hiyamizu's blog

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後藤真樹『かくれキリシタン』を読む

2018年06月25日 | 読書2

 

後藤真樹『かくれキリシタン 長崎・五島・平戸・天草をめぐる旅』(とんぼの本、2018年4月25日新潮社発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

受難の歴史をのりこえて400年、密かに脈々と信仰を伝えてきた「かくれキリシタン」。美しくも厳しき自然の中で、暮らしに根づいた独自の祈りのかたちを守り育んできた人々を訪ね、貴重な証言とともに、その聖地や史跡を丹念にたどる。各地に残る小さな聖堂も数多紹介。2018年登録予定の世界文化遺産をめぐるガイドとしても必携の書。

 

127ページの半分近くが写真の、ほぼ写真集。

 

I 外海 “陸の孤島”に受け継がれた信仰

西彼杵(そのぎ)半島の南西部・外海(そとめ)は、1970年国道ができるまでは、舟でしかいけない陸の孤島だった。指導者は、外国人宣教師・ジワン神父の弟子の日本人宣教師・バスチャン。バスチャンは、孫子7代まで耐えれば、神父がやってきて、告解もキリシタンの歌も自由に歌えるようになる予言した。そして250年間、耐えていたらプチジャン神父がやっていた。まだ禁教時代だったのに、信徒は狂喜して“崩れ”が起こり、迫害にさらされた。

潜伏キリシタンをかくまうために鍋島藩が創建したのが禅宗の天福寺。ジワン神父の墓の上に建てられたというのが枯松(からまつ)神社。

隠れキリシタンの組織を率いるのが帳方。


II 五島列島 海風吹きぬける島々に宿る篤い信仰

五島列島は大小百数十の島で、人口約6万人。約50の教会があり、カトリック信者は信仰の約13%(日本のクリスチャンは1%以下)。外海から逃れてきたキリシタンは3千人とも言われる。

1865年大浦に天主堂が落成し、プチジャン神父の再来を喜び、キリシタンであることを公言する者が現れた。これまで黙認していた代官もしかたなく大規模な迫害を始めた(五島崩れ)

 

●キリスト教の広まりと弾圧の歴史

16世紀半ばにフランシスコ・ザビエルが鹿児島の地を踏んで百年も、戦国の世で入信者は20万人~40万人に上ったが、百年にもならないうちに禁止された。

秀吉は、1587年、伴天連追放令を出し、宣教師やキリシタン26人を処刑した(26聖人の殉教)。

家光は禁教を強化し、鎖国を実施。1637年、飢饉の中過酷な年貢取り立てに蜂起が起き、天草四郎を中心に3万7千人が原城に籠城したが88日後に陥落し命を落とした。

 

III 平戸 歴史を刻むキリシタンの聖地

 

IV 天草 殉教の島に息づく信仰の証

 

V 祈りの場、教会堂へ

23の教会の写真と紹介

 

信徒発見

大浦天主堂竣工の翌年、1865年、祈りを捧げるプチジャン神父に「あなたと同じ心だ」と話しかけ、サンタ・マリアの像の場所を聞く女性がいた。神父が「信者発見」した瞬間だった。潜伏キリシタンにとっては7代待ち続けたパードレ(神父)との出会いだった。浦上の潜伏キリシタンは仏式の葬式を拒み、信仰を表明した。1867年、3千4百人が流罪となり、この「浦上4番崩れ」6百人あまりが命を落とした。

 

主な崩れ

1657(明暦3)郡崩れ、1660(万治3)豊後崩れ、1661(寛文元)濃尾崩れ、1790(寛政2)浦上1番崩れ、1805(文化2)天草崩れ、1856(安静3)浦上3番崩れ、1867(慶応3)浦上4番崩れ、1868(明治元)五島崩れ

 

教会マップ

エピローグ

最後のページは浦上天主堂の被爆マリア像と崩れ落ちた鐘楼の写真だ。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

隠れキリシタンに興味のある人には、隠れキリシタンがいた寂しげな土地、ポツンと建つ小さな教会、山中の宣教師の墓(石)など豊富な写真を眺めるだけで、想いが伝わってくるだろう。しかし、興味のない人には同じような写真、文で退屈だろう。

 

250年を経た信徒発見のドラマチックな瞬間を期待したのだが、インパクトある提示に仕方ではなく、がっかり。

 

 

 

後藤真樹(ごとう・まさき)

写真家、座右宝刊行会代表。1958年東京生まれ。成城学園高等学校、国際商科大学(現・東京国際大学)卒業、東京綜合写真専門学校研究科中退。坂本万七寫眞研究所で美術品の撮影にかかわり、1988年独立後は商業写真や美術、郷土料理、伝統文化に関する撮影を手がける。

主な著書に『日曜関東古寺めぐり』(共著 1993年 新潮社)、『未来へ伝えたい日本の伝統料理』(全6巻 2010年 小峰書店)、『おーい、フクチン! おまえさん、しあわせかい? 54匹の置き去りになった猫の物語』(2014年 座右宝刊行会)など。

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