付け焼き刃の覚え書き

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「ハンバーガーの世界」 ジョシュ・オザースキー

2010-03-22 | 食・料理
 特に図版があれこれ掲載されているわけでもないので、新書でもいいのになあと思いつつパラパラ立ち読みしたら面白そうだったので購入。

 いまやアメリカを代表する食べ物となったハンバーガーを、そのベースとなるハンバーグが発明されたのはいつ、どこで? なぜ、ホットドッグでもアップルパイでもなく、ハンバーガーなのか?というあたりから追求し、その背景となるアメリカの開拓・移民の歴史からマスプロダクションの展開まで視野に入れて語ったもの。

 しかし、「ハンバーガーを最初に考えたのは誰か」というのが案外と難物で、19世紀末だの20世紀初頭だのと諸説紛々。まあ、日本でも肉じゃが発祥の地とか複数名乗り出ているようなもので、今となってははっきりわからないけれど、かといって絶対に分からないほど昔ではないというあたりがポイント。そもそも、牛の挽肉を固めて焼いて食べたらハンバーグなのか、パンはトーストでも良いのかというところから始まるのです。
 結局、ハンバーガーは丸いハンバーグをバンズに挟んだものでなくてはいけないと定義するんですけどね。

 アメリカ人が食べる物といえばかつては豚でした。そこらに放し飼いにして残り物を食べさせていれば育つ豚の方が育てやすいし、ハムやソーセージなど保存食としてのバリエーションも味も豚肉の方が上。開拓民の食べる肉としては豚に勝るものはありません。
 それが牛肉に替わられるというのは、アメリカの都市化が進んだ証明でもあるのです。陸上輸送が発展すると広大な土地で牛の放牧が始まり、牛肉が都市に運び込まれて人々の食卓に上ることになります。牛(キャトル)が資本主義(キャピタリズム)を生んだというのは、経済的にも語源としても正しいことらしい。金持ちが牛を売ってさらに金持ちになり、貧しい労働者が高級な牛肉をハンバーグにして安上がりに食べるということです。

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コメント
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