アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

「『名人伝』(中島敦)を素材とするカウンセリングのメタファー」シリーズの第8回目です。

『名人伝』(中島敦)のストーリーをカウンセリングのメタファーから

第1期 執着期
第2期 格闘期
第3期 忘却期

の3段階に分け、今回は、私自身のカウンセラーとしての体験から第2期の「格闘期」から第3期の「忘却期」に至るプロセスについて書きます。

◆今までの部分に関心のある方は

1回目 3月3日
2回目 3月7日
3回目 3月8日
4回目 3月10日
5回目  3月11日
6回目   3月13日
7回目 3月15日

のブログをご参照ください。


私は離婚経験者です。

離婚と共に妻子と別れ、その後にアドラー心理学と出合い、カウンセラー、カウンセリング指導者になりました。

その私がカウンセラーになりたての頃は、不登校、非行、家庭内暴力の子どもとその母親のカウンセリングが主力で、子どものことについては同居人がいたこともあり良き理解者であり得ました。

しかし、母親が対象ととなると、カウンセリングのテーマが親子関係であると冷静でいられたのですが、夫婦関係に及ぶと、何かしら胸のあたりのゾワゾワした感じを覚え、夫側に肩入れしそうな私がいました。

おそらく第3期の「忘却期」に入りきれていない自分がいたのでしょう。

ただ自己弁護すると、ゾワゾワした感じを覚えても自分を抑制できる範囲にいるならば安全です。

セルフ・モニターしながら(自分で自分を見届けながら)「あ、来ているな」という警告として受け止め、クライアントとの間の目標と協力関係に立ち戻ることができます。

しかし、セルフ・モニタリング・システムが働かなくなると、漂流や暴走が始まります。

6回目(3月13日)に書いたように、カウンセラーとしての守備範囲を超えて自分の体験談を話したり、早過ぎる助言に入ったりして、自分の体験とシンクロしてしまい、カウンセリングが有効に機能しなくなるのです。

今日はこの辺にして、次回はどのようにしてセルフ・モニタリング・システムが働かせられるようになるかを中心にお伝えします。

<お目休めコーナー>3月の花(16)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月14日)には通信教育とご縁のある日でした。

午前中には、ある研修会社のe-learningをご担当の方2人がご来社、ある企画で監修することの打ち合わせをしました。

また、PHP研究所 からは4月新規開講の通信教育テキスト『アドラー心理学に学ぶ「やり抜く力」の高め方』(永藤かおる著、岩井俊憲監修)が届きました。

PHP研究所 からの通信教育テキストは3コース目になり、今までには管理者・リーダー向けの『リーダーのための心理学入門コース』、ビジネス基本・社員全般向けには『アドラー心理学に学ぶ「やる気」の高め方』が好評を博しております。

さて、「『名人伝』(中島敦)を素材とするカウンセリングのメタファー」シリーズの第7回目です。

今までの部分に関心のある方は

1回目 3月3日
2回目 3月7日
3回目 3月8日
4回目 3月10日
5回目  3月11日
6回目   3月13日

のブログをご参照ください。

『名人伝』(中島敦)のストーリーをカウンセリングのメタファーから分けると、

第1期 執着期
第2期 格闘期
第3期 忘却期

の3段階に分けられます。

*簡単に読める短編ですので、全文を読んでみたい方は 青空文庫 で。

第2期の「格闘期」をカウンセリングに当てはめると、カウンセラーとしての守備範囲を超えて自分の体験談を話したり、早過ぎる助言に入るモードの人もいたり、自分の体験とシンクロしてしまい、カウンセリングが有効に機能しないケースが見られ、共感に留めておかなければならないクライアントに対して同情モードに入ってしまいがちなことを書きました。

ここからはメタファーの核心部分に入ります。

話を『名人伝』に戻して、要旨を書きます。

弟子の紀昌に伝えるべきすべてのことを伝えた飛衛は、この道の蘊奥(うんのう)を極めたいと望むならば、甘蠅(かんよう)老師に師事することを勧めます。

気負い立つ紀昌を迎えたのは、羊のような柔和な目をした、しかし酷くよぼよぼの爺さんである甘蠅老師。

年齢は百歳をも超えていると思われ、射之射(しゃのしゃ)というレベルにある紀昌がいまだ不射之射 ― 弓を使わずに射る方法 ― を知らぬと見抜き、自らモデルを示します。

空の極めて高い所を一羽の鳶が悠々と輪を描いていて、その胡麻粒ごまつぶほどに小さく見える姿をしばらく見上げていた甘蠅が、やがて、見えざる矢を無形の弓につがえ、満月のごとくに引絞ってひょうと放つと、鳶は羽ばたきもせず中空から石のごとくに落ちて来たのでした。

九年間の修業を経て、山を降りて来た紀昌の顔付の変ったのに人々は驚きました。
以前の負けず嫌いな精悍な面魂はどこかに影をひそめ、なんの表情も無い、木偶のような愚者とも言える容貌に変っていたのでした。

邯鄲の都は、天下一の名人となって戻って来た紀昌を迎えて、やがて眼前に示されるに違いないその妙技への期待に湧返ったのですが、紀昌は一向にその要望に応えようとしません。
それどころか、弓さえ手に取ろうとしないのです。
山に入る時に携えて行った弓もどこかへ棄てて来た様子です。

甘蠅師の許を去ってから四十年の後、紀昌は静かに、誠に煙のように静かに世を去りました。
その四十年の間、彼は絶えて弓を口にすることが無かったのです。

彼の死ぬ一二年前のことらしい。
ある日老いたる紀昌が知人の許に招かれて行ったところ、その家で一つの器具を見ました。
確かに見覚えのある道具なのですが、どうしてもその名前どころか、その用途も思い当りません。
老人はその家の主人に尋ねました。
それは何と呼ぶ品物で、また何に用いるのかと。

その家の主人は、古今無双の射の名人である紀昌が、弓の名も、その使い道も忘れたことに驚き、慌てふためきます。

第3期の「忘却期」は、第1期「執着期」の問題や症状にとらわれていた時期、第2期「格闘期」の問題に格闘していた時期を経て、とらわれ、格闘してきたことを「忘れる」段階です。

実際にこうなるためには数十年の時間が必要かもしれませんが、「忘却期」を迎えなければならないことの意味とその方法を次回にお伝えします。

<お目休めコーナー>3月の花(15)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月13日)の午前中は、体のメンテの日。
昨年に入院・治療を行った東京女子医大附属病院に行きました。

血液・尿検査の合間に松本楼で朝ごはん。

朝食抜きで血液検査をしたので、ここで腹ごしらえ。

ゆったりした気分になれました。

メニューはさておき、私はこの場所と時間が好きです。

10:00の診察時間のはずだったのですが、遅れて11:00頃に診察。

会計も長蛇の列。

ふと同じ都営大江戸線の若松河田の近くの 青春出版社 さんを訪問してみようと編集部の 石井智秋さん に電話をしました。

石井さんは、私の『人を育てるアドラー心理学』(1,380円+税)、『男と女のアドラー心理学』(1,400円+税)の編集を担当された方です。

人を育てるアドラー心理学
最強のチームはどう作られるのか
岩井 俊憲
青春出版社

 

男と女のアドラー心理学
岩井 俊憲
青春出版社

現在3冊もの単行本を手掛けていらっしゃる石井さん、私が「立ち話で10分ほど」と申し上げたのに、お茶をいれていただき、プロモーション部の西尾 春香さんをご紹介くださいました。


(左が石井さん、右が西尾さん)

西尾さんは、twitter のご担当とのことで、2冊の本を持った私の写真を撮りました。
どこかのタイミングで流してくれるでありましょう。

30分ほどで辞去し、青春出版社さんの建物の写真を撮って若松河田駅に向かおうとしていたら、「岩井せんせ~い」の声が。
声の主は手島編集長でした。

手島さんは石井さんの上司にあたる人です。

ふとした訪問でこんな展開になるのは親密度の証なのかもしれません。

1992年からご縁のある青春出版社さん、私としては一番付き合いの長い出版社です。

人を動かす人に29の切り札
―有能なだけでは必ず孤立する
(プレイブックス)
岩井 俊憲
青春出版社

『人を動かす人に29の切り札』は、当時無名だった私にも関わらず3万部も売れた本です。

『人を育てるアドラー心理学』の原型になった本です。

<お目休めコーナー>3月の花(14)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月12日)は午前中に子育て雑誌(6万部発行)の取材を受けました。

『親と子のアドラー心理学』(キノブックス、1,300円+税)をもとにスキルの前に「尊敬」「信頼」「共感」のマインドが必要であり、勇気づけで一番大事なのは耳に心地よい言葉でなく態度であることを前提にしてインタビューを進めました。

