アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月9日)は会社を休んでカミさんと映画「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」を観てきました。

チェン・カイコー監督による日中合作映画で、空海役に染谷将太、白楽天役にホアン・シュアン、阿倍仲麻呂役に阿部寛、その他にチャン・ロンロン、松坂慶子、火野正平などが出演していました。
恵果阿闍梨から真言密教の奥義を授かる以前の空海をモデルにしていますが、娯楽ものとして楽しむ分にはいいです。


さて、「『名人伝』(中島敦)を素材とするカウンセリングのメタファー」シリーズの第4回目です。

今までの部分に関心のある方は

1回目 3月3日
2回目 3月7日
3回目 3月8日

のブログをご参照ください。


『名人伝』(中島敦)のストーリーをカウンセリングのメタファーから分けると、

第1期 執着期
第2期 格闘期
第3期 忘却期

の3段階に分けられます。

*簡単に読める短編ですので、全文を読んでみたい方は 青空文庫 で。

第1期の「執着期」は、「問題」だけにフォーカスし、問題でない部分が見えない状態になっている完全なこだわり(執着)の世界に入っている時期です。

物語の中では、紀昌が師匠から瞬きせざることを学べと命じれら機織台の下に潜り込んで瞬きをしない技を2年間で身につけ、視ることを学べと言われ虱(しらみ)を3年間視続け、虱が馬のような大きさに見えるようになるまで訓練している時期です。

象徴的な言い方をすれば、「虱が馬のような大きさに見える」ように問題が大きく見えてしまうことが特徴です。

「問題」だけにフォーカスしているので、問題でない部分が見えない状態になってしまっています。

前回の例では、子どもの不登校に執着している人は、子どもが学校に行く/行かないだけが最大関心事で、家の中で子どもとどう暮らすか、自分自身がどう生活するかがどこかに行ってしまうことになります。

第2期は「格闘期」です。

『名人伝』では、腕前が上達し、師から学び取るべき何ものも無くなったとうぬぼれた紀昌がある日、ふと良からぬ考え ―師を抹殺しようとする気持ち― を持ち、一日たまたま郊野(こうや)で向うからただ一人歩み来る師の飛衛に出遇って二人互いに射合う場面が該当します。

不登校の親を例にとると、不登校に関する本を読みまくり、集いがあると出かけ、さまざまなカウンセリングを受けることで、まさに不登校と格闘します。

ある程度知識も豊富になるので、不登校の原因になった環境―学校の教師・仲間たち、地域、関係者―と軋轢を生むこともあります。

問題と格闘し、一種のもがく状態になって、自分なりの不登校に関する物語が形成されています。

この物語の反復が実は、問題そのものを長引かせることであることを次回にお伝えします。


今日は、これから早い時間の新幹線で京都に向かいます。

<お目休めコーナー>3月の花(10)

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