付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「レイセン」 林トモアキ

2010-03-28 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「悪いが。それが、僕の人生(ゲーム)だ」
 力も、世界も欲しくはない。つまらないことを日々繰り返すだけのようでも、それが自分のゲームなのだと川村ヒデオ。だから、闇の力にも頼らないし、鬼の誘いにも乗らない。そんなあてにならないものの力でズルをしても仕方がない。

 お人好しかも知れないけれど知力・体力は並以下で、特別な力など何もないはずの川村ヒデオが、知人の紹介でやっと見つけた就職先は公務員。それも宮内庁神霊班という、要するにオバケ退治の専門班だった……。

 マスラオの続編。暗黒神を撃退した未来視の魔眼、史上最強の精霊使いと周囲にはしっかり誤解されつつ、実態はヒキコモリでニートにすぎない青年が、千早に緋袴といういかにもな装束の先輩に苛められたり、鬼に首を引き抜かれそうになりながら、お仕事をこなしていく話。『サイレントメビウス』にはなりそうでなりません。
 ビジョルドの『戦士志願』もそうだけれど、ひょんなことから周囲の勝手な誤解を利用してのし上がっていくパターンの話は好きです。主人公があくまで自分の立ち位置を見失わない、周囲の誤解はどんなに実績を伴い始めていたとしても虚構に過ぎないことを忘れない……というのが条件ですが。
 今回の川村ヒデオは守護精霊がついていますので、“なんの取り柄もない普通の人間”とは言い切れないかも知れませんが、守護精霊といっても暗黒神の守護なので闇属性。貧乏神の方がマシという状況ですから、頑張って欲しいものです。

【レイセン】【巫女とヒキコと闇少女】【林トモアキ】【上田夢人】【ゴシック・ロリータ】【木島連隊】【鬼】【榊】【酒盛り】【闇理ノアレ】【名護屋河睡蓮】
コメント
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