付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「史上最大の作戦」 コーネリアス・ライアン

2010-03-19 | 戦記・戦史・軍事
「神よ、ご承知と思いますが、私はこれからおそろしく忙しくなります。私はあなたを忘れるかもしれませんが、神よ、どうかあなたは私お忘れになりませんように……」
 作戦開始直前のフランス軍指揮官フィリープ・キーフェル中佐の祈り。牧師だって間違えて食前の祈りを唱えてしまうくらいの大混乱。

 第二次世界大戦の転換点となった、連合軍の仏ノルマンディー海岸への上陸作戦「オーバーロード作戦」をテーマにしたノンフィクション。ケン・アナキン他の監督で公開された映画版をテレビ放映で観て気になっていたところ、原作を高校の図書館で見つけて読みました。これが戦記物の読み始め。
 敵がいて、味方がいて、決断を下す将軍もいれば、それに従って敵の真っ直中に落下傘降下して蜂の巣になって死ぬ兵隊がいて、爆風で窓がすべて吹き飛んだ家に駆け戻る少女がいて、パリに向かう列車の中で連合軍上陸のニュースを聞いて地団駄踏むレジスタンスのリーダーがいて、ヒトラー総統は今夜も不眠で苦しんでいて、ルントシュテット元帥はその総統を馬鹿にしていて……。
 さまざまな人々の群像劇として戦場を描いた作品です。
 これを読んでから前段階となる「ディエップ奇襲作戦」を描いた『グリーン・ビーチ』を読み、この大作戦が成功したものだからいい気になったモントゴメリー元帥が一気に決着をつけるぞと大勝負を仕掛けたあげく大失敗した「マーケット・ガーデン作戦」を描いた『遠すぎた橋』を読み、そのぐだぐだぶりに泣いてしまったわけですが、そんなものは太平洋戦争の日本軍を思えばかわいいものだと思い知るのは、さらにその先の話となります……。

【史上最大の作戦】【コーネリアス・ライアン】【オーバーロード作戦】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする