一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第36期女流王将戦予選・勝敗予想答え合わせ

2014-05-27 00:10:53 | 勝敗予想
当ブログでは4月16日に、第36期女流王将戦予選の枠抜け予想をした。きょうはその答え合わせをする。左が予想、右が結果である。

1枠 中井広恵女流六段→正解

2枠 中村真梨花女流二段→室谷由紀女流初段
室谷女流初段は綺麗なだけじゃない。着実に実力をつけている感じだ。

3枠 岩根忍女流二段→正解
岩根女流二段は安定感がある。

4枠 室田伊緒女流初段→正解
手堅く枠抜けした感じ。

5枠 長谷川優貴女流二段→中澤沙耶アマ
中澤アマ、女流棋士3人を破る…。

6枠 村田智穂女流二段→蛸島彰子女流五段
決勝が蛸島女流五段―船戸陽子女流二段戦になるとは思わなかったが、それに蛸島女流五段が勝つとは思わなかった。だいたいが早指し戦は、年少者が有利としたもの。そこで枠抜けしたのだから、蛸島女流五段は偉い。本戦トーナメントでも大暴れしてもらいたい。

7枠 渡部愛女流初段→正解
いまの渡部女流初段には安定感、信頼感がある。

8枠 中倉宏美女流二段→飯野愛女流2級
この予想をした13日後に、玉川高島屋南館で、飯野女流2級の将棋を見た。とてもいい内容だったので、ここで枠抜けしても驚かなかった。本戦入りの飯野女流2級は、女流1級昇級。

9枠 千葉涼子女流四段→松尾香織女流初段
まさか(失礼)の松尾女流初段枠抜け。何が何だか訳が分からない。

10枠 井道千尋女流初段→正解
やはりわずかに井道女流初段の実力が上だったか。

11枠 本田小百合女流三段→山田久美女流三段
山田女流三段が抜けた。女流王座戦では彼女が枠抜けするかと思ったのだが…。いずれにしても、実力があるということだ。

12枠 矢内理絵子女流五段→正解
決勝は矢内女流五段と鈴木環那女流二段の戦いになると見ていたのだが…。

以上、正解率は6/12の5割。いやはや、勝敗予想は難しい。
この12人に、甲斐智美女流王位・倉敷藤花、清水市代女流六段、上田初美女流三段、伊奈川愛菓女流初段の4人を加えた16人で、本戦トーナメントが行われる。
誰が挑戦権を得るか、この予想も難しいが、甲斐女流二冠が取ると予想しておこう。
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第4期女流王座戦一次予選勝敗予想・答え合わせ

2014-05-26 00:24:14 | 勝敗予想
24日(土)に、第4期女流王座戦・一斉一次予選対局が行われた。当ブログでは枠抜け予想を行ったので、きょうはその答え合わせをしてみる。左が予想、右が結果である。

1枠 矢内理絵子女流五段→正解
決勝の矢内女流五段―中倉彰子女流初段戦は、中盤まで彰子女流初段が十分の形勢だっただけに、惜しかった。

2枠 飯野愛女流1級→石本さくらアマ
石本アマの枠抜けは快挙だが、彼女は女流棋戦で活躍しているし、フロックではない。

3枠 山田久美女流三段→久津知子女流初段
知子姐さんが山田久美女流三段、井道千尋女流初段を撃破したのは見事。地方在住者が勝ち抜いてくれるのはうれしい。

4枠 長谷川優貴女流二段→正解
ここで長谷川女流二段が抜けなかったら、次回からワンランク評価を落とすところだった。

5枠 清水市代女流六段→正解

6枠 室谷由紀女流初段→正解
女流王座戦サイトに載った、室谷女流初段の美しさはどうだろう。ちょっと、ブロマイドにしてくれないか。
斎田晴子女流五段の将棋は重傷だ。やはり体調が万全でないのだろうか。

