2014年に中倉宏美女流二段がLPSAの代表理事に就いた時、私の周りでは「彼女で大丈夫かいな。蛸島先生や外部理事に任したほうがいいんじゃないか?」の意見が大勢を占めた。
しかし宏美女流二段は女子アマ棋戦を滞ることなく継続させ、もちろん女流棋戦にも引き続き参加し、LPSAの信用を地道に回復させた。ここで私たちははじめて、宏美女流二段の手腕に感嘆したのである。
宏美女流二段は俗に「平安顔」といわれる。宏美女流二段の柔和な顔が、交渉事を有利に運ぶのだろう。
その宏美女流二段が、マイナビ女子オープンの本戦トーナメントに進出した。現在のLPSAで、勝ち星が計算できるのは渡部愛女流初段だけ。ほかの所属女流棋士は、言っちゃあなんだが指し分けが精一杯で、本戦進出など夢のまた夢だ。そこに宏美女流二段が「私を忘れてもらっては困ります」と名乗りを上げたのである。
宏美女流二段は第4期に大庭美樹女流初段を破って本戦入りしたが、本戦1回戦で石橋幸緒女流四段に敗れた。その後も同棋戦ではパッとせず、詰みがある場面で詰まし損ねたりして、まあその悔しそうな表情がマニアにはたまらないのだが、とにかく宏美ファンは大いに悶絶したのである。今回は久々のチャンスなのだ。
18日対局・1回戦の相手は頼本奈菜アマ。この頼本アマがまた強くて、LPSA主催のアマ大会ではたびたび入賞している。もちろんプロも何人か撃破していて、今どきの女子アマはその辺の女流棋士よりよほど強いが、それを肌で感じているのは誰あろう、女子アマ将棋を最も間近で見ている宏美女流二段であろう。この対局だって、宏美女流二段に胸を貸すという思いは微塵もなく、対等な相手として対峙したはずである。
将棋は先番頼本アマの石田流に、宏美女流二段は左美濃の作戦を採った。宏美女流二段は一時期穴熊にこっていたが、その後作戦の幅を拡げ、同時に勝率もアップした。
頼本アマ、▲2五歩△同歩▲1七桂と意表の仕掛け。現在ままある指し方だが、いざ指すとなると度胸が要る。
頼本アマの銀は2五まで進出した。▲3三角成△同桂で銀当たり。そこで頼本アマが▲3四銀とタダ捨てに進出したのがすごい。オンナは駒を引くことなんてしないのである。
が、△3四同玉▲2二角となると、後手銀得でも気持ちの悪い形だ。
私たちは宏美女流二段の逆転負けを何度も見ている。宏美女流二段の優勢は疑いないが、相手が投了するまで安心できない。宏美女流二段にはわるいが、世間一般の宏美観はこんな感じだと思う。
そこで宏美女流二段△5四角。これが、素人目には名角に見えた。これは宏美女流二段がイケるんじゃないかと思ったが、宏美将棋はこれからなのだ。
頼本アマ、67手目▲5六歩。しかし△3六角と換わっては、あまり得になってないのではないか。
そこで頼本アマは▲2九銀とアタリの銀を躱したが、△2五角とボロッと桂を取られては、いきなり大勢が決してしまった。
頼本アマとしては、この桂が生きているうちに一仕事したかった。中継のコメント欄にもある通り、どこかで▲2七銀△同歩成▲3三銀とか、いやらしく攻める手があったと思う。
△5七桂成まで頼本アマ投了。頼本アマは中盤でおもしろい戦いを見せてくれたが、急所で読みを欠いたようだ。まあ、頼本アマはまだ若い。これからいくらでもチャンスはある。
勝った宏美女流二段は、次局で西山朋佳奨励会三段と対戦する。あまりにも強すぎる相手だが、勝負事は何が起こるか分からない。宏美女流二段の健闘を祈ります。
しかし宏美女流二段は女子アマ棋戦を滞ることなく継続させ、もちろん女流棋戦にも引き続き参加し、LPSAの信用を地道に回復させた。ここで私たちははじめて、宏美女流二段の手腕に感嘆したのである。
宏美女流二段は俗に「平安顔」といわれる。宏美女流二段の柔和な顔が、交渉事を有利に運ぶのだろう。
その宏美女流二段が、マイナビ女子オープンの本戦トーナメントに進出した。現在のLPSAで、勝ち星が計算できるのは渡部愛女流初段だけ。ほかの所属女流棋士は、言っちゃあなんだが指し分けが精一杯で、本戦進出など夢のまた夢だ。そこに宏美女流二段が「私を忘れてもらっては困ります」と名乗りを上げたのである。
宏美女流二段は第4期に大庭美樹女流初段を破って本戦入りしたが、本戦1回戦で石橋幸緒女流四段に敗れた。その後も同棋戦ではパッとせず、詰みがある場面で詰まし損ねたりして、まあその悔しそうな表情がマニアにはたまらないのだが、とにかく宏美ファンは大いに悶絶したのである。今回は久々のチャンスなのだ。
18日対局・1回戦の相手は頼本奈菜アマ。この頼本アマがまた強くて、LPSA主催のアマ大会ではたびたび入賞している。もちろんプロも何人か撃破していて、今どきの女子アマはその辺の女流棋士よりよほど強いが、それを肌で感じているのは誰あろう、女子アマ将棋を最も間近で見ている宏美女流二段であろう。この対局だって、宏美女流二段に胸を貸すという思いは微塵もなく、対等な相手として対峙したはずである。
将棋は先番頼本アマの石田流に、宏美女流二段は左美濃の作戦を採った。宏美女流二段は一時期穴熊にこっていたが、その後作戦の幅を拡げ、同時に勝率もアップした。
頼本アマ、▲2五歩△同歩▲1七桂と意表の仕掛け。現在ままある指し方だが、いざ指すとなると度胸が要る。
頼本アマの銀は2五まで進出した。▲3三角成△同桂で銀当たり。そこで頼本アマが▲3四銀とタダ捨てに進出したのがすごい。オンナは駒を引くことなんてしないのである。
が、△3四同玉▲2二角となると、後手銀得でも気持ちの悪い形だ。
私たちは宏美女流二段の逆転負けを何度も見ている。宏美女流二段の優勢は疑いないが、相手が投了するまで安心できない。宏美女流二段にはわるいが、世間一般の宏美観はこんな感じだと思う。
そこで宏美女流二段△5四角。これが、素人目には名角に見えた。これは宏美女流二段がイケるんじゃないかと思ったが、宏美将棋はこれからなのだ。
頼本アマ、67手目▲5六歩。しかし△3六角と換わっては、あまり得になってないのではないか。
そこで頼本アマは▲2九銀とアタリの銀を躱したが、△2五角とボロッと桂を取られては、いきなり大勢が決してしまった。
頼本アマとしては、この桂が生きているうちに一仕事したかった。中継のコメント欄にもある通り、どこかで▲2七銀△同歩成▲3三銀とか、いやらしく攻める手があったと思う。
△5七桂成まで頼本アマ投了。頼本アマは中盤でおもしろい戦いを見せてくれたが、急所で読みを欠いたようだ。まあ、頼本アマはまだ若い。これからいくらでもチャンスはある。
勝った宏美女流二段は、次局で西山朋佳奨励会三段と対戦する。あまりにも強すぎる相手だが、勝負事は何が起こるか分からない。宏美女流二段の健闘を祈ります。