一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

驚愕の一手

2016-10-26 19:58:47 | 将棋雑記
私の仕事では時おり荷物のやりとりがあり、緩衝材や間仕切り等に新聞が利用されている。すると私も仕事の手を休めて読んでしまうのだが、将棋欄は最たるもので、つい記譜を追ってしまう。
今日見た観戦記は東京新聞の8月2日付・佐藤康光九段VS行方尚史八段の王位リーグだった(対局日は5月11日)。
指し始め図から△4五歩▲同銀と呼んで△5七角(図)。

ここで佐藤九段の指し手は▲4四歩!
これには驚いた。だって、王手で金を取られてしまうじゃないか。
が、大川慎太郎氏の観戦記によると、△6六角成は▲7七銀△4四馬▲同銀△同銀▲4五歩△同銀▲4四歩(参考1図)で先手がいいという。

また△6六角成で△4四同銀も、▲6七金引△4六角成▲4四銀△同金▲4八飛(参考2図)で、これも先手がいいという。

参考1図、2図ともこれで先手がいいとは思えないのだが、プロ的にはそうなのだろう。
本譜は行方八段が△4二金引と辛抱し、以下激戦が展開された。
それにしても図で▲4四歩とは、驚きを禁じ得ない。私たちレヴェルなら、▲4四歩には「金取りですよ」と待ったをさせてあげるくらいだ。
ここ数年プロ棋士に指導を受けるようになって、感じたことがある。そのひとつは、プロは駒取りを受けない。
もちろん受ける時は受けるが、その駒を受けるくらいなら、もっと有効な手を指したい、と考えるようなのだ。
指了図では先手優勢。しかし対局は、行方八段が勝った。げに恐ろしきプロの将棋よ。

まあ、このような観戦記はいい。1譜の中で山場が完結しているからだ。
厄介なのは、「ここで先手が指した手をお考えいただこう」で終わる場合だ。いわゆる観戦記の常套句で、ここで次の一手を考えるのが将棋の上達法でもあるのだが、この場合は困る。だって翌日の新聞は見られないからだ。

図は2015年10月16日の産経新聞。第87期棋聖戦1次予選の▲八代弥五段VS△佐々木勇気五段戦である。
実はこれが指了図で、伊藤能氏の観戦記は「佐々木はまたも好打を放つ」で結ばれている。
が、次の一手が皆目分からぬ。
暇があったら、ネットで調べてみたいと思っている。
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26年ぶりの日本シリーズ(後編)

2016-10-25 21:09:44 | 男性棋戦

解説の木村一基八段、聞き手の鈴木環那女流二段らも退場した。私は解答用紙に「▲5二角成」と記入する。勝利者予想クイズもあり、こちらは「佐藤名人」としたためた。
スタッフ氏に用紙を渡し、私の仕事は終了である。どうか当たりますように。
佐藤天彦名人、豊島将之七段が着座し、関係者がそろって、対局再開である。記譜読み上げの安食総子女流初段が、封じ手を読み上げる。
「封じ手は、5二…」
よし、当たった!
「…と、です」
ニャニー!?
場内がざわついた。
「…やっちまいましたね」
木村八段がつぶやく。
「やっちゃいましたね」
と鈴木女流二段が返した。
▲5二ととは…。解説者に責任は押し付けないが、候補手にない手が指されるのは極めて珍しい。
木村八段「自分の読みを信じて▲5二とと書かれた方はいらっしゃいますか。…ああ、いる」
そりゃあいるだろうが、全体の1%にも満たないんじゃないか。
私が落胆している間にも、指し手は進む。△3一飛、と読み上げが入り、その位置に飛車が回った。??
その前の指し手は▲7二角成である。そうかそうか、△8一にいる駒は飛車だったんだ。私は桂と勘違いしていた。休憩中は▲7二角成の瞬間がやや甘いと考えたが、△8一の駒が飛車なら逃げる一手で、▲7二角成は十分に一手の価値がある。とするならば、と金を敵玉に近づける▲5二とは十分にある手だった。
以下は佐藤名人が銀を取りながら急所(4五)に馬を引き付けて、これは先手を持ちたくなった。
鈴木女流二段「勉強法…研究、というのはどうやってやるものでしょうか」
木村八段「研究は個人でやる時もあるし、複数でやる時もあります。でもその結果を整理するのは個人の力です」
さすがに将棋ソフトの話は出てこなかった。
数手進んで豊島七段△4四銀の馬取りに、佐藤名人の▲4一銀がスピード重視の一手。
豊島七段、角を取っての△5五角(飛車取り)には、▲4八飛と切り返す。そこで△1九角成と香を取るのが自然だが、それは4四の地点が薄くなる。それで豊島七段は△5五角と我慢したが、これも私たちには指せない手だ。攻めるところは攻め、辛抱するところは辛抱する。この緩急の塩梅が大いに勉強になる。
しかし現実には▲4六銀で角が詰んだ。これはハッキリ先手が優勢になっただろう。
豊島七段は△7七角成と切り、質駒の4一銀も入手して、シャニムニ攻める。子供大会の時はと子供たちが会場を走り回っていたが、現在は客席が暗いこともあり、しんと静まり返っている。すでに両者秒読みで、安食女流初段の「40秒…50秒…」というロリ声が会場に響く。将棋を知らない人でも緊張する場面だ。
豊島七段△6九角の王手に、佐藤名人は▲8六玉と上がる(第2図)。
ここで豊島七段に、次の一手のような手が出た。