親と子のアドラー心理学
岩井 俊憲
キノブックス

ご担当の方は、6歳と4歳の子どもを持つママで、かなり敏腕のライターであるようで、私の語るひと言ひと言に共感してくれていました。

6月10日発売だそうで、どんな紙面(12ページ)になるのか楽しみです。

午後は、電話カウンセリングを2件ほど行いました。

さて、「『名人伝』(中島敦)を素材とするカウンセリングのメタファー」シリーズの第6回目です。

今までの部分に関心のある方は

1回目 3月3日
2回目 3月7日
3回目 3月8日
4回目 3月10日
5回目  3月11日

のブログをご参照ください。

前回は、あるカウンセラーからアダルト・チルドレンだとレッテルを貼られ、そのグループに7年間も通い詰めている人の相談ケースを取り上げました。

集いに参加して古いレコードを何十度も聴いていること自体がアダルト・チルドレンで居続けることに作用することを素直に受け入れてくれた事例でした。
指導的な立場の人が10年以上もアダルト・チルドレンなのでした。

ところで、3回目(3月8日)でかつてヒューマン・ギルドに現不登校児、元不登校児の親がごっそりアドラー心理学を学びに来ていたことを書きました。

この中の数人が アドラー・カウンセラー養成講座 を学び、やがてカウンセリングを始めた頃のことです。

大変高い感受性を持っていて、カップルに対する支援などには相当な力量を発揮するのですが、不登校の親をクライアントとしてカウンセリングを始めると、カウンセラーとしての守備範囲を超えて自分の体験談を話したり、早過ぎる助言に入るモードの人もいたり、自分の体験とシンクロしてしまい、カウンセリングが有効に機能しないケースが見られました。

この傾向の方々は、まだ第2期 格闘期の段階にいて、共感に留めておかなければならないクライアントに対して同情モードに入ってしまいがちなのでした。

大事なことは、自分の体験してきた物語がはるか遠くのことであったように感じられるようなポジションになっている必要があったのです。

<お目休めコーナー>3月の花(13)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日の新幹線の停電により新大阪ー東京間が大幅に遅れ、23:00過ぎに帰宅しました。
そのため起床が遅れ、こんな時間の更新になりました。

東日本大震災から7年目の昨日(3月11日)のビッグイベントは、キャリアコンサルティング技能士会 関西支部2017年度 特別研修会でした。

キャリアコンサルタントに必要な 人と組織への働きかけ ~  アドラー流マネジメント&アンガーマネジメント

のタイトルで13:30~16:30に戸田久実さん(ブログフェイスブックアドットコミュニケーション株式会社 代表取締役、一般社団法人 日本アンガ―マネジメント協会 理事)とジョイントでそれぞれ50分の講演、とそれに続いてのパネルディスカッション+質疑応答を行いました。


(戸田さんご提供)

告知後3日で定員の80名が埋まってしまったほどのイベントで、スタッフのきびきびした動きが目立ちました。

私は12:00前に会場に入ったのですが、本などを入れた宅配便の到着が遅れたら、戸田さんはのんびりしている私に代わって宅配便会社に敏速にお電話をくださっていました。

さすがに元敏腕秘書だと感動しました。

幸い12:30頃に荷物は届きました。

 私の講演の3つの柱は、

1.私にとってのアドラー心理学
2.組織変革に役立つアドラー心理学
3.キャリア・カウンセリングに生かせるアドラー心理学(特にサビカスのキャリア構成理論との比較で)

でした。

私と戸田さんの間に全員で1分間の黙祷を捧げました。

戸田さんは、アンガーマネジメントの基本をさまざまなケースを織り込みながらお伝えになりました。

休憩を挟んで中山敬介支部長の司会でパネルディスカッション+質疑応答。

質問者の多くは、アンガーマネジメントのことを質問されたのですが、戸田さんはいきなり私に無茶振りするので、このやり方をよくやる私も時にたじろぎました。

講座中写真撮影厳禁だったので、講座が終わってからは本のサイン会の合間と終わりに写真撮影。


(西川千晴さんご提供)


(中山美佐子さんご提供)

アドラー心理学の関西3人娘(左から甲賀彩香さん、梶田恵子さん、武中美子さん)も。


(甲賀彩香さんご提供)

会場では、いろいろな人からたくさんのプレゼントをいただき感激でした。

一人ひとりお礼を申し上げませんが、本当にありがとうございました。

懇親会参加後の帰りの新幹線は、2時間半の遅れが予想されたので、19:30頃出発予定の新幹線のグリーン車に乗り込もうとしたのですが、一般席に空きがあったので、ゆったりと帰ってきました(東京駅着22:30)。

ご心配の方々に感謝の気持ちを添えてご報告申し上げます。

<お目休めコーナー>3月の花(12)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月10日)は東京駅発6:43の新幹線に乗って京都に来て、10:00~17:00に京都開催のカウンセリング演習を行いました。


(甲賀彩香さんご提供)

講座には15人が参加、2人のライフスタイルの分析と、私自身をクライアントとする1対1のリレー・カウンセリングを行いました。


(梶田恵子さんご提供)

