水道橋博士著『藝人春秋』(2012年12月文藝春秋発行)を読んだ。
芸能界に入って30年近くになる水道橋博士は、自身が芸能人とはいえ、芸能界の潜入ルポライターを自覚し、厳しい条件のもとで磨き抜かれた芸能人の言動を小説のように描く。そのまんま東(東国原英夫)、甲本ヒロト、石倉三郎、草野仁、古舘伊知郎、三又又三、堀江貴文、湯浅卓、苫米地英人、テリー伊藤、ポール牧、爆笑問題、北野武と松本人志、稲川淳二と続く。
厳しい世界でもがく「藝人」たちの言葉が並ぶ。
「楽しいことは楽(ラク)じゃないんだよ。同じ字だけど、よく勘違いしている人がいるんだぁ」(甲本ヒロト)
「ええかぁ、お前らは(中山)秀ちゃんとかバカにしてんだろうけど、あれはいい芸人やでぇえ。ああいう連投が利く、肩作ってないと、テレビという一軍では投げられんでぇえ。・・・」(そのまんま東)
「芸能界は親が死んでもトチれない世界なんだよ。だから辛抱だ、辛抱ってのは、辛さを抱きしめるってことだからな。今はひとりで抱きしめろよ!」・・・「辛抱ってなぁ我慢とは違うんだよ、わかるかい?」(石倉三郎)
ビッグマウスでアクの強さにあきれる2人も登場。
「国際弁護士」湯浅卓
「弁護の相談料は15分で5千万円、YUASAは時給2億円を稼ぐ男です」
(「報酬の方は?」)「3兆円にまけてあげました」
5年間88冊の新刊が出版された苫米地英人(とまべち・ひでと)
「(渡米していた少年時代、飛び級で)中2になるはずが高3になってたんだ」 等々。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
苦節何十年の苦労話はなるほどと思うが、単なる変わり者の話は一瞬面白いだけですぐ消える。それにしても、TVに出るような人は、癖が強いし、アクを精一杯ギラギラさせないと売り出せないようだ。
水道橋博士(すいどうばし・はかせ)
1962年岡山県生まれ。ビートたけしに憧れ上京し明治大学に入学したが4日で中退。
弟子入り後、フランス座での住み込み生活。
1987年玉袋筋太郎と漫才コンビ浅草キッド結成