○日本橋高島屋『北京故宮博物院展~清朝末期の宮廷芸術と文化~』
http://info.yomiuri.co.jp/event/01001/200608181265-1.htm
北京故宮博物院が所蔵する文物・美術品の展示会である。よくある企画だと思ったが、これまでの故宮博物院展が、康煕・雍正・乾隆の清朝盛期、いわゆる「三世の春」の時代を中心としていたのに対し、今回は、清朝末年、女帝・西太后とラストエンペラー宣統帝溥儀の時代にスポットをあてたところが新しい(らしい)。
私の関心にはぴったりだが、果たして、どのくらい人が集まるものか。いぶかりながら行ってみたら、そこそこ客が入っていた。デパートの催し物にしては男性客が多い。それから、男女を問わず、解説パネルを熱心に読んでいる人が多いことが印象的だった。
会場に入ると、まず、清の太祖ヌルハチと、康煕、雍正、乾隆帝の巨大な肖像が眼に入る。黄色に龍の刺繍を施した龍袍(ロンパオ)を着て、威儀を正した厳粛な肖像画である。しかし、いずれも史伝や中国のTVドラマで馴染みの人物なので、ひとりひとり、懐かしい感じがする。
西太后には、さすがに皇帝のような公式の肖像画はないのだろうか。会場で見た彼女の肖像画は、大きな画面に、広い余白を残して、小さく描かれたものばかりだった。丸顔で、4~5等身くらいしかない西太后は、なんだかマンガのように愛らしい。『慈禧太后朝服図』では、彼女は龍の縫い取りのある龍袍を着ている(いいのか?)。くつろいだ平服姿で碁を打つ図もあった。藍色の錦を着た対戦相手は恭親王奕訢である。彼もまた、私には懐かしい名前だ。
宣統帝溥儀の時代になると、多くの写真が残されている。先だって、入江曜子さんの『溥儀:清朝最後の皇帝』を読んだこともあって、2人の皇妃、婉容と文繍の写真を興味深く眺めた。婉容は文句のない美人だと思う。颯爽として、しかも憂いを感じさせる。文繍は、顔、丸すぎ~。中国のTVドラマ『末代皇妃』では、細面の美人女優が演じていたのに。
西太后も写真好きだった。ただし、日本では、彼女の珍妙なコスプレ写真が紹介されることが多く、バカなおばさんのイメージを増強する結果になっていると思う。今回、会場には、もう少しまともな彼女の写真も紹介されている。たとえば、頤和園の仁寿殿の前で輿に乗る西太后を写したもの。輿を担ぐ衛士たちの無防備な表情が印象的である(現代人は、カメラの前であれほど無防備な表情はしない)。それから、表情は分からないけれど、宮殿内で自転車に乗る婉容の小さな写真も心に残る。
彼ら、清朝末年の皇族の写真を集めた写真集が、中国では刊行されているはずである。この時代を研究している友人に見せてもらったことがあるのだが、いま、書名が思い出せない。とりあえず、以下のサイトを参考に。
■Tomotubby's Travel Blog:今週の婉容
http://blog.goo.ne.jp/tomotubby/c/93325c1daa24e7403a25343d80cf3d91
http://info.yomiuri.co.jp/event/01001/200608181265-1.htm
北京故宮博物院が所蔵する文物・美術品の展示会である。よくある企画だと思ったが、これまでの故宮博物院展が、康煕・雍正・乾隆の清朝盛期、いわゆる「三世の春」の時代を中心としていたのに対し、今回は、清朝末年、女帝・西太后とラストエンペラー宣統帝溥儀の時代にスポットをあてたところが新しい(らしい)。
私の関心にはぴったりだが、果たして、どのくらい人が集まるものか。いぶかりながら行ってみたら、そこそこ客が入っていた。デパートの催し物にしては男性客が多い。それから、男女を問わず、解説パネルを熱心に読んでいる人が多いことが印象的だった。
会場に入ると、まず、清の太祖ヌルハチと、康煕、雍正、乾隆帝の巨大な肖像が眼に入る。黄色に龍の刺繍を施した龍袍(ロンパオ)を着て、威儀を正した厳粛な肖像画である。しかし、いずれも史伝や中国のTVドラマで馴染みの人物なので、ひとりひとり、懐かしい感じがする。
西太后には、さすがに皇帝のような公式の肖像画はないのだろうか。会場で見た彼女の肖像画は、大きな画面に、広い余白を残して、小さく描かれたものばかりだった。丸顔で、4~5等身くらいしかない西太后は、なんだかマンガのように愛らしい。『慈禧太后朝服図』では、彼女は龍の縫い取りのある龍袍を着ている(いいのか?)。くつろいだ平服姿で碁を打つ図もあった。藍色の錦を着た対戦相手は恭親王奕訢である。彼もまた、私には懐かしい名前だ。
宣統帝溥儀の時代になると、多くの写真が残されている。先だって、入江曜子さんの『溥儀:清朝最後の皇帝』を読んだこともあって、2人の皇妃、婉容と文繍の写真を興味深く眺めた。婉容は文句のない美人だと思う。颯爽として、しかも憂いを感じさせる。文繍は、顔、丸すぎ~。中国のTVドラマ『末代皇妃』では、細面の美人女優が演じていたのに。
西太后も写真好きだった。ただし、日本では、彼女の珍妙なコスプレ写真が紹介されることが多く、バカなおばさんのイメージを増強する結果になっていると思う。今回、会場には、もう少しまともな彼女の写真も紹介されている。たとえば、頤和園の仁寿殿の前で輿に乗る西太后を写したもの。輿を担ぐ衛士たちの無防備な表情が印象的である(現代人は、カメラの前であれほど無防備な表情はしない)。それから、表情は分からないけれど、宮殿内で自転車に乗る婉容の小さな写真も心に残る。
彼ら、清朝末年の皇族の写真を集めた写真集が、中国では刊行されているはずである。この時代を研究している友人に見せてもらったことがあるのだが、いま、書名が思い出せない。とりあえず、以下のサイトを参考に。
■Tomotubby's Travel Blog:今週の婉容
http://blog.goo.ne.jp/tomotubby/c/93325c1daa24e7403a25343d80cf3d91