ご参加の方々の実力がかなり高いことを確認できました。

18:00からは懇親会。


(甲賀彩香さんご提供)


さて、「『名人伝』(中島敦)を素材とするカウンセリングのメタファー」シリーズの第5回目です。

今までの部分に関心のある方は

1回目 3月3日
2回目 3月7日
3回目 3月8日
4回目 3月10日

のブログをご参照ください。


『名人伝』(中島敦)のストーリーをカウンセリングのメタファーとして第1期 執着期、2期 格闘期、第3期 忘却期の3段階に分けて、2期 格闘期のことを書いています。

不登校の親を例にしながら、不登校に関する本を読みまくり、集いがあると出かけ、さまざまなカウンセリングを受けることをしていると、まさに不登校と格闘する状態になり、問題と格闘し、一種のもがく状態になって、自分なりの不登校に関する物語が形成されていくことを前回に書きました。

これはある本に書いたことですが、あるカウンセラーからアダルト・チルドレンだとレッテルを貼られ、そのグループに7年間も通い詰めている人が相談に来ました。

親に対する恨みがやたら強く、自分自身もずっと対人関係上の機能不全感を覚えているのです。

私が彼の参加する自主グループの様子を聞くと、そのグループの中の主要メンバーがほぼずっとアダルト・チルドレン特有の生きにくさを感じていることを不思議に思うようになってきたのです。

私は彼に質問しました。

「あなたがその集いに出続けていること自体がアダルト・チルドレンで居続けることに作用するのではないでしょうか?」

その方は賢い方で、この一言で目覚めたようです。

集いに参加することを断念し、アドラー心理学ベーシック・コース に参加して仲間との健全な交流を体験し、アダルト・チルドレンを卒業したのです。

<お目休めコーナー>3月の花(11)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月9日)は会社を休んでカミさんと映画「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」を観てきました。

チェン・カイコー監督による日中合作映画で、空海役に染谷将太、白楽天役にホアン・シュアン、阿倍仲麻呂役に阿部寛、その他にチャン・ロンロン、松坂慶子、火野正平などが出演していました。
恵果阿闍梨から真言密教の奥義を授かる以前の空海をモデルにしていますが、娯楽ものとして楽しむ分にはいいです。


さて、「『名人伝』(中島敦)を素材とするカウンセリングのメタファー」シリーズの第4回目です。

今までの部分に関心のある方は

1回目 3月3日
2回目 3月7日
3回目 3月8日

のブログをご参照ください。


『名人伝』(中島敦)のストーリーをカウンセリングのメタファーから分けると、

第1期 執着期
第2期 格闘期
第3期 忘却期

の3段階に分けられます。

*簡単に読める短編ですので、全文を読んでみたい方は 青空文庫 で。

第1期の「執着期」は、「問題」だけにフォーカスし、問題でない部分が見えない状態になっている完全なこだわり(執着)の世界に入っている時期です。

物語の中では、紀昌が師匠から瞬きせざることを学べと命じれら機織台の下に潜り込んで瞬きをしない技を2年間で身につけ、視ることを学べと言われ虱(しらみ)を3年間視続け、虱が馬のような大きさに見えるようになるまで訓練している時期です。

象徴的な言い方をすれば、「虱が馬のような大きさに見える」ように問題が大きく見えてしまうことが特徴です。

「問題」だけにフォーカスしているので、問題でない部分が見えない状態になってしまっています。

前回の例では、子どもの不登校に執着している人は、子どもが学校に行く/行かないだけが最大関心事で、家の中で子どもとどう暮らすか、自分自身がどう生活するかがどこかに行ってしまうことになります。

第2期は「格闘期」です。

『名人伝』では、腕前が上達し、師から学び取るべき何ものも無くなったとうぬぼれた紀昌がある日、ふと良からぬ考え ―師を抹殺しようとする気持ち― を持ち、一日たまたま郊野(こうや)で向うからただ一人歩み来る師の飛衛に出遇って二人互いに射合う場面が該当します。

不登校の親を例にとると、不登校に関する本を読みまくり、集いがあると出かけ、さまざまなカウンセリングを受けることで、まさに不登校と格闘します。

ある程度知識も豊富になるので、不登校の原因になった環境―学校の教師・仲間たち、地域、関係者―と軋轢を生むこともあります。

問題と格闘し、一種のもがく状態になって、自分なりの不登校に関する物語が形成されています。

この物語の反復が実は、問題そのものを長引かせることであることを次回にお伝えします。


今日は、これから早い時間の新幹線で京都に向かいます。

<お目休めコーナー>3月の花(10)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月7日)の10:30~12:00は、早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校で「より豊かなライフスタイルで生きる:アドラー心理学の実践 」の第6回目(最終回)の講座を担当していました。

6回目のテーマは「共同体の中での建設的な生き方」

討議をふんだんに交えながら アドラー心理学ベーシック・コース よりも丁寧にお伝えしました。

次回は夏講座で早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校での「オープンカレッジ」 では「勇気づけの心理学:アドラー心理学の実践」を7月13日、20日、27日、8月24日、31日、9月14日(それぞれ金曜日)に担当します。

 
さて、このところヒューマン・ギルドで評判の「ヒューマン・ギルド周辺ランチマップ」。

制作者はわが社の法人事業部営業統括マネジャーの 目次 心さん (写真)とその奥様の 香里さん

ヒューマン・ギルドの位置するところは、最近では「奥神楽坂」と呼ばれ、ガイドブックでも知られるようなりました。

ご夫婦はほとんどの店を訪ね歩き、お勧めの38軒をヒューマン・ギルドにお越しの方が楽しめるように表面に地図、裏面に営業の曜日、カテゴリー(和洋中華など)、ランチ情報(値段屋やメニュー)にまとめあげてくれました。

ご来社の方には大好評で、ヒューマン・ギルドに関係なく訪問する人も出始めているようです。

◆昨夕のメルマガで配信した、私が経営者としての想いを語ったDVD『Big Interviews 「ほめない、叱らない アドラー心理学式マネジメント」』のご注文が大量に入りました。
ありがとうございます。

アドラー心理学がまったく知られていない1985年にヒューマン・ギルドを設立し、「勇気の伝道師」としてのミッションとパッションをもとに、いくつかの危機を乗り越えた末に今日に至ったかという『実践』に裏づけられた知恵など、ヒューマン・ギルドの講座の受講者の皆様にはあまり語ったことのない話がたくさん出てきます。

内容は、下記の通りです。

・アドラー心理学はどのように経営や職場に役立つのか
・ネガティブ探しの得意な日本人が見落としているもの
・嫌いな相手と理解し合う方法
・アクセルをかけているのにブレーキを踏んでしまわない為には
・社長の最も大事な役割とは
・怒りをコントロールする方法
・支配・服従のマネジメントがもたらすもの
・リーダーシップの本質とは
・部下を育成するための4つのキーワードとは
・「ダメ出し」の代わりにすべき「〇○出し」とは
・社員の内発性はどのようにすれば引き出せるか
・相手を説得するときの効果的なプロセスについて
・アドラー心理学を使った「叱り方」
・部下が失敗した時「なぜだ」を使うとどうなる
・リーダーが最もやってはいけない習慣とは
・モチベーションを高める4つの「ション」とは
・メンツとプライドの持ち方と捨て方
・他者の目で見ると、何が見えるか
・物事を多面的に見るためにはどうすべきか
・恐怖のマネジメントによって何が起こるか

スクリプト付きの特別価格でご提供です。

ヒューマン・ギルドでは、定価9,800円(税込)のところを9,000円(税込、送料サービス)で販売しております。

Mail:info@hgld.co.jp、電話03-3235-6741へお名前(フルネーム)ご住所、電話番号をご記入いただきDVD希望とご注文下さい。

<お目休めコーナー>3月の花(9)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月6日)は、教えと学びの1日でした。

(1)教えとしては、株式会社 マーケティング研究協会 で10:00~17:00に

アドラーに学ぶ︕ マネジメント⼼理学
メンバーの「心」を掴む組織活性化、部下育成・指導のポイント

のセミナーを担当していました。

大企業の管理職が中心で、「ワークショップ」形式で受講者の質問・意見を反映しながら展開していき、講師としても充実感がありました。

『嫌われる勇気』や私の本などを読んで参加された方が目立ちました。

(2)学びとしては、大手町の産経プラザで18:30~20:30に

100歳時代のヘルスケア ― 認知症予防で健康長寿

のシンポジウムに参加してきました。

直接このことを書きませんが、関心のある方はこちらの 関連記事 で(当日のものではありません)。


さて、これからが本題です。

『名人伝』(中島敦の短編)を用いたメタファー・シリーズの第3回目。

*『名人伝』の全文を読んでみたい方は 青空文庫 で。

カウンセリングや研修で「問題」だけにフォーカスし、問題でない部分が見えない状態になっている完全なこだわり(執着)の世界に入っている人たちに出会うことがあります。

例えば、子どもの不登校に執着している人は、子どもが学校に行く/行かないだけが最大関心事で、家の中で子どもとどう暮らすか、自分自身がどう生活するかがどこかに行ってしまいます。

