hiyamizu's blog

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嵐山光三郎「妻との修復」を読む

2008年05月10日 | 読書2
嵐山光三郎「妻との修復」講談社現代新書2008年3月発行を読んだ。


著者が妻との関係をいかにして修復した話なのかと思って読んだが、まったく違っていた。
内容は、著者の友人たちや、文豪など有名人の夫婦関係の修復、というより破綻の実例を述べ、修復のための50ヵ条を挙げている。
読むほどに、妻や愛人がいかに恐ろしいか、すさまじい修羅場が紹介され、修復50ヵ条がいかに絶望的なものであるかが身にしみる。


著者は、1942年生まれ。一時期TVに良く出ていて、いかにも楽しげで、ユーモアがあるオヤジだと思っていたが、私と同い年だったとは。月刊「太陽」などの編集長で、作家・エッセイスト。


一つだけ内容を紹介する。
―――――
おしどり夫婦と言われ、一見仲の良い夫婦がさっさと別れて「ずっと昔から仮面夫婦でした」などと言ったり、あるいは破綻した夫婦が、根が深いところで深くつながっていて、憎しみながらも仲が良かったりする。・・・せんじつめれば、殆どの夫婦が首の薄皮一枚でつながっており、ここに夫婦の妙がある。
――――



また、あとがきに著者夫婦のことが書いてあり、これが本当の修復術だろう。
―――
食事中、TVのニュースについて、ごく当たり前の感想を言い、互いに意見が一致し安心する。サッカーの日韓戦を見て、日本を応援し、夫婦の心は一体化する(ような気がする)。お天気の良い日に散歩し、花をめで、ソバ屋に入り、「こんな味じゃすぐつぶれますよ」などと夫婦共通の敵を見つける。
そうこうしながら、モヤモヤをうめて、なんとなく修復していく。
―――



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)。

挙げられている実例が、どれも泥沼のひどい夫婦関係であり、凡人の私は開いた口がふさがらない。それもそのはず、「できる男ほど妻とアブない」とあるように、名を成した人の話であって、私には縁遠い話なのだ。
夏目漱石、坪内逍遥、森鴎外、森有礼、伊藤博文、岡倉天心、黒田清隆、武者小路実篤、野口英世、新渡戸稲造、太宰治、芥川龍之介、窪川鶴次郎、幸田露伴、岡本一平、岩野泡鳴、永井荷風、谷崎潤一郎、北原白秋、坂田三吉、獅子文六、織田作之助、堀辰雄、開高健といった有名人がいかに乱れた結婚生活だったかに興味を持つ覗き見趣味の人にはお勧めだ。
夫婦関係に危機を感じるたいていの人も、これ程ひどくはないと一応安心しできるだろう。






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