7枠 岩根忍女流二段→千葉涼子女流四段
元奨対決は千葉女流四段に軍配が上がった。

8枠 中村真梨花女流二段→正解
中村女流二段が実力を見せた。

9枠 中村桃子女流初段→貞升南女流初段
貞升女流初段の振り飛車破りが冴えたようだ(5月27日注:貞升女流初段―山口恵梨子女流初段戦は、何と相居飛車戦だった)。

10枠 島井咲緒里女流二段→正解
決勝の島井女流二段―山田朱未女流二段戦は、ちょっとした?因縁の対決だった。

11枠 中倉宏美女流二段→藤田綾女流初段
宏美女流二段を推していただけに、残念。もっとも、藤田女流初段のファンでもあるから、いい。

12枠 西山朋佳奨励会初段→正解

13枠 頼本奈菜アマ→北村桂香女流1級
終わってみれば、順当だったか。

14枠 高群佐知子女流三段→山根ことみ女流3級
山根女流3級が枠抜け。実力はありそうだ。これで山根女流3級は女流2級に昇級。

15枠 渡部愛女流初段→正解
渡部女流初段―和田あき女流3級戦は、どちらも応援していたので、ハムレットの心境だった。

16枠 室田伊緒女流初段→正解

以上、正解率は9/16の.562。もう少し正解するかと思ったのだが…。いやはや予想は難しい。
女流王座への道はまだまだ遠いが、勝ち抜いた選手の皆さんは、一局一局を頑張ってください。
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二十世名人は誰か

2014-05-25 01:56:10 | 将棋雑考
先日の名人戦第4局は、羽生善治三冠の勝ち。4-0のストレートで、8期目の名人に返り咲いた。
その羽生新名人は十九世名人の有資格者である。では、実力制名人制定以後(ここでは関根金次郎十三世名人も含む)の永世名人を記してみよう。

十三世名人 関根金次郎
十四世名人 木村義雄
十五世名人 大山康晴
十六世名人 中原誠
十七世名人 谷川浩司
十八世名人 森内俊之
十九世名人 羽生善治

むかし大山十五世名人~中原十六世名人ときたとき、次の(永世)名人は小川だ、という声があった。「大→中→小」「山→原→川」だから、という理屈である。実際は谷川九段が十七世名人の有資格者となり、当たらずとも遠からじという結果になった。
そして「十八世」は、大方の予想に反し、森内竜王が就いた。
羽生名人はタイトル獲得数87期と圧倒的な勲章を誇るが、ふたつ心残りがあるとすれば、森内竜王に十八世名人を、渡辺二冠に初代永世竜王を先取りされてしまったことだろう。何しろ名人位は羽生4期・森内1期、竜王位は羽生6期・渡辺0期からの逆転だったのだから。

先日当ブログで、某永世名人を、頭文字で記したことがあった。そこで上記の永世名人の頭文字を記してみると、おもしろいことが分かった。

S…関根金次郎十三世名人
K…木村義雄十四世名人
O…大山康晴十五世名人
N…中原誠十六世名人
T…谷川浩司十七世名人
M…森内俊之十八世名人
H…羽生善治十九世名人

何と、全部違うのである。実は慶応以降の元号も全部頭文字が違うのだが(例えば「平成」などはあえて「は行」から選んでいる)、実力永世名人は細工が利かないので、これはけっこう珍しい現象といえる。
とすると、二十世名人はそれまでにない頭文字になるのか。大山十五世名人は「O」だが、ここは「あ行」とし、それぞれを「行」に変換してみよう。

さ行…関根金次郎十三世名人
か行…木村義雄十四世名人
あ行…大山康晴十五世名人
な行…中原誠十六世名人
た行…谷川浩司十七世名人
ま行…森内俊之十八世名人
は行…羽生善治十九世名人

「あ行」から「ま行」まで、綺麗に1回ずつ使われている。ということは、二十世名人は「や行」と「わ行」から推戴されると考えられる。では該当の棋士を列挙してみよう。

渡辺明二冠 屋敷伸之九段 山崎隆之八段 脇謙二八段 矢倉規広六段 横山泰明六段 吉田正和五段 矢代弥(わたる)四段 山本真也五段 渡辺大夢(ひろむ)四段

50歳すぎの棋士から10代の棋士まで、全部で10人。この中から名人候補を考えると、現在唯一のA級であり、竜王9期の実績もある、渡辺二冠が最有力であろう。
ただし渡辺二冠は、いままで名人挑戦の実績がない。ただ次期順位戦は「A級の鬼」羽生名人がA級不在になったため、名人挑戦のチャンスである。とりあえず来年のいまごろはどういう結果になっているか、大いに楽しみにしている。
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将棋ペンクラブ関東交流会・その4

2014-05-24 00:45:50 | 将棋ペンクラブ
時刻は午後2時半を回っている。客足は昨年まで伸びず、八分程度の入りに留まった。中でも女子の入場が少なく、見回しても、女子はひとりしかいない。しかし幹事のA氏は「これでいつもの年に戻ったのです」と冷静だった。
第7局は四段の中年氏と。できれば渡部愛女流初段にも教えていただきたいが、1日に3回も指導対局を受けるのは欲張りであろう。そもそも将棋大会は4時までであり、とりあえずこの将棋を高速で終わらせるしかない。
将棋は私の三間飛車に、四段氏の棒銀となった。△7五歩の仕掛けに私は▲6五歩としたが、角交換後馬を作られ、おもしろくなかった。
私は▲4五歩から▲4六角と打つ。これに四段氏は△9二飛と我慢したが、ここは△6二飛と回り、△6六歩の突き出し(銀取り)を見られたほうがイヤだった。
私の▲7四歩に四段氏は△7二歩。四段氏△7五香の飛車取りに▲5七飛と逃げて局面を眺めてみると、四段氏の飛車、銀、香がひどい形になっている。この時点で私の銀香損だったが、それを補って余りある駒の働きになった。
四段氏は熟考を重ね、時刻は3時半を過ぎた。もう渡部女流初段との指導対局は無理である。もっとも彼女にどうしても教えてもらいたければ、LPSAサロンに行けばよいのだ。
将棋は私が相手玉の桂頭を攻め、私の勝ち。今年は4勝3敗で終了となった。
Fuj氏が来る。彼も4勝3敗だったとのこと。渡部女流初段やアマ強豪のMima氏に優勢な将棋を落としたのが響いたらしい。

4時から表彰式&自己紹介に入る。今年の目玉賞品は中原誠十六世名人や森内俊之竜王・名人(当時)の直筆色紙などだ。今年は10人目、20人目、30人目、40人目の来場者が、優先的に賞品を選ぶ権利を得た。みんな平等、これが将棋ペンクラブのポリシーである。
数人後に私の挨拶。「大沢と申します。ペンクラブ交流会にはよく来てます。私ブログをやってまして、半年ほど休んでたんですが、先月から再開しました。興味のある方は検索してください。
あと、私最近頭が薄くなってまして、でも諦めてないんで、どなたかいい育毛剤があったら教えてください。まだ『四十八歳の抵抗』やりますんで。
賞品は、同じ髪型ということで、熊坂先生の扇子をいただきました」
ちなみに熊坂学四段(当時)の揮毫は、女性的な文字で「夢」とあった。
今年は幹事の紹介もあった。ズラッと10人並んださまは壮観である。この方々がいなければ、会報「将棋ペン倶楽部」はできないのだ。言っちゃあ何だが、棋士が10人並ぶより感激した。
湯川恵子さんのひとこと。「ワタシ女流名人戦の観戦記者をやってるんですけど、きょうのきょうまで、渡部愛さんをワタベ・アイさん、渡辺弥生さんをヤヨイさんと読んでいました」
ずいぶん正直な吐露だが、確かに間違いやすい。
指導棋士の3人も挨拶。渡部女流初段は快活で、毎日が充実しているなと感じた。
40分間の表彰式が終わり、やっと懇親会の開始である。3棋士も引き続き参加してくれる。木村晋介将棋ペンクラブ会長の音頭で乾杯となった。
私の右前には、「将棋ペン倶楽部」常連のS氏がいた。氏の書く短編小説はいつもおもしろく、私は昨年の将棋ペンクラブ大賞で一押ししたほどだ。
女子が何人か入室した。どうも懇親会が目的のようだが、それももちろん歓迎である。
幹事のW氏が来て、いい育毛剤を紹介してくれた。資生堂が販売している「アデノバイタル」である。W氏は効果があったようなので、今度試してみようと思う。
S氏と話をするが、彼は某小説賞で入賞の経歴があり、何本か原稿も書いて、印税収入もあるという。道理でS氏の作品がおもしろいわけだ。その彼とお近づきになれたとは、光栄である。
気が付くと、背後にA氏がいた。A氏と私の「出会い」も似たようなものだったので、お互い顔を見合わせて苦笑した。
向かいにはY氏。彼も文筆業に携わっているようで、何だか文章好きが集まってしまった。
再び石田直裕四段が来場し、みなに改めて挨拶。この機会に顔を売っておくのがよい。
時刻は5時を過ぎ、Fuj氏が私のところへ挨拶に来た。彼は6時からの「わらび将棋教室」に参加するため、早退けするのだ。会員との交流を蹴って、将棋対局のハシゴ。まったく将棋バカというか何というか、私にはできない芸当である。
勝又清和六段が来場した。次の名人戦第4局ではここ将棋会館で中原十六世名人の解説があるようで、その告知で来たようだ。
続いて窪田義行六段も見えた。窪田六段は日ごろからペンクラブを贔屓にしてくださり、いつも顔を見せてくれる。そういえば午前中に神谷広志新八段の姿もあったが、私はこういう先生方を応援したくなるのだ。
バトルロイヤル風間氏の似顔絵制作が始まった。その過程を背後から拝見したが、見事なマジック捌きである。
しばらく経つと、今度は渡部女流初段がモデルとなった。渡部女流初段のような美人は描きにくいだろうと察するが果たしてそうで、1枚目は制作の途中でNGとなった。
ミスター中飛車氏とも久しぶりに話す。お互い、LPSA芝浦サロンには疎遠になってしまった。
新宿の飲み屋「あり」経営者氏とも話す機会を得た。いまは居酒屋の経営より将棋教室の存続に力を入れているようで、その心意気に頭が下がった。
時刻は7時を過ぎ、ここでお開きとなる。部屋は8時まで借りているそうだが、早めに散会するのが、ペンクラブ流である。
みなが片付けをしていると、渡部女流初段と目が合った。
「ブログ再開されたんですね。また読ませていただきます」
社交辞令でも、面と向かって言われればやはりうれしい。愛ちゃんが読んでいると思えば、ブログを書く手にも力が入るというものである。
愛ちゃんは24日に女流王座戦の対局がある。どんどん勝ち抜いてほしい。
バトルロイヤル氏にも話を聞く。
「渡部愛ちゃんを描くのは難しかったですねえ。彼女は表情がころころ変わるんだよね。かわいかったり、美人だったり。だから描く前の顔と描いた後の顔が違っちゃうんですよ。そういう点では、林葉さんと同じタイプの美人ですね。
あと羽生さんね。羽生さんがデビューしたころ、ハブニラミとかあったから、世間は羽生さんが『つり目』のイメージがあったんですよ。私も5年間ぐらい、そう描いてた。でもあるときよく見たら、羽生さん実は垂れ目だったんだよね。それで、以後は修正した。
あとアニマル浜口ね。これも世間のイメージは、アニマル浜口にマユ毛がなかったんだよね。だけど実際は…」
と、ここで別の会員が割り込み、話はそこまでとなった。
私は今年も二次会に参加しなかったので、私の関東交流会はここまで。私は人見知りが激しいのだが、今年は多くの会員と交流を深めることができた。来年は来年の風が吹くが、またの参加を楽しみにしたい。
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将棋ペンクラブ関東交流会・その3

2014-05-23 00:10:15 | 将棋ペンクラブ
上手(角落ち)・渡辺女流初段:1一香、1三歩、2一桂、2四歩、3一銀、3二玉、3三歩、4二金、4三銀、4四歩、5五金、5八歩、6七成銀、9一香、9三歩 持駒:金
下手・Tag氏:1七歩、1九香、2三歩、2八飛、2九桂、3六歩、4七歩、6二銀、6九玉、7一飛、7七桂、8一馬、8六歩、9七歩、9九香 持駒:金、桂、歩6
(△5八歩まで。下手番)

詰将棋解図の名手・Tag氏がどう指すかと見ていると、▲7八金と受けた。
「受けちゃいましたかァ」
私は大仰に叫ぶ。もっともこれで渡辺弥生女流初段の攻めはやや切れ筋である。以下△5九歩成▲7九玉△6六金▲6七金△同金▲3一飛成△同玉▲2二銀△4一玉▲6三馬まで、Tag氏が鮮やかに寄せた。しかし…。
「ちょっとちょっと、その前…詰んでませんでした?」
私は口を挟み、前の局面に戻してしまう。「▲2二金△同銀▲同歩成△同玉…。ここまでは必然手ですよねえ。そこで▲2三銀。△同玉▲2一飛成。受けは何でもいいですが、仮に△2二金として…▲1五桂△1四玉▲2六桂△2五玉▲3七桂(△1五玉▲1六歩)。ピッタリ詰みじゃないですか」
「あ!!」
Tag氏が叫ぶ。「▲3七桂をうっかりしていました」
渡辺女流初段は
「さすがですね」
と苦笑いした。
本来この詰め筋は渡辺女流初段が指摘するもの。それを一アマチュアが横から口出しするなど言語道断だが、詰みの有無にかかわることなので、口を出さずにおれなかった。と同時に、渡辺女流初段へ売り込む気持ちがあったことも白状する。
さて、ヒトの将棋より我が将棋である。渡辺女流初段は△6五歩から△8六歩ときた。これを▲同歩なら△6六歩以下攻められるので、▲同角と変化してみた。
渡辺女流初段は▲8六同歩を読んでいたのか、「お」と驚き、数手後△5五歩▲同歩△同銀ときた。この局面が下である。

