付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「日本沈没」 小松左京

2011-07-28 | 破滅SF・侵略・新世界
 2011年7月28日午後3時過ぎ。作家・小松左京の訃報が一斉にネットで流れる。80歳。身内による葬儀が済んで情報解禁ということのようでした。

 実を言えば『日本沈没』はきちんと本を読んでいないのです。
 映画は観たし、テレビ版も楽しみにしていたけれど、原作は下巻のラストを立ち読みしたくらい。ただ、小松左京の名前を知ったのは『日本沈没』であり、同じように喜んで観ていた『空中都市008』や『猿の軍団』ではありません。
 平成23年の3月11日に東北で大震災があり、原子炉がむちゃくちゃになり、余震がいつまでも続き、なのに政治は何をやっているのかよく分からない。でも、そんなとき、ツバメが飛んでいるのを見かけると、少し元気が出てくるのでした。
 ツバメはちゃんと戻ってきましたよ、田所博士。

 なんで『日本沈没』を読まなかったかというと、どうやらその直前に読んだ『果しなき流れの果に』という作品の影響のようだ。
 こちらは恐竜時代から遥か未来までを網羅したSF大河小説だけれども、この中に「ニップ」と呼ばれる人々が登場します。昔、アジアの東の果ての島に住んでいた人々の子孫で、国土が海中に没して滅びた後、世界各地を放浪し、今、その生き残りが宇宙移民として旅立とうとしている。彼らの口ずさむ歌は、原曲の片鱗をかすかに残す程度に変質し、陰鬱で怪しげなメロディーになっていたけれど……と、どうしようもなく悲しい顛末。結局、こういう結末になるんだったら、『日本沈没』なんか読まないよ! そんな気持ちだったのかな……。

 落ち着いたら、今度こそ『日本沈没』を読んでみようかなと思います。まだ読んでない小松左京作品があるというのは、本当にありがたいことですから。

『さよならジュピター』

『復活の日』

『首都消失』

『エスパイ』

『SF魂』

『SF入門』

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「花咲けるエリアルフォース」 杉井光

2011-07-28 | ミリタリーSF・未来戦記
 日本列島は箱根の関を境界に東西分断されていた。そして4月8日。西側を支配している民国による皇国への奇襲によって内戦が始まった。
 その日、少年は戦火によって焼け落ちる桜の樹を見ていた……。

 時代はおよそ現代、舞台は日本、主役となるのは中学生。そういう条件で本気のミリタリー小説をラノベでやればこうなる、という見本のような作品。近衛の役立たずぶりをギャグで流して良いのか分からないけれど、話は巧い。面白い。
 でも、日本の国土を戦場にしてますから、ラフィールとジントのようなボーイ・ミーツ・ガールから始まるものの、勝っても負けても周囲は焼け野原。同級生も先生も家族も炎と瓦礫の下。主人公たちの操る超兵器でも戦況を覆すまでには至らず……というあたりがなんともストレスがたまります。戦争なんて、そんなものですけれど。

【花咲けるエリアルフォース】【杉井光】【るろお】【ソメイヨシノ】【空中空母】【へーか】【桜花】【避妊具】【花見】【多脚砲台】【皇室】【日本分断】
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