付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「女戦士の帰還 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー(1)」 エリザベス・ベア

2008-04-12 | ミリタリーSF・未来戦記
「迷ったあげくに弾丸を手に取ろうが、いちかばちか弾丸を手に取ろうが、結果はたいして変わりない」
 ガブ・キャスティンの言葉。

 環境破壊による気候の変化に混乱する世界では、アメリカ合衆国は内戦状態に陥った状態から回復しておらず、拡張路線を突き進む中国と巨大企業の支援を受けて軍事大国と化したカナダが二大陣営として対峙していた。その舞台は宇宙。
 カナダと中国は火星で異星の宇宙船を発見し、その技術で星間宇宙船を建造しようと密かに争っていたのだ。そして、その競争はついに最終段階に入っていた。
 宇宙船のコントロールに問題を抱えるカナダは、その解決策としてサイボーグ飛行士と全人格プログラムの組み合わせを研究していたが、プログラムの研究は遅々として進まず、適性を持った飛行士も見つかっていない。

 軍用ドラッグ<ハンマー>中毒による被害者の増加に怒るギャングのボスがいた。
 減刑で軍刑務所から釈放された女がいた。
 バーチャル・リアリティの世界でロープレイング・ゲームに興じる少女とその父親がいた。
 捜査中の相棒を殺された刑事がいた。
 普通なら接点のないはずの彼らは、“メイカー”と呼ばれる女性メカニックによって接点を持つことになる。場末の機械修理屋として暮らす49歳の女性。壊れかけた機械の身体を持つ女。そして彼女こそカナダ軍が求めるサイボーグだった……。

 物語はコネティカット州の街を舞台に、誰が何のために汚染された軍用ドラッグをばらまいていたのかという捜査と追跡を主軸に進みます。そして、表紙イラストはなにやらカッコ良さげな美女戦士のイラストで、帯には「怖るべき陰謀の渦中に巻き込まれた女サイボーグ戦士の死闘」とありますが、ちょっと違います。
 主人公のメイカーことジェニー・ケイシーはガリガリの肢体に魔女の鷲鼻、火傷の痕と左目の人口眼の中年女性ですし、彼女は物語半ばで仲間に後を託してカナダへと向かいますので、ドラッグの出所を求めて死闘を繰り広げるのはもっぱらギャング・ボスのレザーフェイス、刑事ミッチ、殺し屋ボビの3人。ジェニーも頑張っていますが、手術台の上で生死の狭間をさまようのを死闘というなら、病院はみんな戦場だよね。
 まあ、本当はそんな些末な事はどうでも良く、単に面白い、カッコイイと誉めれば良い話と言われたらそれまで。いろいろ魅力的かつ一癖も二癖もある登場人物たちが動き回り、彼らの行動をどきどきしながら見守ることになります。ちょっとタイトルが仰々しくもB級テイスト満載だと思います。誰だよ、シリーズ名に「サイボーグ士官ジェニー・ケイシー」なんて付けたのは!? あまりに恥ずかしくてスルーするところだったぞ!
 今回はハードボイルドっぽい話にバーチャル・リアリティと人工知能の話が絡まり合いながら進みますが、内容的には続き物なので、この巻では話はろくに終わってません。とりあえずハードボイルド編は終わって宇宙編が幕開けしたくらいかな。急いで続きを読まなくちゃね。

【気象変動】【バーチャルゲーム】【異星船】【人工知能】【ファインマン】
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『フロリダ旅行(3) コンテンポラリー・リゾート』 1992.07/01-7/3

2008-04-12 | イベント・コンベンション
 キーウェストから空路でおよそ30分。オーランド国際空港に到着したら、事前手配のピックアップ・バスでコンテンポラリー・リゾートへ。
 そこは既にウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート。122平方キロの敷地内に、6つのテーマパークから幾つものゴルフコースやレースサーキットまでを抱える世界最大のアミューズメントリゾート……というか自治体ですね。街が丸ごとテーマパークではなく、テーマパークを丸ごと地方自治体にして、警察消防から徴税まですべて自前でやっているのです。そこのところを押さえておかないと、この徹底さは理解できません。

 法案には1つ、重要な項目が抜けている。
「王国なのに、王位の規定がない」
 法案署名に会場へ向かうクロード・L・カーク知事の言葉。(『ディズニー伝説』ボブ・トーマスより)


 南部邸宅風からポリネシア風まで、幾つもの個性豊かなホテルがありますが、コンテンポラリー・リゾートは分厚い本を背表紙を上にして伏せたような形。そして開かれたページとページの間は14階までの吹き抜けになっていて、その中をモノレールが発着するので、気分はトレーダー分岐点。
 部屋のドアを開けて外へ出ると、眼下にモノレール・ステーションやショッピング・モール、ジャズの生演奏が続くステージなどを見下ろすことができます。この光景を見たいがためだけに、日本語スタッフが常駐していないことなど気にせず申し込んだんです。
 部屋そのものは普通ですが、建物全体に意匠を凝らした仕掛けが施されていて、今では日本でも珍しくない「音声でアナウンスするエレベータ」も、渋い声でしゃべってくれてなかなか魅力的。
 ここを拠点に、遊びほうける日々が続くことになります。

【コンテンポラリー・リゾート】【自治政府】【モノレール】
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