一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第37期竜王戦第1局

2024-10-09 00:25:53 | 男性棋戦
この5日(土)より、第37期竜王戦挑戦手合いが始まった(主催:読売新聞社、日本将棋連盟)。常勝・藤井聡太竜王に挑戦するのは、気鋭・佐々木勇気八段。若き日?の藤井四段に初の土を付けた棋士が、満を持してタイトル戦初登場だ。
藤井竜王は現在3連覇中。毎期最強の挑戦者が登場する竜王戦は防衛が難しいとされ、ここまで3連覇以上は、第11期~第13期の藤井猛九段、第17期~第25期の渡辺明九段、それに藤井竜王の3名しかいない。ちなみに名人戦だと、第36期までで5回(3名)ある。
第1局の対局場は東京・渋谷の「セルリアンタワー」。もはや恒例である。
振駒で藤井竜王の先手。申し合わせたように角換わりになった。双方右金をまっすぐ上がり飛車を引く例の形になった。
しかしこの間、佐々木八段は6筋の歩を伸ばす趣向を見せた。そしてその歩を交換しにいく藤井竜王。
しかし藤井竜王はその歩を再び6筋に打った。このあたり、奥が深すぎて私には訳が分からない。
ところでこの日は神保町で「第36回将棋ペンクラブ大賞贈呈式」があり、藤井猛九段が技術部門大賞を受賞したのだが、欠席。なんと藤井九段は竜王戦の解説で、こちらに出席していた。まったくタイミングの悪いことで、竜王戦と将棋ペンクラブなら、100人が100人、竜王戦(の解説)を取るから、しょうがない。
形勢は互角のまま2日目に入り、藤井竜王、9筋の端攻めに出る。先の王座戦第3局でも出てきた手で、桂を跳ねた端は狙いどころなのだろうか。
その後も難しい戦いが続くが、佐々木八段はよくついていっている印象である。
その代わり持ち時間はたっぷり使い、藤井竜王とは1時間以上の差がついている。それが互角の代償ともいえるが、ということは、佐々木八段が秒読みになれば、必然的に藤井竜王が有利になる理屈だ。
藤井竜王と佐々木八段が金を取り合った。そしてお互い盤上にと金が残ったが、佐々木玉の右辺は味方がいないのに対して、藤井玉の周りには飛金銀がいる。ここも藤井竜王の才能を表すところで、藤井玉は第2の囲いに逃げ込むことがよくある。攻められたときのエスケープが実にうまいのだ。
藤井竜王、歩の裏から香を打つ。これが好打で、どうも先手が優勢になったようだ。
佐々木八段も中空に桂を打って頑張るが、藤井竜王が同じ桂でどかしにいったのが好手。佐々木八段は取るしかないが、藤井竜王は急所に金を打ち、ここで佐々木八段の投了となった。
やはり最後は藤井竜王の勝ち。佐々木八段もよく頑張ったが、一歩及ばなかった。
藤井竜王は「どれが最善か、よく分からずに指していた」という意味の談話を残した。まあ、勝ってもおごらない、いつもの「藤井流」である。
対して佐々木八段は「自分では悪い手はなかった。楽しく指せた」と気持ちいい談話を残した。
第1局は挑戦者の勝利が絶対条件だったから、早くも竜王が大優勢になった。まあ9割以上、藤井竜王の防衛であろう。ただ、佐々木八段もこれから、いい将棋を見せてくれそうだ。
いまは一局でも多く、両雄の将棋を鑑賞したい。
コメント (2)
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