このこと自体が不登校を長引かせるどころか、本人も不登校児の親になりきってしまいます。

やがて子どもが学校に戻ることができたとしても、親は「元不登校児の親」として何年も何年も意識が続き、現実世界に影を落とし続けます。


かつてヒューマン・ギルドに現不登校児、元不登校児の親がごっそりアドラー心理学を学びに来ていた時期があります。

なかなかいい感性をしている人もいました。

その人たちの行く末について次回は書きます。

<お目休めコーナー>3月の花(8)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨晩(3月6日)はカミさんと一緒に杉並公会堂で日本フィルの

モーツァルトの交響曲第40番

ブラームスのピアの協奏曲第1番

を聴いてきました。

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私は、モーツァルトの交響曲第40番の第1楽章が限りなく好きです。

カミさんは、ブラームスのピアの協奏曲第1番の横山幸雄のピアノ演奏にやたら感動してブログにこんなことを書いていました。

天才✨✨

アンコールには、これまた私の大好きなドヴォルザークの交響曲第8番の第3楽章を演奏してくれました。

指揮の大友直人の白髪と後姿が実にかっこよかった!

さて、『名人伝』(中島敦の短編)を用いたメタファー・シリーズの第2回目。

第1回目は 3月3日のブログ をご参照ください。

「『弓をとらない弓の名人』に達した紀昌」に注目して今後書いていきます。

*5分~10分くらいで読める短編ですので、全文を読んでみたい方は 青空文庫 で。

前半部分は、弓の事前訓練にこだわる紀昌です。

紀昌は、師匠から瞬きせざることを学べと命じれら機織台の下に潜り込んで瞬きをしない技を2年間で身につけ、視ることを学べと言われ虱(しらみ)を3年間視続け、虱が馬のような大きさに見えるようになるまで訓練します。

この段階は完全なこだわり(執着)の世界です。

私は「瞬きをしない技を身につけ」「虱が馬のような大きさに見える」ことに注目します。

事の渦中にあると、自分を休ませることをせず、問題が誇張される自己訓練をすることにつながります。

逆の言い方をすれば、「問題」だけにフォーカスし、問題でない部分が見えない状態になります。

書きたいことは、やまやまあるのですが、今日はこの辺にして次回から一気に書きまくります。

<お目休めコーナー>3月の花(7)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月5日)は、9:20~16:40に独立行政法人 中小企業基盤整備機構 中小企業大学校 東京校(虎ノ門)で

リーダーの決断力とビジョン

の勉強をしていました。

午前中の加来 耕三氏(歴史家・作家)の「歴史上のリーダーに学ぶ決断」がやたら面白くて、氏はさかんに「歴史小説を読むな。大河ドラマを信じるな。いわゆる歴史を疑ってかかり、事実か創作かを見極めよ」を力説し、その代表例として、司馬遼太郎氏の創作した坂本龍馬のことを語っていました。

坂本龍馬が歴史教科書から消える理由も頷けます。

織田信長のことを評する「泣かぬなら殺してしまえホトトギス」とは実は徳川家康のことであって、武田信玄に対する織田信長の忍耐強さを語りました。

また、「尾張の大うつけ」のはずの信長が齋藤道三から美濃に招かれた日にその所作で驚かせることができたであろうか、桶狭間の戦いで尾張の地で騎馬で走り回っていたときに領民が今川勢に密告することがなかったことをどう説明するのか、と聴衆に迫りました。

なお、研修には『戦国武将 ここ一番の決断』(つちや書店、1,850円+税)と『幕末維新 まさかの深層』(さくら舎、1,600円+税)が付いていました。

加来耕三の戦国武将
ここ一番の決断
加来 耕三
滋慶出版/つちや書店
幕末維新 まさかの深層 ―
明治維新一五〇年は日本を救ったのか
加来 耕三
さくら舎

昨晩中に『戦国武将 ここ一番の決断』を半分ほど読んでしまいましたが、これが極めて面白い。やめられなくなる。


ところで、虎ノ門の地は、私が1970年から1983年まで13年間のサラリーマン生活のうちの11年を過ごした場所です。

虎ノ門駅のすぐそばの金刀比羅神社は、ビルの谷間に位置するようになっていました。

虎ノ門駅から神谷町に至る一帯は、35年前にはなかったビルどころか道路までできていました。

研修会場が虎ノ門37ビルだったので、ホテルオークラの前を通ってアメリカ大使館の前にあったはずのオフィス・ビルを探しましたが、そこは高層ビルと化していました。

ただ、よくランチに出かけていた三会堂ビルは健在で、その地下1階にあるとんかつの店「うえはら」を訪ねました。

この店の店主は現在の我が家の隣に住む上原さんで、お手伝い中の奥様に「隣の岩井です」とご挨拶したらびっくりしていました。

「うえはら」は、『おとなの週末』でも取材されているとんかつで名高い店で、この地でお店を開いて35年だそうですが、どうやら私が会社を辞めた年の秋の創業のようです。

時間がなかったので、「一番早いものを」と頼んだらアジフライを出していただきました。

私の昔と今の共同体をつなぐようなひと時で、とても感慨深いものがありました。

ところで、お金をお支払いしようと思ったら、「岩井さんが初めて来てくれたから」ということで受け取っていただけませんでした。

今度は、ゆっくりととんかつを食べに行きたいです。

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月4日)は、2018冬季開催 アドラー・カウンセラー養成講座 の6日目を行っていました。