上手・渡辺女流初段:1一香、1四歩、2一桂、2二角、2三歩、3二玉、3四歩、4二金、4三歩、5二金、5五銀、6三銀、6五歩、7三桂、7四歩、8二飛、9一香、9四歩 持駒:歩
下手・一公:1六歩、1九香、2六歩、2八玉、3六歩、3七桂、3八銀、4六歩、4七金、4九金、6八飛、7六歩、7七銀、8六角、8七歩、8九桂、9六歩、9九香 持駒:歩3
(△5五同銀まで)

以下の指し手。▲5八飛△6六歩▲6八歩△6五桂▲5五飛△同角▲5六銀△2二角▲6五銀△7九飛▲5三歩△同金直▲4五桂△5二金引▲5三歩△5一金▲6四銀

私は▲5八飛と銀取りに回る。が、角のヒモが付いていたことをうっかりした。渡辺女流初段は涼しい顔で△6六歩。私は泣きの涙で▲6八歩の辛抱だが、ここで戦意が喪失した。
感想戦で教わったのだが、そもそも△5五歩に▲同歩と取ったのが素直すぎで、ここは▲6六歩と合わせるところだったらしい。以下△5六歩なら▲同金が力強い。
本譜△6五桂に▲5五飛は暴発だが、ほかにやる手もない。▲5六銀に渡辺女流初段は局後、「△7七桂成▲5五銀△8七成桂だったか」と悔やんだが、本譜でも上手十分なのだろう。
▲5三歩以下の攻めは指してみただけ。▲6四銀の突撃に、渡辺女流初段の応手は。

△8六飛▲6三銀成△8七飛成▲5二銀△8九竜▲5一銀不成△5五角

▲6四銀に△同銀は▲同角で捌かれると見て、渡辺女流初段は△8六飛と根元の角を取ってきた。が、私は構わず▲6三銀成と銀を取り、勝負になったと思った。
△8六飛では△5四銀と躱されたら私に二の矢がなく、ホントに投了していたかもしれない。
私は▲5二銀と食いつくが、ギリギリの攻めだ。渡辺女流初段は私が指すたびに「ああ…うん…」と妙に苦しげな声を漏らす。しかし局面はまだ渡辺女流初段のほうがいいはずだ。
事実▲5一銀不成には△2四歩と懐を拡げられたら下手は切れていたと思うのだが、渡辺女流初段は△5五角。これも逃げ道を作った手だが…。

▲4二銀成△同玉▲2二金 まで、一公の勝ち。

私は▲4二銀成と金を取る。以下△同玉(△2二玉は▲2五桂で下手勝てそう)に▲2二金と放り込んで、渡辺女流初段の投了となった。
と、横で指導をしていた櫛田陽一六段が
「(大沢さん)勝ったんですか!?」
と頓狂な声を挙げる。これは私が平手で女流棋士に勝った驚きと言うより、あの酷い将棋を逆転したんですか、の意味だったと思う。
女流棋士に平手で勝てたのだからうれしいには違いないが、丸負けの将棋を拾ったので、喜びも半分というところ。感想戦でも、自虐ネタしか出なかった。
改めて本局を振り返ってみて、渡辺女流初段はごくふつうの手を指しているのに、気がついたら下手が劣勢になっていて、さすがに女流棋士は懐が深いと思った。
終盤も渡辺女流初段がちょっと読みを入れれば正着を指していたはずだが、ここは将棋ペンクラブの指導対局であり、渡辺女流初段も、そこまで力を注いでいなかった。
いつも書いていることだが、指導対局は上手の勝ち負けは関係ないが、下手は勝てばいい記念になる。渡辺女流初段にはそこをご配慮いただき、とてもありがたく思った。
渡辺女流初段には、来月再会できることを楽しみにしている。
(つづく)
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