ヒューリック杯第4期白玲戦第4局(主催:ヒューリック株式会社、日本将棋連盟)が12日に京都府で行われた。ここまで西山朋佳、福間香奈、福間の順に勝ち、本局は負けられない戦い、というのは西山白玲のほうに強い。
将棋は西山白玲の先手で、いつもの▲7八飛。以下△5四歩▲7六歩△4二銀という、ふたりの定跡に突入した。
と、西山白玲は角を換える。これは△同飛と取らざるを得ず、必然的に相振り飛車になった。
そこから福間女流五冠は玉を小刻みに移動し、西山白玲は1筋に地下鉄飛車を構築した。何というか力戦振り飛車で、どちらも振り飛車党だが、そういうふたりが指すとこういう異様な展開になる。
やがてどちらも三段玉になり、西山白玲は飛車の王手から香を補充する。だが直後に福間女流五冠が△2四桂と▲3六金取りに打った手が厳しかった。これは福間女流五冠が大優勢、そのまま勝つと思った。
ここで私は1時間半くらい中座しなければならなかったのだが、その後スマホを見ると、西山白玲が勝っていたので驚いた。いや、この将棋は西山白玲が勝てないだろう。
記譜を再生してみると、西山白玲は▲2二竜と銀桂両取りに引いた。福間女流五冠は当然、△3六桂と金を取る。ここで私だったら、何はともあれ▲6二竜と銀を取り、△2八桂成(と銀を取る)▲同玉までを必然とし、そこからを改めて考える。
ところが西山白玲はじっと銀を引いたのだ。これが本局一感心した手で、この辛抱はなかなかできない。どうであろう、女流棋士でこの手を指せるひとが何人いるだろう。
以下、西山白玲は入玉をチラつかせつつ、反撃。福間女流五冠も、西山玉を攻めるのだが、なんだか指し手がダサい。そのうち形勢が逆転したようで、最後は西山白玲が福間玉を即詰みに討ち取ったのだった。
なおこの投了図がちょっと衝撃で、この周辺は福間女流五冠の制空権だったのだ。その勢力図がどうして逆になったのか。ここに私は、西山白玲の豪腕を見たのだった。とはいえ本局の勝因は、金を取られたときにじっと我慢した、▲3九銀だったと思う。
そして改めて西山白玲、本局の勝利は大きかった。少なくとも終盤の入口までは苦しかったはずで、そのまま負けていてもおかしくなかった。それが2勝2敗のイーブンは、今後の戦いに大きく視野が開けたといってよい。
第5局は19日、私の好きな札幌からである。
将棋は西山白玲の先手で、いつもの▲7八飛。以下△5四歩▲7六歩△4二銀という、ふたりの定跡に突入した。
と、西山白玲は角を換える。これは△同飛と取らざるを得ず、必然的に相振り飛車になった。
そこから福間女流五冠は玉を小刻みに移動し、西山白玲は1筋に地下鉄飛車を構築した。何というか力戦振り飛車で、どちらも振り飛車党だが、そういうふたりが指すとこういう異様な展開になる。
やがてどちらも三段玉になり、西山白玲は飛車の王手から香を補充する。だが直後に福間女流五冠が△2四桂と▲3六金取りに打った手が厳しかった。これは福間女流五冠が大優勢、そのまま勝つと思った。
ここで私は1時間半くらい中座しなければならなかったのだが、その後スマホを見ると、西山白玲が勝っていたので驚いた。いや、この将棋は西山白玲が勝てないだろう。
記譜を再生してみると、西山白玲は▲2二竜と銀桂両取りに引いた。福間女流五冠は当然、△3六桂と金を取る。ここで私だったら、何はともあれ▲6二竜と銀を取り、△2八桂成(と銀を取る)▲同玉までを必然とし、そこからを改めて考える。
ところが西山白玲はじっと銀を引いたのだ。これが本局一感心した手で、この辛抱はなかなかできない。どうであろう、女流棋士でこの手を指せるひとが何人いるだろう。
以下、西山白玲は入玉をチラつかせつつ、反撃。福間女流五冠も、西山玉を攻めるのだが、なんだか指し手がダサい。そのうち形勢が逆転したようで、最後は西山白玲が福間玉を即詰みに討ち取ったのだった。
なおこの投了図がちょっと衝撃で、この周辺は福間女流五冠の制空権だったのだ。その勢力図がどうして逆になったのか。ここに私は、西山白玲の豪腕を見たのだった。とはいえ本局の勝因は、金を取られたときにじっと我慢した、▲3九銀だったと思う。
そして改めて西山白玲、本局の勝利は大きかった。少なくとも終盤の入口までは苦しかったはずで、そのまま負けていてもおかしくなかった。それが2勝2敗のイーブンは、今後の戦いに大きく視野が開けたといってよい。
第5局は19日、私の好きな札幌からである。