Nさんの早期回想の解釈演習以外は徹底的にカウンセリングの実習をしていました。

まずは、Iさんをクライアントとして、3人×3人がリレー・カウンセリング。

それぞれの話に聴き方のスタイルが反映されます。

終わってからは(1)自己フィードバック、(2)聴衆からのフィードバック、(3)クライアントからのフィードバック、(4)講師からのコメントがなされます。

ここでびっくりしたのは、(2)聴衆からのフィードバックの鋭さと深さでした。
再受講の方が3人交じっていたことにもよります。

最後は、私が25分ほどでデモンストレーションを行いました。


午後は、3人一組でカウンセリング演習。

アドラー派のカウンセリングは、ライフスタイルの分析を行いながら進めていきます。


皆さんをお返ししてからは、17:45からある中小企業の経営者のカウンセリングを行いました。


◆「早期回想」が学べるワークショップのご案内

日本アドラー心理学協会、日本臨床・教育アドラー心理学研究会との共催で4月に2人の米国人アドラー心理学者をお招きして東京・福岡でワークショップを開催します。
講師は、アーサー・J・クラーク博士(セントローレンス大学教授)/マリーナ・ブルヴシュタイン博士(アドラーユニバーシティ(大学院)教授)で、東京は埴原 由美さん、福岡は渋田 陽子さんが通訳を担当してくださいます。

ワークショップの詳細は、以下のとおりです(時間はそれぞれ10:00~17:00)。

4月14日、15日(土日)東京(駒沢大学深沢キャンパス 講義室2-1) アドラー心理学の基礎と実践 ― 早期回想の理解と治療的アプローチ 受講料:38,000円(税込み、テキスト付)
 
4月21日、22日(土日)福岡(リファレンス大博多貸会議室) アドラー心理学の基礎と実践 ― 早期回想の理解と治療的アプローチ 受講料:38,000円(税込み、テキスト付)
 
梶野 真さん(日本アドラー心理学協会代表理事)が講師との橋渡し役を担ってくださり、当日のファイシリテーターをお務めです。

なお、講師から届いている案内の文章は、次のとおりです。
 
このワークショップでは、アルフレッド・アドラーによる個人心理学の、現代における包括的な視点を紹介します。テーマとしては、ライフスタイル、劣等感と劣等コンプレックス、全体論、活動性の程度、メタファー(隠喩)、優越性の追及、ライフタスクなどです。ディスカッションやデモンストレーションを通して、様々なクライアントを治療する際のアプローチと戦略や、長く守られてきたアドラー心理学の治療的伝統に対する理解も深めることができます。また、困難な心理的障害を持つ広い範囲のクライアントに応用できる、効果的な治療的介入方法や技法についても洞察が得られることでしょう。
 
また、『記憶の夜明け』という新しいモデルやその他のアプローチを使って、早期回想を概念化し、解釈し、治療および日常の生活において早期回想を使用する練習も行います。早期回想のもつ意味を洞察することによって、クライアントと共感的・治療的関係をはぐくみ、クライアントを深いレベルで理解することができるようになるでしょう。厳選された演習や、大・小のグループに分かれたディスカッション、そして参加者の早期回想を調べる練習を通じて、「実際に」体験をしながら学びます。

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月3日)の午前中は、ヒューマン・ギルドの研修室で 佐藤 健陽さん の『あがり症は治さなくていい』の出版記念イベントが行われていました。

あがり症は治さなくていい —
大切なことはアドラーと
森田正馬に教えてもらった
佐藤健陽
旬報社


40人もの方々がご参列、会場は溢れかえっていました。

私はフル参加は欠礼しましたが、花束贈呈とお祝いのひと言を述べさせていただきました。

 午後は、2018冬季開催 アドラー・カウンセラー養成講座 の5日目を行っていました。

Fさんのライフスタイル調査表をみんなで徹底分析。

家族布置のところでは、Fさんはピンと来ない部分があったようですが、早期回想の部分になると、みんなの解釈を謙虚に受け入れてくれるようになっていました。

最後は、ある早期回想をもとにサイコドラマを行いました。

18:45からは香港酒家に場所を移し、22名で懇親会。

後半は一人ひとりにスピーチをお願いしました。


(座席移動のシーン)