△7六銀! うわー、と木村八段が叫ぶ。なんだかよく分からないが、駒をタダ捨てするということは、後手に有望な変化があるのではないか?
▲同金に△7五銀! あれれ? これ、ヘタしたら先手玉が詰むぞ? …というか、平易な詰みに見える。どこで形勢がひっくり返ったのか、急転直下である。
6手後△7六金打まで、佐藤名人が投了。場内がねぎらいの拍手に包まれた。豊島七段、うれしい初優勝!
時間はだいぶ押しているが、大盤に移って感想戦である。第2図の▲8六玉では、▲9八玉と引く手があったようだ。以下△7六銀▲8八歩△8六歩▲同金△7八銀には、▲8二飛(参考図)が詰めろ逃れの詰めろとなる。

第2図から、先手は銀が1枚入ると▲4二銀△同金▲2二銀△同玉▲3一角以下の詰み筋がある。
▲9八玉なら、まだ一波乱あったようだ。

さて、表彰式である。優勝の豊島七段には、谷川浩司日本将棋連盟会長から賞状が授与された。またJT代表取締役社長からは、賞金500万円のパネルが手渡された。この賞金は大きい。副賞はテーブルマーク魚沼産コシヒカリ1年分。これも大きい。
なお、準優勝賞金は150万円だった。
豊島七段挨拶「皆様本日は最後までご覧いただき、ありがとうございました。
本局は序中盤でかなり苦しくなったんですけど、諦めずに指せたのがよかったと思います。
JTの皆様、関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます」
風貌に似合わず、意外にしっかりとした大きな声だった。豊島先生、おめでとうございます。

この後はお楽しみ抽選会である。といっても、私は次の一手と勝利者予想、両方とも外したので、ほとんど楽しみがない。ちなみに「▲5二と」を当てたのは53名。こんなにいたのか! 5名にJT杯扇子が当たった。
勝利者予想の賞品は将棋盤。何が賞品だろうと、私には関係ない。
全応募者の中から改めて何か当たるらしいが、そちらに注意しつつ、私はテーブルマークの抽選結果も確認に行く。しかし、どちらもハズレだった。
これで私のJT杯日本シリーズは終わりである。これだけ楽しんで無料とはありがたい。野球の日本シリーズと比ぶれば、「無料」がいかに破格のサーヴィスか分かるというものだ。豊島七段ではないが、JTとテーブルマークに感謝したい。
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26年ぶりの日本シリーズ(中編)

2016-10-24 21:27:06 | 男性棋戦
いよいよプロの決勝戦である。対局者は佐藤天彦名人と豊島将之七段。
私がJT将棋日本シリーズを観戦するのは26年ぶり2度目である。1度目は1990年12月9日、新潟県民会館で行われた第11回決勝戦で、対局者は谷川浩司竜王と中原誠名人戦だった。今では考えられないが、この将棋を見るためにわざわざ出かけたのだ。当時の私はアグレッシヴだった。
ちなみにこの将棋は88手までで谷川竜王の勝ち。双方居玉(1手も動かなかった)の珍局だった。

場内が暗くなった。対局者に集中してもらおう、の意だろうが、私はメモが取れなくなってしまった。
大きな拍手に迎えられて、両者が登場した。もちろん羽織袴である。午前中に将棋フォーカスをチラッと見た時、講師の佐藤名人は、名人らしからぬ服装をしていたが、本局はもちろん正装である。が、羽織は赤系で、貴族らしい色あいだ。
豊島七段はオーソドックスな色。羽織対決は名人に軍配か。
女性司会者による両者の紹介。
「佐藤名人は…昨年は王座戦、棋王戦と挑戦しましたが、惜しくも敗れました。しかし今年、初参加のA級順位戦で8勝1敗の成績を上げ、羽生名人に挑戦。4勝1敗で名人位を奪取しました」
「豊島七段は…序盤、中盤、終盤、スキのない将棋です」
NHK杯で佐藤紳哉七段が語った豊島評は、そのまま定着した感がある。
両者が所定の位置に座り、駒を並べる。持ち時間は10分。ほかに考慮時間が5分設けられ、使い切ったら1手30秒である。解説は木村一基八段、聞き手は鈴木環那女流二段、記譜読み上げは安食総子女流初段。16時59分、対局が開始された。
将棋は角換わり相腰掛銀になった。両者研究どおりだからか、ポンポン進む。
棋士の対局姿を鑑賞するのはいいものだが、この位置からでは少し遠い。フラッシュを焚かなければ撮影も可、とのことだがやはり遠すぎて、単なる「記録」にしかならない。
鈴木女流二段「角換わりの将棋は、木村先生も王位戦で指されていましたね」
木村八段「イヤなことを思い出させますね…」
というやりとりがおもしろい。
将棋はその王位戦第6局と似た局面になった。
と、豊島七段が△6五歩と開戦した。
▲6五同歩にはたんに△同桂。今は△7五歩や△9五歩はいれないらしい。とはいえ本局も実戦例があり、それは▲6六銀△6四歩と進んでいる。が、佐藤名人はノータイムで▲6五同銀と取った。多少駒損になるが、これで主導権を握れるなら話は簡単だ。
△同銀に▲6三歩が狙いの一手か。△7二金に▲6四桂。日本シリーズには封じ手があり、それを私たちが当てることになっている。しかし両者の指し手が速く、木村八段はそのタイミングが掴めない。将棋が終わっちゃったらどうしましょう、みたいなことを言っている。
佐藤名人▲6一角。
鈴木女流二段「これは…中盤越えちゃってますか」
木村八段「越えてますね」
角換わりの将棋はこれだからおそろしい。
豊島七段が△4四銀と上がったところで、木村八段が封じ手を宣言した。が、さすがに局面が難しく、ここは名人が少考した。
名人が封じ手を記入して、両者が退席する。しばし場内が明るくなった。

ここはいろいろな手が考えられるところで、まずは木村八段と鈴木女流二段が客席に聞く。いくつか候補手が出て、それに木村八段の候補手も追加すると、

▲5二角成
▲4五歩
▲7二角成
▲4五桂

の4つぐらいになった。
私の読みは▲5二角成である。以下△3一玉▲4五歩△3三銀▲5三馬で王手金取りだが、△4二角と合わされてどうか。
実はこの時、私は△8一飛を桂と間違えていた。これが微妙な読み違いを生む。
(つづく)
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26年ぶりの日本シリーズ(前編)

2016-10-23 23:43:17 | 男性棋戦
今日は東京都江東区の東京ビッグサイトで、JT杯日本シリーズの決勝戦があった。私は男性棋士のライブ対局は見ないのだが、今回は思うところあって見に行くことにした。
最寄り駅の近くで何かイヴェントをやっていて、ミス・ピーチの姿もあったのだが、ここで時間を食ったら本末転倒だ。私は後ろ髪を引かれる思いで山手線に乗った。
東京駅で降りる。ビッグサイトに行くには新橋からゆりかもめに乗るのが簡明だが、交通費が高い。それで、東京駅前から路線バスに乗ることにした。時間は倍かかるが、急ぐ旅ではない。
バスは14時20分の始発で、珍しく座れた。終点ビッグサイトまでは約40分かかるが、バスは10分ほど遅れて到着した。ここで降りた客は数人と少なく、ちょっと意外だった。
敷地に入ると、これからゾロゾロ帰る人がいる。日本シリーズは東ホール5・6で行われているが、隣接のブースで外国コミック展をやっていた。彼らはそこの入場者であろう。ビッグサイトは東京モーターショーやコミックマーケットが行われているが、あの混雑から見れば、今回はすいているほうである。
受付でパンフレット一式をいただき、入場する。2ホールぶち抜きのそこは夥しい数のパイプ椅子が並べられ、ステージでは関係者と思しき人が講演をやっていた。ホールの後方には絵馬堂が設えられ、参加者の筆と思しき絵馬が奉られていた。
客の入りは3分程度か。というか、あまりにも椅子の絶対数が多すぎて、相当入場しないと満席にならない。
私は椅子に座って拝聴する。演者は羽生善治三冠や森内俊之九段の知られざるエピソードを披露していた。客の半分はテーブルマークこども大会の参加者(小学生)で、それ向けの話ということだ。
それが終わると、まずは小学生低学年(1~3年)の決勝戦である。今年は低学年と高学年、それぞれ1,300人以上の参加者があったようだ。
記譜読み上げは安食総子女流初段。解説は木村一基八段、聞き手は鈴木環那女流二段で、順々に登場した。なかなかに手堅いメンバーである。
決勝の2人が登場した。どちらも3年生で、袴姿がなかなかに凛々しい。決勝戦にふさわしいいでたちだ。
ステージの向かって左に対局者、右に解説者と聞き手が位置する。持ち時間はなく、初手から30秒。H君の先手で対局が始まった。
ところで後方にはテーブルマークのブースがあり、同封のパンフレットの中に、同社にまつわるクイズがあった。正解すれば後の抽選で何か当たる、というやつだ。私はこういうのが好きなので年甲斐もなく解答し、投函した。
席に戻る。後手E君の作戦はゴキゲン中飛車。飛車が5筋で向かい合って、緊張感のある局面になっていた。
木村八段「低学年はパッパッパッと指すんですが、この2人は落ち着いている気がしますね」
E君が△6六歩(図)と合わせたのに対し、H君が▲5七銀と上がったのがどうだったか。

以下△6七歩成▲同玉に△5六銀が炸裂した。
これを▲同銀上は△8八角成がある。H君は分かっていたが本譜もそう進行し、後手優勢になった。
以下はE君が的確にまとめ、制勝した。
感想戦で木村八段は「△6六歩に▲5八金右△6七歩成▲同金△6六歩▲6八金引と我慢すべきでした」と指摘した。
続いて小学生高学年の決勝戦。2人ももちろん袴姿だ。
先手K君(5年)、後手O君(6年)で対局開始。本局はO君の角交換四間飛車となった。
高学年になると、さすがに将棋にコクが出てくる。ぱっと見には私たちレヴェルの将棋とまったく変わらない。
将棋はお互いの飛車が4筋でにらみあい、軽く千日手の懸念があったが、O君の△1九角が機敏で、後手が戦機を握ったようだ。
木村八段「このテーブルマーク杯は登竜門でして、藤井聡太四段もここで優勝しています」
鈴木女流二段「(駒操作の)○○三段も、ここで優勝したそうです」
この大会は参加者が多いだけに、真の実力者が勝つようだ。
K君、飛車を6筋に回り、▲6五桂と跳ねる。次に▲5三桂成があるのでO君は△6四銀打と辛抱した(図)。

ここでK君は▲8五歩と、後手玉の薄いところを衝いた。なかなかに筋の良い手ではあるが、それでも▲5三桂成があったと思う。これを△同銀ならもちろん▲6三飛成である。
以下はO君が巧妙に指し、逆転模様となった。最終盤、O君が△8九竜と回り王手。木村八段が「これにはどう受けますかねぇ」とつぶやいたところで、K君がなんと投了してしまった。
これには木村八段もビックリである。さっそく投了後の変化をやるが、意外に難しいところもある。
「これは試されてますねえ」
とつぶやく。ごちゃごちゃやって、どうにか後手の勝ちになったが、もしK君が指し継いでいたら、どう転ぶか分からなかった。
さて、表彰式である。谷川浩司日本将棋連盟会長から、2人に賞状が手渡された。
ああ、「会長」の谷川九段を拝見するのも、これが最後になるかもしれない、と思った。
(つづく)
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31年ぶりの感動

2016-10-22 23:15:49 | プライベート
今日は13時から文化放送で「ミスDJリクエストパレード~8116サタデーアップ!」があった。私はリスナーだったので楽しみではあったが、31年ぶりの同窓会に出るようなプレッシャーもあり、できれば録音をし、後でゆっくり聴きたいとも思った。が、そんな録音メディアはウチにはない。
そもそも私はラジオを持っていない。スマホでラジオが聴ける気もするがよく分からない。
裏の工場にラジオがあるので、そこで仕事をしながら聴くことにした。

ラジオを私の横に移動して、イヤホンを使う。
13時になり、千倉真理の懐かしい声とともに、あのテーマ音楽が聴こえてきた。その声は、彼女卒業の32年前とまったく変わっていなかった。
この瞬間、私の意識は31年前にタイムスリップした。勉強をする気もないのに参考書を開き、パーソナリティの言葉に耳を傾けた。その記憶は甘酸っぱく、今でも胸が締め付けられる。
当時のリスナーはみんな立派になっているだろうに、私はふつうに年を重ねただけで、定収入のチョンガーだ。ミスDJにも合わせる顔がない。
そんなわけで今回はリクエストをしないつもりでいたが、今は便利な世の中だ、千倉真理のおしゃべりとリクエスト曲を聴いているうち、私もメールを入れたくなってきた。
と、おじが仕事場に来て、型の取り付けを始めた。土曜日は休みなのだが、休みだからこそ自分のペースで仕事ができるということもある。私も手伝うべきなのだが、この場を離れるわけにはいかない。
と、今度はオヤジが事務仕事をしにきた。これではもう、平日の雰囲気である。
オレは自宅に戻り、そこで改めてラジオを聴いた。スマホからメールを出すべく文面を書いたのだが、よく考えたらPC上で文面を書いたほうがいい。
PCの前に移動して、懐かしかったです、というありきたりの文章のあと、ボーイズ・タウン・ギャングの「君の瞳に恋してる」をリクエストした。本当は「D’ont Cry」をリクエストしたかったのだが、歌手名のASIAが思い出せなかった。
送信ボタンを押して、リクエスト完了である。改めて便利な世の中になったと思うが、わざわざハガキにリクエスト曲を書いた回りくどさも、それはそれで貴い。
しばらくして仕事場に戻ると、私ひとりだけになった。これで落ち着いてラジオが聴ける。
再び31年前に戻り、私はしみじみ曲を聴く。当時の自分、その後の自分が走馬灯のようによみがえり、目頭が熱くなってきた。すべてにだらしない自分でも、少しでも充実した毎日を送ろうと、もがいていた日々もあった…。
番組は滞りなく進行し、最後のリクエスト曲までいってしまった。私の曲は流れなかったが、それでいい。2時間懐かしい曲が聴けて、とても穏やかな気持ちになった。
ミスDJが末永く続くことを祈ります。
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