もう何年前になるのかなあ、「板門店へ行って北朝鮮の地を踏もう」と言うことで
県議秘書A氏、ディラー所長B氏と3人でアシアナに乗って出かけた
フリーの旅行業者の仲介で出かけたのだが説明不足
「仁川空港に降りてロビーに出れば現地の**旅行社が迎えに出ていますから」と旅行社
何回か行っているので、その風景は目に焼き付いている、気軽に「OK!OK!」と言ってしまった
さてロビーに出ると、歓迎出迎えの韓国の旅行社が10社ほど旗を振り、ボードを持って
予約客を待っている、さてわれわれの赤字旅行社はどこかいな?
端から端まで見てもいない、少し待ってみるか・・・・5分経っても来ない
ちょっと不安になった頃、大柄な中年男がすっと入ってきて「おまたせしました」流ちょうな?日本語で
「3名様ですね」「はい」 「じゃあこちらです、荷物持ちますよ」「・・・・・」
私のキャリートランクを有無を言わせず取り上げて、さっさと歩き出した「!」
早足だ、急いで三人で追いかける、(こいつ泥棒じゃ無いの?)
どんどん歩いて、階段を降りて、そこは地下の駐車場だった、10人乗りくらいのワンボックスの後ろを
あけて「さあ、荷物どうぞ」と残る2人のバッグも入れて、座席に案内して「もう一人来ますから待ってください」
すぐに一人の韓国人がやってきた、中肉の若い男だった、そして5人で出発
大男が運転手で若いのが助手席に乗る、行き先も聞かずに走り出す
それから陽気にしゃべり出した大男、若い方は無口だ
運転手が、いきなりポン引きに変身? 韓国では男同士ツアーとみればすぐこれだ
日本人もバブル以来なめられたものだ、50歳から70歳のロートル相手になんだよ!
3人で無視を続けていたらだんだん様子がおかしくなってきて、こっちも先ほどから(なにか違う)と思って
ツアーのバッジを見せて「赤字旅行」と言ったら、連中の顔色が変わった、すぐに二人は相談して
車は突然Uターンした
再び飛行場の地下に到着、若い男が降りてロビーの方に走っていった・・・・
「おいおい、おれたちはどうなるんだい」、奴らが目当ての客を間違えたことだけはわかった
ところが運転手の大男はいとも簡単に「送りますよ」と言って再び走り出し、ソウルへの高速に乗った
「ホテルはどこですか?」「ノボテルアンバサダー」
「ああノボテルね、とても良いホテルね」相変わらず愛想が良いが、終点の料金ゲートへ来たら
「高速代1万円ください」「?」と思ったがB氏が財布からだして渡した
支払いを済ませて「おつりチップください」とシャーシャーという
B氏も旅行で気が大きくなっているのか「OK!」あっさりと承諾
それからまた市街地をどんどん進んで行くがなかなか到着しない、飛行場に着いてからもうかれこれ
2時間近い、季節は4月初旬、時差1時間(時計の時差はゼロ)とはいえ曇りでもあるし少し薄闇が
ソウルの都心とは思えない静寂な場所で「着きました、あのホテル、ノボテル良いホテルね」
オレたちを置いて車は帰って行った
フロントでチェックインをすると「お客様のご予約はありませんが」と日本語で女性のフロント係
「えっ!?」「・・・・・・」
「ノボテルアンバサダーです.ね?」「はい」
「......」
「どこのアンバサダーホテルをご予約なされましたか?」「・・・? カンナムですが?」
「そうですか! ここはトクサン.アンバサダーです、カンナムは別のところにあります」
「・・・・・・・やられた!!!!!」
ちょっと軽いパニックに、しかしさすがホテルマンだ 「タクシーをご用意しましょうか?」
ということでタクシーに乗ってカンナムまで、途中からはソウル名物の大渋滞でタクシーは動かず
ホテルに着くともう夜の8時を過ぎていた、飛行場から実に4時間以上経過、我が故郷から仁川空港
までよりも長い時間が過ぎていた。
おまけにフロントに来ると、さっきの運転手コンビと同じパターンで中年大男と若い男が待っていた
われわれの正体がわかった途端大男が
「どこ行ってた!待ってたのに来ない!」と大声で怒鳴るでは無いか
(なんだこりゃ?)3人ともびっくり、これが韓国式の挨拶?
話をしてみれば、この二人赤字旅行社の社員だった、仁川で待っていたのに到着時間になっても
我々が来ないので、ここでずっと待っていたらしい
こっちにはこっちの事情があった、A氏は政治家の秘書だけあって肝っ玉が据わっている
「なにを言ってるか!居なかったのはそっちだろ!」と反撃
おたがい押し問答でらちがあかない、A氏は「おまえでは話にならん」と言って、若い方と話しを始めた
若い方は穏やかで、すぐに話しは終わった
「明日の朝、私がお迎えに来ます」と言って帰って行った。
後日わかったけれど、我々に原因があった、飛行場からの出口ゲートはいくつもあって、飛行機毎に
出口が決まっているのに、それを知らない我々は適当に出てしまったから、正式なゲートで
待っていた旅行社に会えなかったというわけだ、そこに早とちりの別の旅行社が居合わせて
我々を運んだわけだ、しかし高速代の1万円は、ぼられたね、だけどタクシー代と思えばどうなんだろうか
別のホテルへ行ったのは、ちょっとおまけだったけど良い経験をした
翌日は快適に板門店見学をしてきました。
だけどお客をいきなり怒鳴るなんてのは、お国柄ですね、ちょっと面白い経験だったけど郷にはいらば郷に従え
と言いますから笑い飛ばしましょう。