付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「軌道上の戦い サイボーグ士官ジェニー・ケイシー(2)」 エリザベス・ベア

2008-04-17 | ミリタリーSF・未来戦記
「ゲームや社会問題や政治交渉の場面では、好きなだけズルをしていい。やっただけ、ランキングや獲得ポイントに反映するからな。だが、仕事に必要な勉強でズルをしちゃいかん」
 <リチャード・ファインマン>の幽霊。

「とほうもない目標の方が実現しやすいと。例外もありますけど」
 恒星船パイロット、二等准尉ジェニー・ケイシー。

「考えるのはわたしたちの仕事じゃないわ。ベストを尽くすこと--それがわたしたちの仕事よ」
 コネティカット州検死局長、ハートフォード市警本部長カイ・フア。

 印象的なセリフが幾つも簡単に見つかるというのは、面白い物語の証明みたいなものです。

 太古の火星に漂着した異星人のテクノロジーを利用して建造された、最新鋭宇宙船<モントリオール>の船内ネットワークに潜入することに成功したAI<リチャード>は、ナノマシンのコントロールを試みていくうちに外宇宙から接近しつつある存在を認識した。
 異星人が再び太陽系を訪れようとしているのだ。
 しかし、それを人間に知らせる状況ではなかった。餓えた狼となった中国は、ロシア国境を侵犯しての戦争を継続する一方、宇宙空間においても自らの覇権を獲得すべく、<モントリオール>に破壊工作を仕掛けてきたのだ。
 そして<モントリオール>破壊に失敗した中国は、次の目標を狙って宇宙船<黄帝>を動かした……。

 マーフィーの法則そのもののような作品。つまり「失敗する可能性があることは、必ず失敗する」って言葉をあちこちのエピソードで思い知らされるんですが、今回はさらにきついなあ……。
 どんどん魅力的な新キャラが登場しますが、終わってみると生き残ったキャラの数はほとんど変わっていないという話です。
 テイストとしては、ヒロインもののフリをした群像劇。未来の出来事を、さらに未来になってから当時の証言や日記などによって再構成した歴史小説という位置づけなので、本当にさくさくハラハラ話が進みます。こいつらどうなるのか、なかなか読み切れません。

【隕石落とし】【核の冬】【ナノマシン】【国連軍】【異星文明】【漢詩】
コメント
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