hiyamizu's blog

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今泉忠明『続 わけあって絶滅しました。』を読む

2020年03月17日 | 読書2

 

今泉忠明監修、丸山貴史著『続 わけあって絶滅しました。 ――世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』(2019年7月17日ダイヤモンド社発行)を読んだ。

 

 

大ヒットした『ざんねんないきもの事典』に引き続く、絶滅生物が自ら「絶滅理由」を語る人気シリーズ『わけあって絶滅しました。』の続編。

絶滅した一つの生き物の特徴、絶滅理由、概要を見開き1ページに解り易いイラスト付きで解説している。

 

地球が誕生してから46億年、生命誕生から40億年。生き物の99.9%が絶滅した。

この間、地球は、大陸が移動し、空気の成分が変わり、気温が激しく上下した。従来の環境にぴったり適応し繁栄した生き物は、強さが弱さになり、絶滅した。進化は偶然に起こるものであり、その進化の多くは失敗に終わる。

 

デカ眼で絶滅(ゴティカリス)

古生代カンブリア紀に眼が進化し他の生物を認識できるようになり、生物の種類が増えた。顔の9割を眼とし良くえさが見えるようになったゴティカリスは、残る口も足も小さくえものを捕獲する力に欠けて短期間で滅びた。ダメじゃん。

 

背中が無防備で絶滅(オドントケリス)

中世代三畳紀に最初の甲羅を持ったカメが登場。ただし、甲羅はおなかにあり、背中から襲われ、甲羅が邪魔で早く泳げずに絶滅した。ダメじゃん。

 

体がゆだって絶滅(アルゼンチノサウルス)

史上最大の恐竜は全長35m、推定体重73t。体が大きすぎて内部に熱がこもり、自らの体温でゆだった。

 

貝殻がぶ厚くなって絶滅(タカハシホタテ)

分厚い殻によって守りに特化したが、氷期と間氷期が繰り返し、たびたび水温が変化すると、移動できずに絶滅。

 

脳が小さくて生きのびた(ダチョウ)

脳を小さくしたので眼を大きく、首を長くでき、遠くまでよく見えるようになった。翼の筋肉は少なく足をムキムキにして短距離なら時速70km、長距離は時速55kmで1時間走れるようになった。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

「バッカじゃないの」と言いたくなるほど滅茶苦茶に無駄に変化(進化じゃなくて退化)した生き物がズラズラ。「そんな馬鹿な」と笑いながら、ほとんど絵なのでどんどんページをめくれる。

 

遺伝子の変化は突然変異というように偶然に起こるのだから、その大部分は生き残るのには適さない変化なのだろう。偶然に良い方向に変化した生き物だけが進化したのだろう。

 

現在存在する生物たちは奇跡の産物で、神によって作られたかとおもわれるほど見事であるが、この本を読むと、多くの失敗作が累々と屍をさらす中、偶然環境にマッチした極少数の生き物が絶滅を免れたということが分かる。

その生物も地球環境が大幅に変化すると、絶滅するだろう。そして、環境を大幅に変えてしまっている人間は‥‥。

 

 

今泉忠明(いまいずみ・ただあき)
1944年東京都生まれ。東京水産大学(現東京海洋大学)卒業。国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。文部省の国際生物学事業計画(IBP)調査、環境庁(現環境省)のイリオモテヤマネコの生態調査などに参加する。トウホクノウサギやニホンカワウソの生態、富士山の動物相、トガリネズミをはじめとする小型哺乳類の生態、行動などを調査している。上野動物園の動物解説員を経て、東京動物園協会評議員。

主な著書に『野性ネコの百科』、『動物行動学入門』、『猫はふしぎ』、監修『ざんねんないきもの事典

 

丸山貴史 (まるやま・たかし)
動物ライター、図鑑制作者。ネイチャー・プロ編集室勤務を経て、ネゲブ砂漠にてハイラックスの調査に従事。
ざんねんないきもの事典』、『続ざんねんないきもの事典』の執筆や、『せつない動物図鑑』の編集、『生まれたときからせつない動物図鑑』の監訳などを手がける。

 

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