何だか訳のわからない懇親会になりました。

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月2日)は、頭髪と身体の手入れの間に出勤しました。

ここ1週間ほど右のふくらはぎに違和感を覚え、それをかばっているうちに腰痛になってしまいました。

椅子に長く座っていると、立ってからしばらくはおじいさんのように腰が曲がった状態になることがあります。

私自身腰痛とはかなりの長さのつき合いなので、自分なりの調整法を知っていますが、念のためらくらく整体に17:00から行って体をほぐしてもらいました。


さて、私はカウンセリングにメタファー(たとえとして使う表現)を使うことがあります。

ブッダの原始仏典に使えるメタファーがかなりあるのですが、そのことは後日に触れることにして、今回は高校時代に読んで忘れられないでいる『名人伝』(中島敦の昭和17年12月作の短編)を用いることにしましょう。

「あらすじ」(Wikipedia)は、次のとおりです。

趙の都・邯鄲に住む紀昌(きしょう)は、天下第一の弓の名人になろうと名手・飛衛(ひえい)に入門し、五年余の難しい修行のすえに奥義秘伝を習得する。
紀昌は飛衛を殺そうとして失敗し、さらなる名人を求めて西の霍山に隠棲する老師・甘蠅(かんよう)を訪ねる。
紀昌は矢を放たずに鳥を射落とす不射の射を甘蠅に魅せられ、霍山にとどまる。
九年後、紀昌は無表情の木偶のような容貌になって邯鄲に戻ってくる。
飛衛をはじめ邯鄲の住人は紀昌を天下一の名人と認めて絶賛するが、紀昌は「至射は射ることなし」と言って名人芸を披露しようとしない。
「弓をとらない弓の名人」として紀昌はかえって有名になる。
その後ついに紀昌は弓を手に取ることがなく、晩年には弓の名前すら忘れ去るに至る。

*5分~10分くらいで読める短編ですので、全文を読んでみたい方は 青空文庫 で。

このストーリーを「守・破・離」で説明すること可能なのですが、腕を磨くメタファーとしたくないので、私は、「『弓をとらない弓の名人』に達した紀昌」に注目して次回につなげます。

テーマは「忘れてこその関わり」です。

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(3月1日)の10:30~12:00は、早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校で「より豊かなライフスタイルで生きる:アドラー心理学の実践 」の第5回目の講座を担当していました。

5回目のテーマは「私たちが生きる共同体」

アドラー心理学ベーシック・コース では、1時間くらいで伝える内容ですが、第6回目(最終回)の6回目を含めて1.5時間×2回=3時間でお伝えします。

講義ではまず、共同体感覚の定義として

(1)共同体に対する所属感・共感・信頼感・ 貢献感を総称した感覚・感情
(2)精神的な健康のバロメーター

を押さえた上で、アドラーの言葉を紹介しました。


(今まで出回っていなかったアドラーの写真。
ペルグリーノ博士ご提供。無断転載厳禁)

個人心理学を学ぶには、何よりもまず『共同体感覚』という概念を理解する必要がある。
これは私たちの教育と治療において、もっとも大切なものだからだ。
勇気があり、自信があり、世界に自分の居場所がある人だけが、人生のいいことと悪いことの両方を生かすことができる。
彼らは決して恐れない。

人生には困難があることを受け入れていて、自分にはそれを乗り越える力があることを知っている。
人生のあらゆる問題に対して覚悟ができている。


(『生きるために大切なこと』P.16~17)

生きるために大切なこと
Alfred Adler,
桜田 直美訳
方丈社

前半のポイントをまとめると、こういうことになります。

(1)アドラーは自分の心理学を「個人心理学」と呼び、共同体感覚を中心概念に置いた。

(2)共同体感覚は、教育と治療(カウンセリングを含む)において最も大切なもので、それらのゴールだとも捉えられる。

(3)共同体感覚を備えながら勇気があり、自信があり、世界に自分の居場所がある人だけが人生のプラス面だけでなくマイナス面も生かすことができる。


講座の中では、受講生の家族、地域との関わりをグループ内で語っていただき、続いて(1)都市化、(2)核家族化、(3)少子化によって共同体が弱体化しているけれども、人は本来的に共同体を求めて生きる存在であることを指摘し、次回に備えることにしました。


同じ場所で同じ講義をすると、マンネリ化のリスクがありますが、一種の他流試合をすることによってより内容に幅と厚みが出せることを味わえました。

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