付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「わが盲想」 モハメド・オマル・アブディン

2013-08-08 | 伝記・ノンフィクション
(この人たちは民主主義と言論の自由の大切さがぜんぜんわかってないな)
 日本の学生は政治の話をしたがらない。スーダンでは命がけであっても政府の腐敗や政治のあるべき姿について語り合う。そしてアブディンの友人の多くは戻ってこない。

 盲目の青年アブディンは、弁護士志望だったものの先に希望が見出せず、たまたま聞き込んだ日本の盲学校への留学話に応募して運良く採用。
 日本文化をよく知らないどころか、日本語もしゃべれない青年は、鍼灸の専門用語や点字に困惑し、途方に暮れながら受入先を探していくのだが、いつの間にか日本食を愛し、オヤジギャグを使いこなすようになっていた……。

 タイトルからして、やや危険なダジャレネタ。
 文字通り五里霧中の渡日の顛末から、数度の電話のやりとりで嫁さんを見つけて結婚した経緯、そして東日本大震災から現在までを、盲目のスーダン人がパソコンの音声読み上げソフトを駆使して自ら綴った回想録です。
 目が不自由な方にもいろいろ段階はありますが、この人は途中から完全に見えなくなったそうです。でも、苦労はしても苦にした様子はなく、(ときどき堕落しかけながらも)活き活きと生活しています。それに良い嫁さんをつかまえたなあと思います。
 スーダンと視覚障害と、2つの意味での異文化体験でした。

【わが盲想】【モハメド・オマル・アブディン】【ポプラ社】【異文化体験手記】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする