平和なリザードマンの集落に、アンデッドの大軍が襲いかかる。その指揮官はナザリックの第五階層守護者である、＜凍河の支配者＞コキュートス。この圧倒的な不死者の軍勢を前に、トカゲの戦士たちはいかに立ち向かうのか!?
白いトカゲがヒロインな回。
主人公側が悪役なので当然こういう展開もありなのですが、今回はまるまる「平和な村に襲いかかる無慈悲な軍勢に対し、数でも質でも劣る蜥蜴人の勇者たちが、知恵と勇気と団結で立ち向かう物語」です。なので、感情移入する場所に少し困りました。どう考えたって、トカゲたちの方が正しいのですから。
アインズ陣営は戦力的には余裕で圧勝する体制なのだけれど、この世界のどこかにいるかもしれない、自分と同等かそれ以上の力を持つ敵の存在を前提とするとそう余裕をかましてもいられないのです。このあたりのさじ加減が面白い。軍事力でも経済力でも他国を圧倒しているアメリカ合衆国であっても、中東や南米の中小国のゲリラやテロリストや麻薬組織をあっさりとは壊滅できないようなもので、そこはいろいろ思惑やかけひきや現場の事情があるのです。
他のレビューを読んでいると、なにやら不満や問題点があるようなのですが、ＷＥＢ小説のときは読んでいなくて、キャラに思い入れも先入観もないので問題なし。蜥蜴人の勇者たちの冒険を、守護者たちのちぐはぐな言動と共に愉しませてもらいました。それに、プレイヤーがサラリーマン時代の経験が、ちゃんと経験として反映されているのも良かったです。こういう話は、ついつい元の世界での経験や技術はゲームに関するもの以外は機能しないというのがありきたりなので、物足りなく思うことが多いのです。おまえらの人生、本当にゲーム以外、なにもなかったのかよ!?と。
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