング部門長は碓井。
石田正樹:生花業。安藤殺人容疑で逮捕。妻は七瀬。
政岡:「温泉郷S」のオーナー
本書は「小説現代」2021年12月号~2022年3月号に連載。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
公正取引委員会という権限少なく、強制力不十分、検察・警察などから軽く扱われる弱小官庁を舞台にした独自性はある。
頭脳明晰で無感情の小勝負、体力派の白熊など登場人物のキャラは立っているが、よくあるパターンで、会話や行動は類型的。軽く読めるが、感心するところは少ない。才能はあるのだがら、伊坂幸太郎のユーモアを見習って欲しい。