神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

光秀の謀反 本能寺なーんちゃって⑤

2021年02月10日 20時19分03秒 | 光秀の本能寺
(まさか本当に明智がやるとは?半分は戯れであったが。 それにしても自尊心の高い教養人とはかくも脆いものなのか、わしにはわからぬ)
この男、羽柴秀吉は戦地の備中から遠く離れた姫路の城にいる
信長が討たれた翌々日の夜明け前には、京都からの定期便が明智の謀反と信長の死を秀吉に伝えた
(信長様さえわしの情報網には気づかなかったであろうな、毎日わしのもとに京、大坂の最新情報が届いているとはな)
(信長様も明智も、わしの罠に見事にかかって哀れなことよ、それにしても黒田官兵衛は恐ろしい男だ、気を許してはならぬ男だ
この頃の信長様は気がおかしくなったとしか思えぬ、あまりにも日々時々の躁鬱が激しすぎる
わしには今は良い巡りになっているが、その裏面が明智に向いてしまった、辛抱強い明智でも我慢の限界に来たはずだ
信長様が徳川様と明智の絆を疑い、皆の前で打ち据えたとき、わしは蘭丸に言った
「信長様の醜態を徳川様にさらして良いのか? そなたがやらずしてどうするか!」と
蘭丸め主君の前だとて思いきり明智を打ち据えた、あの時の苦痛と屈辱に耐えて顔を歪めた明智の顔は見物であつた
あれで明智は蘭丸に殺意を持った、もちろんそれを止めずに薄ら笑いを浮かべていた信長様にも恨みを持った筈だ
それでわしは明智にお節介をやいてやった「佐久間様の事もあるからただちに信長様に詫びを入れなされ、信長様の決断は早うござる
その前に森蘭丸殿に異心が無いことを伝えるべきかと、蘭丸殿の口一つで信長様の心が動くらしい、手土産の一つもお渡しなされよ」と
明智がわしの言うとおりに動くわけは無い、反対に蘭丸と信長様に対する怒りと恨みと不信感が増長したはずだ
そこでわしは仕上げにかかった。 「明智様、信長様は明智様と徳川様が親しい間柄であることに疑念を抱いておられるようでござる
近頃の信長様はなぜか疑い深くなられた、故に安土城のように高い山の上に大きな城を築いたのです








明智様は我ら家臣の中でもっとも上様のご信任が厚うござる、われらはみな遠方にて敵と戦っておりますが
明智様は安土とは琵琶の海で向かい合った坂本城と京に近い亀山城をいただいております、上様の信頼厚き証しでござる
上様は兵のほとんどを我らに預けて、御自身はわずかな旗本の小部隊を周囲に置くだけで万一の時は籠城して明智様と美濃、尾張の軍を待つ
しかもただちに上様をお守りできるのは明智様の万の軍勢だけでござる
明智様そのことを幸運と思し召しくだされ、ゆめゆめ忘れてはなりませんぞ
もしも、もしもでござるよ 上様から明智様を遠ざけるようなお下知がされたなら、それは信頼が薄れたときと思し召されよ
それは佐久間様と同じ道をたどる前触れやもしれませぬからなぁ
あっ!いやいや失言でござる、お忘れ召されよ、根も葉もない戯れ言でござる」
あの時は明智は真顔になり青ざめておった、思い返せば心当たりがいくつもあったからな、わしが疑念に火をつけてやったのよ
それから後は全て官兵衛に任せた、すると奴は翌日にはわしにこう言った
「殿、信長様が備中にお出ましなされますぞ、明智を引き連れて」
「官兵衛よ、考えたものよのう、それでそなたは信長様がここまでまいられると思うか? どうじゃ?わしと賭けをいたそう
わしは来られぬ方に賭ける」
「殿!賭けになりませぬ、拙者もおなじでござるからなぁ」
「されば京からの定期便を一日二回に増やしてつたえるよう手立てをいたせ」
そしてわれらが思った通り信長様も明智もわしの所にはこなかった
もしあのまま手を打たず明智が追放されたなら次はわしの番だ、天下が信長様に入れば入るほど身内で固めようとする
天下太平になれば、わしなど真っ先に切り捨てられるであろう、そうなる前に先手を打つておかねばの、まず最初の目的はうまくいった、これからが勝負だ)









光秀謀反の本能寺 なーんちゃって④

2021年02月10日 12時00分16秒 | 光秀の本能寺
翌日筒井氏の居城大和郡山城に明智の手勢2000がやってきた
しかし信忠の一団はすでに甲賀を目指して立ち去った後であった
しかも明智勢には内緒だが、信忠たちの先導をしているのは島左近ら20名の筒井家家臣だった
信長亡き後の織田家を受け継ぎ5軍団20数万の兵を自在に動かすのは織田信忠に他ならないと左近は思った
主、筒井順慶の許可は得ていないが、おそらく順慶もこの選択を選ぶという確信はあった
そうでなければ筒井家を去って信忠に仕えるまでと腹をくくっている、左近は信忠に惚れ込んでしまったのだ

安土城は天守から焼け落ちてしまったとの報告が入った、もはや安土へ行く意味がなくなった
これからはまずは蒲生氏郷と日野城で合流し、蒲生の手勢、信忠の手勢、さらに安土方面から落ちてくる織田勢を吸収する
そのあとで弟の北畠信雄の兵と合流すれば7000ほどの軍団になるだろう
ここから命令を発して京に向かえば大坂方面にいる織田信孝、丹羽長秀の軍勢も信忠の生存を知って5000ほどが京をを目指す
高山右近らにも加わるよう働きかければ信孝軍は4~8000近くなるだろう
すでに岐阜にも使いを走らせているから信忠直轄の美濃勢1万は集まる、それと合流して光秀を信孝軍とで挟み撃ちにする
明智は京で孤立無援となっている、これで細川を抑えてしまえば明智は瞬く間に消え去ることになる
明智は織田信忠を取り逃がしたことが命取りとなるだろう、それを一番感じていたのは当の明智光秀であった

光秀が考えたのは天皇から征夷大将軍の勅許を受けて織田信忠に対抗することであった
だがそれは甘い考えである、わずか一万そこそこで都を抑えたとて光秀にかしずく武将は見当たらなかった
天皇とて、この先どう動くかもわからない状況の中で光秀に軽はずみに征夷大将軍など出せるわけもない
ましてや光秀は織田信長の配下という地位でしかないのだ、それを思うと余りにも現実から離れた考えをした自分に苦笑するしかなかった
畿内から東海北陸にかけての大名たちはすべて光秀を殺そうとしているように思えた
しかも最も近くにいる最大の敵は光秀を親の敵と狙う織田信忠なのだ
光秀に残された選択は二つしかない、日野に向かって全軍で攻め込むか、信長を敵としている勢力と合流するかである
いずれにしても京は守り難く捨て去るしかないと思っている、どの道を選ぶにしても一刻も早く行動しなければならない

信長亡き後、新たな織田家の旗頭織田信忠に従う大名や武将は誰だろうか?
織田家を敵とする大名は誰だろうか? 光秀は頭の中で整理を始めた
越中では織田軍団の筆頭家老柴田勝家が、越後の上杉景勝方の魚津城を落としたばかりだった
上州(群馬県)の軍団長滝川一益は上州口から越後に攻め入ろうとしていた
姫路が本拠の羽柴秀吉は、大敵毛利と備中で戦闘中だ
大坂の織田信孝、丹羽長秀はすでに戦意を失っている
堺に居た徳川家康は僅かな家臣と伊賀の山中に入って行方不明だと言うことだ
おそらく野武士などによって殺された可能性が高い、だとしたら三河、駿河はどうなるのか?
少なくとも中国の覇者毛利、越後の上杉、関東の覇者北条、四国の長宗我部は織田家に敵対する勢力であり続ける
ものの考え方が光秀とは正反対の羽柴秀吉は腹の中が見えない男だ、信忠に対してどのように動くかとんとわからない
柴田勝家は織田家の忠臣だから間違いなく信忠を支えようとするだろう、信孝、信雄の二人の弟も信忠に背く理由はない
丹羽長秀も柴田勝家と同様だ、滝川一益も従うだろう、蒲生もしかり
細川は未だ自分に何も行ってこないし兵を動かす様子もない、これはどうしたことだろうか
畿内の池田、高山、中川らは予測がつかない、池田と親戚の森長可は信濃にいるが信長の寵臣小姓森蘭丸らとは兄弟だから信忠につくだろう

これからは日増しに信忠の軍は膨れあがっていくはずだ、それに立ち向かうことは自殺行為だと思った
(ならば逃げるか!)天下を取る野望があったわけでは無い、今思えば積もり積もった怒りと嫉妬でとっさにおこした謀反だったと気づいた
(なんと愚かなことをしてしまったのか)二人の娘に申し訳ないと思った
細川忠興と津田信澄に嫁いだ娘たちはこの先どうなるのだろうか
(ともあれ今夜闇に紛れて逃げよう)
光秀は斉藤利三、明智秀満など僅かな重臣を呼んで撤退の意を告げた
「今宵丹波に戻る」