付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「僕は友達が少ない(3)」 平坂読

2010-03-29 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「ワインはキリストの血。多少飲んでも罰は当たるまい」
 理事長が未成年の教え子にアルコール飲料を勧めるときの言葉。だめだろーっ!?

 今回は、とっても残念な人たちが集まった隣人部の夏の日々が淡々と綴られていて、思わず声を出して笑いながら読みふけってしまいました。電車の中で読んでなくて良かったなー。
 イラストがいいよね。
 確かに上手いけれど、技量以前に作品で描写されている内容をきちんと把握し、いちばんポイントになる場面をしっかり描いてあるから本文も活きるんです。今回は星奈さん脱ぎっぱなしですが、夜空さんも最後の表情で大逆転です。
 天才だけどシモネタばかりの残念な痴女の理科さんとか、美少女だけれど残念なことに実は舎弟気質の男な幸村くんとか、本物の美少女だけれどゴスロリ邪気眼の妹・小鳩とか、隣人部の面々も、その立ち位置が定まって、良い感じに狂ってきています。『究極超人あ~る』のように、奇人変人の集まるサークル物というのは、(生徒会物も含めて)小説やコミックなどでいろいろ登場しておりますが、その中でも上位に来ていると思います。
 今回の新キャラ、星奈さんのお父さんの天馬理事長もアレですが、顔は無表情、声も抑揚のないまま本当か嘘かわからないこと蕩蕩と語る、家令のステラさんも微妙にアレです。アレ。
 これが徹頭徹尾、人格破綻の異常者ばかりの話というとまったく笑えないのですが、みんなそれぞれ普通の部分を持ちながら、1つ1つはさしておかしくもない個性が組み合わさることで結果的に“残念”なキャラクターになっているから笑えるのですね。この組み合わせ方が絶妙です。
 そんな彼らが普通の学生になって友達を作りたい、でも作れないともだえる姿が、人間になりたくてなれない妖怪人間を彷彿とさせます。

【僕は友達が少ない】【平坂読】【ブリキ】【携帯電話】【妹】【SNS】【サメ】【プール】【合宿】【海】【肝試し】【夏祭り】【天馬】【列車の連結部分】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする